明日の日記
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プロローグ (視点シフト)
後悔 3-(後)
「 ヒマね 」
「 ヒマだね 」
「 何か無いの? 」
「 何も無いね 」
「 あの公式間違ってる 」
「 間違ってるねぇ・・・ 」
「 どこが間違ってるの? 」
「 間違ってるねぇ・・・ 」
・・・
何もかもが面倒くさい
何で黒板に書かれたものをわざわざノートに書き写さないといけないのかしら
あんたが持ってる資料をコピーすればいいでしょ
・・・なんでこっち見んのよ
さっさと講義を進めなさい
そこはもう分かったから・・・え?まだやるの?
もういいって思わないの? って、周りが分かっていなさそうだって?
それはあんたの教え方が悪いんでしょうが!
チラチラこっち見ないでもらえるかしら? 不愉快だわ
だいたい、隣の結みたいに寝てる学生がほとんどじゃない!
教え方が悪いのよ! お・わ・か・り?
ったく、イライラするわ・・・
なんでこんなにイライラするのかしら・・・
「 ・・・ふえ? 」
「 おはよう 」
「 あ~ランちゃん? おはよ~・・・Zzz・・・ 」
「 ・・・ 」
「 Zzz・・・ 」
「 はぁ・・ 」
頬杖をつき、窓の外を眺める
この大学は小高い丘の上に建っている。今講義を受けているのが4階ということもあり、窓からは海が見える
「 うーみーはーひろいーなーおおきーなー・・・ 」
「 つーきーがーのぼるーしーひがしーずーむー 」
「 いつから起きてたの? 」
「 たった今 」
「 ふーん 」
「 ランちゃんも歌うんだね 」
「 そうね、人並みにはね 」
「 へぇ~ 」
「 ・・・何? 」
「 ん? 何でもないよー 」
「 意外だった? 」
「 ううん、全然。 ただカワイイなーって・・・ 」
「 ・・・ 」
「 あれ? ランちゃんなんでそっぽ向いちゃうの? 」
「 別に・・・ 話は変わるけど、さっきの結の歌は間違ってるから 」
「 へ? そうなの? 」
「 結は今年の初日の出は見たのかしら? 」
「 見に行ったよー! 水平線からにゅばー!!って太陽が出てきてうわー!ってなった! 」
「 それはよかった。さっき結はなんて言ってた? 」
「 『 つーきーがーのぼるーしーひがしーずーむー 』って、まさか! 」
「 そう、その歌はきっと日本海側で書かれたんでしょうね 」
「 うわー、ランちゃん夢が無いね~ 」
「 なんでそこで夢の話になるのよ? 」
「 だってこの歌って、日本海側が故郷の人が上京してきてさ『 こっちでは太陽は海から昇ってくるのか・・・父ちゃん、母ちゃん、俺はいつか有名な作曲家になって地元から離れた事のないみんなに世界ってヤツを伝えたいんだっ!! 』・・・的な熱い思いを胸に秘めて作ったものかもしれないじゃない? 」
「 それはない 」
「 えー? ランちゃんの夢も希望も無い考え方よりはいいと思うなぁ~? 」
窓側の席で結とこうして時間を潰すのが最近の日課になっている
受講態度が悪いと注意されたことがあるが、その日の講義の内容のどこを聞かれても完全な解答ができたので、講師の先生も今となっては放置プレイである
「 夢が無いなぁ 」
「 現実を見なさい 」
窓側は今日も平常運転なのであった
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