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王女の愛――DQ3からDQ1へ

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王女の愛――DQ3からDQ1へ

 
前書き
*マイオリジナル設定・捏造設定満載です。ご注意ください。
(DQ3勇者×僧侶、DQ1勇者×ローラ) 

 
男勇者レイル(19歳)と女僧侶プラチナ(18歳)の結婚式がアリアハンの教会で行われた。
二人はとても幸せそうで、本当に仲睦まじい夫婦となった。
そのとき、アリアハン国王からレイルとプラチナに同じ形の二つのペンダントが送られた。
「…あの、これは?」
「それはそなた達ロトと妻の愛をより深めるために職人に作らせたペンダントだ。子孫代々、そなた達の愛を伝えて欲しくてな」
国王の言葉にレイルとプラチナは顔を赤くした。
夫婦になったといっても、彼らはまだ10代である。まだ完全な大人ではないのだ。
「な、なんだか恥ずかしいですね…レイルさん」
「ああ…いくら僕達が夫婦になったからって…」
「でも」プラチナはペンダントに目をやる。「きれいですね。このペンダント。私、こういうの好きです」
レイルも自分の持っているペンダントに目をやる。「本当だね。…ん?よくみて、これ…僕の名が彫ってあるんだ。“RAIL”って…君のも見てみなよ」
「あ…本当です、“PLATINUM”…私の名前が彫ってます…」
「そうじゃ。そなた達の愛を名前とともに後の世代にも伝えて欲しいと思ってな」
「……そ、そこまで…。というか僕…いや、私には“ロト”という…」
アリアハン国王は首を横に降った。“勇者ロトの伝説”としてはもう別の形で伝えてあるだろう?ときいてきたのだ。…どうも仲間の男賢者トウカが、アレフガルドでの体験を誰かに語ったときに、国王も参加していたらしい。
「…って、僕達、いや私達の愛まで語り継がれるんですか」
「いいじゃろう?せっかくなんだから」
と大笑いする国王にレイルとプラチナはただ顔を赤くする他無かった。

「…そういえば、子孫まで語り継ぐとかなったけど、王様は“勇者ロトの伝説”の舞台とこの世界とは別世界だと知ってるのかな?」
式からの帰り道、二人きりで小さな道を歩いていたレイルとプラチナ。
ところが。
「…俺が教えた」
「と、トウカ!いつの間に!?」
「あたしもいるよ~ん」
「ナギサ!」
かつてともに戦った仲間であるトウカと女武闘家ナギサが後ろからこっそりつけていたのだ。
一瞬レイルとプラチナは赤くなったが、すぐに落ち着きを取り戻した。
「で、でも…この世界とアレフガルドはもう繋がらないはずではないんですか?」
レイルはふっと優しく笑いながら、プラチナに言った。
「それはルビスが必要に応じて行き来できるようにしてくれるから大丈夫って。プラチナ、泣きじゃくってたから聞いてなかったんだね。…もっとも、僕達がアレフガルドに行くことも一生無いだろうから、おそらく、これを持って子孫達がルビスによってアレフガルドに導かれていくってことなんだろうね」
「レイルあの時お前もちゃんと聞いてたのか。ナギサも聞いてなかったけどな」
「だって眠かったんだもん」
ナギサは膨れっ面でこう言った。ちなみにあの時というのはアリアハンの世界に戻ってきた直後、お祭り騒ぎの町の中、4人だけ国王に呼び出され、いろいろと説明をし合っていたときのことである。
「ははははっ」
「笑わないでよー」
4人はしばらくゆっくりと歩いていった。もちろん、トウカとナギサはレイルとプラチナの十数メートル後ろを。
と、
「…プラチナ」
「はい?レイルさん」
「僕は、君と結婚できて幸せだよ。これからも一緒に…仲良くしていこうねっ」
「……はい、レイルさん…。私も、レイルさんの妻になれて嬉しいです…」
レイルとプラチナはお互いに見つめあい、微笑んだ。プラチナの目には涙がうっすら浮かんでいた。嬉し泣きである、もちろん。
「いよっお似合い夫婦!」
「ナギサ、お前も早く旦那候補を見つけろ…見つかるかどうか解らんがな」
「何よ!トウカこそ…」
言い合いをはじめたトウカとナギサにレイルとプラチナは苦笑いをした。
「相変わらずだね」
「でも、仲はいいんですよね」
「友達としてはいいって言ってるもんね、あの二人」
レイルはそういいながら国王からもらったペンダントに目をやった。
(…どんな人たちが手にするのかな…。そして、僕を継ぐ勇者って…どんな人かな。そして、僕とプラチナの愛は…どんな風に伝わっていくのかな…)
そしてプラチナを見ると、彼女もまたペンダントを見つめていた。大方、彼女もレイルと同じようなことを考えていたのだ。
そしてお互い目を合わせるとまた、二人微笑んだ。




