『曹徳の奮闘記』改訂版
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第六十一話
前書き
るろ剣の某場面をモチーフ(という名のパクり)にしました。
「無駄よッ!!」
夏蓮は、先程と同様に避けて今度はさっきの傷口から下十センチ程のところに大刀を突き刺して離す。大刀共に少量の血が吹き出し、夏蓮は後ろに下がって間合いをとる。
「長門ッ!!」
焔耶が叫ぶ。
焔耶の後ろには駆けつけた星やクロエもいた。
………確かにこの牙突はその性質上、右側面の一点に死角を持っている。
加えては牙突のような強烈な突撃技は繰り出している最中、視界が極端に狭くなる。
そのため一度、死角に滑り込まれると如何に足掻こうとどうしても反応が一瞬遅れてしまうからな。
……いやマジで漫画と同じ状況だな。
「………その大刀は夏蓮のか? それとも俺の対策用か?」
「えぇ、私の勘が告げたのよ。長門の技がそれならこれを使えってね」
夏蓮は大刀を見ながら言う。
「それに、この大刀を活かした返し突きは完全に間合いの外よ。横薙ぎの技をしても私には届かないわ」
「………一つ、夏蓮は見逃してるな」
「何ですって?」
俺の言葉に夏蓮が反応する。
「長門。その技は既に私には効かないわ。諦めてクロエちゃんと同じ技を出したらどうかしら?」
「それを決めるのは俺の判断だ夏蓮ッ!!」
俺は再び夏蓮に突撃する。
「まだ続けるというのッ!? その技は見切ったと………」
夏蓮がそう言った瞬間、氣を脚の裏に送って更に加速した。
「なッ!?」
夏蓮が驚く中、俺は右手を使って夏蓮の口を掴んだ。
「むぅッ!!」
「流石に夏蓮は強いな。だが、少し見過ごしてたな」
俺は氣を上半身のみに送る。
「………悪いな夏蓮。お前の左腕は俺が貰うからな。その代わり、面倒は見てやるッ!!」
俺は左手を引いて、バネのように繰り出した。
『牙突・零式』
「ガアァァァァァァァァーーーッ!!!」
夏蓮は悲鳴をあげた。
俺が放った牙突・零式は夏蓮の左肩の上腕骨付近に命中。
左肩から先は刀でもぎ取られて地面に落ちた。
刀は、矢に当たって倒れていた孫策軍兵士に突き刺さった。
「……はぁ……はぁ……」
左肩から血を流す夏蓮は流れる左肩を押さえながら膝から倒れる。
「夏蓮。勝負はついたな」
俺は夏蓮を抱いて起こす。
「……そうね……私の……負けね……」
夏蓮は肩で息をしながら答える。
「あまり喋るなよ。ロッタ」
「はいはい。『ファーストエイド』」
ロッタが回復技の『ファーストエイド』を唱えて、夏蓮の傷を回復させる。
「次は長門よ。『ファーストエイド』」
「お、済まんな」
「いいのよ。どうせ、後でもう一回しないといけないしね」
「え? それはどういう………」
事だと最後まで言いたかったが、クロエと星が近寄ってきた。
「主ッ!! あの技は一体何ですかッ!?」
「頼む長門ッ!! あの技を教えてくれないだろうかッ!!」
「え? え?」
二人がジャンピング土下座みたいにしてくる。
「取りあえず二人とも餅つけ」
「いや、長門も落ち着け………」
焔耶が溜め息を吐いた。
「………あの、私は無視なのかしら?」
夏蓮の言葉は四人に届くのは少し先であった。
―――合肥城玉座―――
「傷の具合はどうですのじゃ夏蓮殿?」
「えぇ大丈夫わよ美羽」
左肩付近に包帯を巻いている夏蓮は美羽に言う。
「じゃがの………長門。雪蓮を逃がすのは駄目じゃな」
美羽が苦笑しながら言う。
実はこれまで動いていた作戦は全て美羽が考えた作戦だった。
美羽は雪蓮達との短期決戦を狙っていたためにこの作戦を思いついた。
袁術軍が砦を攻撃中を聞いた雪蓮は必ず前線に出てくると美羽は踏んで、俺が戦中に負傷して後退して合肥城まで逃げ込み、それを追いかけて来る孫策軍に落とし穴と弓矢、四斤山砲で攻撃させたのだ。
「まぁ、雪蓮の代わりに夏蓮殿が捕虜になったのも何かの縁じゃろうな」
美羽はそう思った。
「ところで長門」
「ん? 何でしょうか?」
此処はまだ主君と臣下の立場だからな。
「七乃達が何やら話があるみたいじゃが………」
え?
後書き
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