ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~
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バレンタイン:二人の英雄のお話
前書き
一日遅れです……
ライト「そんじゃ」
ダーク「レッツ、変身♪」
シグナルバイク!バレンタイン!ヤーッハァ!!
ライトSido
「……とてつもなくマキシマムに眠い」
俺は朝から人格's会議に参加していた。
今日が有給休暇と言うことも有り、新羅も翔夜もその他の異世界人も居ない。
ハッキリ言うと、有意義過ぎる時間だ。
まぁ、その時間を無駄に潰してる俺は馬鹿なのだろうが。
「……ねぇ、いい加減さ」
「断る」
ロードの言葉を一刀両断する。
アンダーワールド以降、ゲンとロードは存在しては居るものの、顕現は出来なくなっている。
アンダーワールドでの俺の異能力の糧にしてしまったためだ。
なので、現在は俺の頭(正確にはウィザードで言うアンダーワールド)内に住んで貰って、何れ翔夜に神界に連れていって貰おうと言う魂胆だ。
「何れにせよ……俺の雷帝化が予想より進んじまってるからなぁ……主にテメェらのせいで」
「……俺は関係無くないか?」
「強いて言うなら僕はユイリちゃん達を守ってあげてたんだけど!?あげてたんだけど!?」
重要だから二回言ったよ!?とロードは言うと、不思議と俺が苦笑していた。
「……何が可笑しいのさ」
「おいおい、拗ねるなよ。コレでも感謝してるんだぜ?」
「態度で現して欲しいですー」
ロードが言うと、アンダーワールドに雷がほとばしる。
「……ロード、それくらいにしておけ。俺に悪気は無い」
雷帝ーーーー俺の第二の姿。
アンダーワールドに現れるのは極稀なのだが、珍しい。
「雷帝も雷帝だよ?復活したら復活したで僕を消し飛ばすとか……」
「それについては散々謝っているだろう!?」
雷帝とロードが喧嘩し始めたので、俺は意識を現実に戻す。
「……んー、未だに慣れん」
俺はそう呟くと、扉が開く。
「ただいま、来人君!!」
扉から飛び出して来たのは、学校帰りの新羅だった。
そのまま俺にダイビングしてきて、柔らかい物が俺の顔に当たり、そのまま俺を押し倒す。
「もー、来人君ってば酷いよ!学校休みなら言ってくれれば良いのにー」
「モガガ!!(取り合えず退け!!)」
俺はそういって肩を持って押すと、すぐに粒子化ーーーー
「させるわけ無いよ?ストレア!!」
「お任せを」
する前にストレアのハングドマンが俺を襲い、粒子化出来なくなる。
「ふふん♪来人君の行動は全てストレアが分かってるんだよ?無駄な抵抗は止めて」
新羅はそう言うと、ビシッと俺を指差す。
「私を足に座らせなさい!!」
「あっほかぁああああああっ!!!」
あの日以来、俺は新羅に致さない様に努力しているのだが、その当の本人はその意思を徹底的に壊す方向に向かわせてしまう。
ハッキリ言うと、ストレアと組ませたのが間違いであった。過去に行けるなら過去の俺を殴り飛ばして磔にしたい気分である。
「お前な!!唯でさえ未成年に手ぇ出してんだぞ此方は!!此方の事情を少しは解れ!!」
「そんなこと言ったって無駄だよ?責任は取って貰うんだからね♪」
……俺は呆れるしか無くなり、それを抵抗の意思無しと決めつけたストレアはハングドマンを解き、すぐに新羅が俺の胡座を欠いている足の上に座る。
「ハイ、今日のご褒美♪」
「ハイハイ……」
俺は新羅に言われるままに頭を撫でる。
すると、気持ち良さそうに目を閉じる。
あ、ヤバイ。何かこう……たまんない。
「……あ、そうだ」
新羅はそう言うと、ゴソゴソと鞄から何かを取り出す。
「……何を探してるんだ?」
俺は聞くと、ズイッ、と肩越しに何かを差し出された。
「今日、調理実習で作ったチョコ。ホラ、今日バレンタインじゃん」
「……ああ、すっかり存在を忘れていたな」
そもそもの話、バレンタイン自体には余り、と言うか真剣に興味が無かった。
毎年この日になると、新羅がチョコを渡してくれていたが、SAO、ALO、GGOにAWと立て続けでは無いにせよ、日本規模の大事件が起きていれば、それは頭から抜け落ちるだろう。