あれから幾つもの時が流れた。
アレフガルドに再び危機が訪れ、竜王が闇の力を使い、悪意だらけの魔物がいる世界にしてしまったのだ。
町がいくつも滅ぼされ、ローラ姫がさらわれ、アレフガルドの中心都市、ラダトームは重い空気が漂っていた。
しかし、ラダトームの町の一人の若者が力をつけ、戦い続け、そして竜王軍の幹部の一匹であるドラゴンを倒し、ローラ姫を救出した。
その若者こそ、勇者ロト――レイルの血を引く勇者、ハルカ=R=ドランスフィールドであった。
「ハルカ様」
「ローラ姫、どうしたんです?もう夜遅いですよ?」
ローラ姫救出記念の祝いの宴の後だった。ハルカは城のテラスで一人佇んでいた。
「ハルカ様こそ」
ローラ姫はまだ宴のときの美しいドレスの格好のままであった。
「何だか…眠れなくて。ローラ姫もですか?」
「ええ。それに、私、ハルカ様に贈り物をするのをすっかり忘れていましたのです」
「贈り物?」
ローラ姫は嬉しそう後ろに回した手を前に出す。そこには一つの、きれいな箱があった。
そしてそれをあけると、二つの美しいペンダントが現れたのだ。
「これ…二つも僕に?」
「いいえ。片方一つですわ。…えっと…こちらですわ。お母様が亡くなる前、私に下さったものですが、一つの少し小さいほうが私の、もう一つの少し大きいほうが心から愛する人の物という事なんです…。だからこの少し大きいペンダントを…」
二つのうち、少し大きいほうのペンダントをローラ姫はハルカにそっと手渡した。
ハルカは顔を赤らめ、嬉しそうにペンダントを手に取った。
(姫様が僕の事……嬉しいしなんか照れるな…ん?)
手にしたペンダントふと見ると、“RAIL”という文字が刻まれているのを見つけた。
(レイル……?なんだろう……?)
ハルカが首をかしげていると、横でローラ姫がつぶやいた。
「あら?私のペンダントに“PLATINUM”って文字が…」
「姫様には別の文字が?僕のには…」
ハルカはその文字が刻まれている物をローラ姫に見せた。
「まあ…そういえば、お母様が言っていたわ。これは…異世界にいたときから持っていた物だって…私驚きました。お母様がここの世界の人ではなかったのです。それと、実はいつの日だったか、お母様は『二つのペンダントがやっと揃った。これでやっと娘に渡せる』と大喜びしているのが聞こえていたんです。でも私には何のことだか…」
「…そういうことが…。うーん、実は…僕の父さんもそうらしいのです。母さんが亡くなる直前にかかれたであろう手紙に、僕のフルネームと誕生日と、父さんが異世界から来た人だということが書かれていたんです…」
「まあ…」
ハルカとローラ姫はお互いに顔を見合わせた。このときはまだ刻まれた文字の意味は解らなかった。しかし、この文字の意味はきっと…素敵な意味があると、すでに二人は確信していたのだ。

しばらくして、ハルカがロトのしるしを手にしたその日の夜。
不思議な空間にいた。ローラ姫とともに。
「ハルカ様……私達…」
「夢…でしょうか?」
「それにしてはやけにリアルに感じますわ…」
「ええ、僕も」
そのときだった…。
「……影?」
遠くに、4つの影が見えた。
そしてそれは、だんだんと近づいてきた。
「ハルカ様……怖いですわ……」
ローラ姫はハルカの後ろにさっと隠れた。
「……だれだっ!!」
ハルカは腰から炎の剣を抜き、構えた。
「……怪しい者ではない……です」
「?」
影はだんだんと形を帯び、姿を現した。
姿がわかってくると、ハルカは剣を腰の鞘に収め、ローラ姫も、ハルカの横に寄り添うようにしながら後ろから出てきた。
「……!」
「ごめんね、夢という形でこういうところに呼び出しちゃって。君がロトの印を手に入れたというものだから」
その4人は髪の毛の逆立ったような髪型、しかしハルカに似て誠実そうな顔つきの男、水色の髪とルビーのような赤い瞳の清楚で可愛らしい女、小柄で元気な格闘少女風の女、青い髪のしっかりした顔立ちの、4人の中で最も背の高い男だった。
ハルカはその中の髪の毛の逆立ったような髪型の、自分に少し似た男を見ていた。
「…貴方は…」
「はじめまして」
彼は優しい声で挨拶をした。
「僕はレイル。君はハルカだったよね」
「!!」
なぜ僕の名を?そしてレイルという名……。ハルカは思わず魔法の道具袋から“王女の愛”を取り出した。
「あ…貴方が……まさか…伝説の勇者ロト様ですか!でも…ロトは名前ではないのですか!?」
ハルカは混乱していた。ローラも自分の“王女の愛”を取り出した。
「“ロト”は実は称号でね。本名はレイル、レイル=フェアフィールド。でも、“ロト”の称号をもらったから、本名のレイルは残さずに、“ロト”だけ残しておいたんだ」
「あの、これは一体…。このペンダント…貴方の名が彫っているんです」
「私のものには“PLATINUM”って…」
「これは……僕達の愛の証でもあるんだ…ねえ、プラチナ」
「ええ…!」
プラチナは真っ赤になって肯いた。
「愛の証って……?」
「僕達が結婚したとき、これをある人からもらったんだ。ずっと僕とプラチナが幸せに暮らせるように、そしてこの愛が子孫代々伝わるようにって………」
最後まで言って、レイルは顔を赤らめた。ハルカとローラ姫は顔をあわせ、彼らも真っ赤になった。
「それを僕達に…?あ、あの…ローラ姫とそのプラチナさんって…?」
「…ルビスさんから聞いたのですが、ローラさんは私の血を引く者…つまり、実はローラさんもハルカさんと同じ、私達の子孫だということです…」
「え?じゃあローラ姫もロトの血を…」
「一応、そういうことにはなりますね」
プラチナはかわいらしい微笑をローラ姫に向けた。ローラ姫もそのかわいらしさに思わず微笑み返した。
「でも…ローラ姫は…」
ハルカはまだ少し混乱した様子だった。
「ローラさんはプラチナの血のほうを濃く継いでいるんだ。ハルカが僕の血のほうを濃く継いでいるようにね」
ハルカはレイルの言葉に少し考えたように首を傾げたが、すぐに理解し、顔を赤らめた。
「と、いうことは、僕とローラ姫は結ばれる運命だったということですか…」
「そ、その通り…」
「レイル…私、なんだか嬉しくて恥ずかしいわ…」
「僕もさ、プラチナ」
レイルもプラチナもハルカもローラ姫も顔を真っ赤にした。
「つまり、レイルとプラチナの子孫同士が再び結ばれたということだな。そのペンダントがそれを物語っている」青い髪の男――男賢者トウカが答えた。
「そうか、ローラ姫のお母様が二つのペンダントが揃ったと喜んだのは…」
「ええ。そして、そのペンダントを渡す相手に出逢えたこと…。ハルカ様、私…嬉しゅうございます」
「ええ、僕もです」
ハルカとローラ、レイルとプラチナのそれぞれの二人を、小柄な女――武闘家のナギサはきょろきょろと見比べ、
「すごいじゃん!レイルとプラチナ、お互いの子孫もラブラブだよ!」
「こら、ナギサ」
「だってトウカ、本当の事じゃん。素敵だよ!」
「…それもそうか」
蚊帳の外――というか、トウカとナギサは自ら二組のカップルを邪魔しないように見ていたのだが――の二人はこの雰囲気を楽しんでいたようである。

「やっぱり、このペンダントの文字には素敵な意味がこめられていたのですね、ハルカ様」
「ええ。勇者ロトであるレイル様とその妻のプラチナさん、そして、僕とローラ姫…。僕と貴女は素敵な運命にあると思うと、嬉しいです」
「私もですわ」
ハルカとローラ姫を見ていたレイルたち。
「プラチナ…僕達を…継いでくれる人たちは……二人とも…素敵な人だね」
「ええ。レイル……私、レイルの妻として、とても幸せよ」
プラチナは嬉しそうにレイルの腕にしがみつく。
「僕も、君と結ばれて、本当によかった」
ハルカとローラ姫も同じように腕を組んでいた。手にはしっかりと二つの“王女の愛”がそれぞれ握り締められていた。
「レイルさんとプラチナさん、こんな素敵なものを、僕達にプレゼントしてくれて、本当にありがとうございました」
「私達も…レイル様やプラチナ様のように優しくて素敵な夫婦になれるように心がけますわ」
「本当、僕達もあのラブラブな二人の血を引いているのですからね。ロトの伝説だけでなく、ロトの愛も受け継がなければね」
「ふふふ」
レイルとプラチナはハルカ達の言葉に照れる。
「ふふふ」
「あははっ」
そして、後ろにいた守護者のナギサとトウカとともに笑いあった。
「願ってたとおりだね」
「ああ。俺達もレイルとプラチナ、そして、彼らの子孫たちの幸せは嬉しいもんだ」
「トウカ、あたしたちの子孫っているのかな」
「さあな」
彼ら6人はその後も、ロトの勇者伝説、そしてロトの愛の伝説(!)を語り合った。

不思議な空間が以前より白っぽくなってきた、と、トウカが呟く。朝が近い証拠、らしい。
「さて、ハルカ。僕は本当に君に出会えてよかった。君が本当に素敵な子孫だったということが」
「いいえ。ロト様――レイル様が素晴らしい方なのですよ」
「プラチナ様、…私もハルカ様を癒したいですわ…」
「ええ。ローラさんにもできます。ハルカさんは、貴女と一緒にいるとき、レイルが私にいつも見せてくれるような、優しい素敵な笑顔を貴女に見せていましたから」
「…じゃあ、ハルカ、ローラさん、ずっと幸せにね」
「…私たちはこれで失礼します。あなたたちに出会えて本当によかった」
「それ、また子孫にも伝えてね!どんな形でもいいから!」
「ナギサ…どんな形でもってなんだ?」
「レイルとプラチナの愛が伝わっていれば、どんな愛の形でもいいって事よ!」
「ナギサ……っ!!」レイルとプラチナは真っ赤になって同時に叫んだ。
「レイル様!プラチナさん!ナギサさん!トウカさん!ありがとうございました!」
「素敵な一時、そして真実、ありがとうございました!」

王女の愛――それは"愛の証"。
かつてはレイルとプラチナを繋ぐ愛の証。
時は経ち、今度はハルカとローラ姫を繋ぐ愛の証。
王女の愛には、こんな意味が明らかになったのである――。

END
――
おまけ。
ハルカ=R=ドランスフィールド…DQ1勇者。8月生まれの獅子座。O型。
ローラ=A=ラダトーム…DQ1ラダトーム王女。10月生まれの天秤座。A型。
レイル=フェアフィールド…DQ3男勇者。5月末生まれの双子座。O型。
プラチナ=アイアランド…DQ3女僧侶。2月生まれの水瓶座。A型。
ナギサ=ミル…DQ3女武闘家。10月生まれの天秤座。B型。
トウカ=ビアス…DQ3男賢者。7月生まれの蟹座。AB型。
―― 
 

 
後書き
DQ1の勇者×ローラとDQ3の男勇者×女僧侶のストーリー。
王女の愛に勝手にこういう捏造設定をつけてしまいました。
いろいろやりすぎたのかな、と反省はしています。後悔はしていません(笑)。
あ、もちろんこれはDQ2の時代にも何らかの形で伝わっていくと思います。
ただ、それはどういう感じかは言えませんが…(まだ考え中ともいえる)。
趣味で書いた駄文ですが、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。 
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