「……ああ、それで昨日男共はソワソワしてたのか」
「アスナ達もバレンタインチョコ作ってたみたいだし、キリトにでもあげるんじゃ無いかな?」
「……ガチリア破ぜろとか言われるだろうな」
苦笑しながら受け取ると、早速包装を解いて食べる。
「……ん、ほろ苦いな。ビターチョコか?」
「うん。ほら、来人君って大人だし、それなら少し苦いくらいがいいかなって」
俺はそれを聞くと、また一口食べて、
「新羅」
「何?」
振り向いた新羅に、そのままキスをした。
「ーーーー!?」
ビックリした新羅は一瞬でドアまで飛んでいき、顔を赤くさせていた。
「ちょ、らい、はんっ!」
「毎年のお返し。……ホワイトデーには、何かプレゼントしてやるから、今の内に希望聞くぞ」
俺はそう言うと、新羅は指をイジって言う。
「ーーーーびわ」
「ん?」
「綺麗な、指輪……欲しい」
俺は微笑むと、近付いておでこにもう一度キスをする。
「お安い御用です、マイプリンセス」
「た、楽しみにしてる……」
新羅はそう言うと、俺は頭を撫でて、ベッドに座らせた。
ダークSido
「……なんとなーく、なんなーくだが家帰りたくねぇ」
今日が何の日か、神である俺はよーく分かっている。
バレンタインデー。女の子が好きな男にチョコをあげる日だ。
……とは言うが、それは日本だけで、大抵外国では男が女の子に何かをあげるのが一般的らしい。
「……しかしだな。家にはカップル一名居るからなぁ……。それに帰ったら帰ったで……真夜美達に捕まりそうな……」
「……だからって俺を呼び出すな大馬鹿」
俺は目の前に居る神ーーーーブラッティと共に某ファストフード店に入っていた。
「しょうがないだろ!?リティ達は別世界に居るし、今俺神界の審判待ちだから神界入れねぇし、だとしたら神フォン召喚ーーーーしようにもジェイダは呼べないのでライトの神化であるお前さんを呼ぶしか無かった」
「……幾ら同胞でも逝けとしか言い様が無いぞ。特に、お前はジェイダとその他二人の女の子を落としてるんだから尚更だろ。批判買うぞ?」
ぺプチコーラを飲みながら言う無責任英雄に対し、激甘コーヒーを飲む俺は言う。
「批判なら幾らでも買うね!!今日ばかりはな!!俺は破壊と捕喰の神、ダークネスウイング!批判なら幾らでも喰ろうて殺るわ!!」
「それ明らかに悪役の台詞だぞ。神が悪役になってどうするよ……」
「ハンバーガーをその悪役から奢って貰っている血濡れの英雄に言われたくないな!」
睨みを効かせて言うと、無責任英雄はヤレヤレと首を振るう。
「……兎に角、今日くらいは帰ってやれ。そんで死んでこい」
「……俺に天国に逝けと?」
「お前は死なねぇだろうが」
そこまで言われた俺は、渋々頷き、ファストフードを後にする。
トライドロンを飛ばして数分。
自宅に到着したはいいが……
「……なんっか、こう……入り難い」
未だに逃げるべきかを考えていた。
「……ええい、ままよっ!!」
俺は覚悟を決め、鍵を開けて家に入る。
「ただいまっ!」
「お帰り、翔夜♪」
………はい?
「……ちょっと待て」
「?良いけど?」
俺は扉を閉めて、再び開ける。
「……真夜美……だよな?」
「そうだけど、どうしたの?」
俺は呆れるしか無かった。
何故なら、今の真夜美の姿が大人同等になっていたからだ。
いや、本来の年齢からして可笑しいのだが……
「失礼な。コレでも若い方だよ?」
「心を読むなっ!!と言うか、本来の実年齢の方が驚愕に値するわ!!」
「驚愕に値するわとか言わないでよ!!翔夜だって本来年齢100じゃん!!」
「神年齢で換算すな!!だったらお前は何歳だよ!!」
「女の子に年齢聞くのは無作法だと思う」
「あああっ!!ああ言えばこう言うっ!!」
頭を掻きながら俺は叫ぶ。
「あ、そう言えばバレンタインにちなんで甘いチョコケーキ作ったんだけど、食べる?」
「思い出したように言うなよ!!でも食べる!!」
靴を脱いでリビングに入ると、
「あー、しょーやおかえりー」
「……お帰り、しよーや」
酔ってる二人が居た。
「あ、チョコを勝手に少し舐めたの二人共!」
「……酒クサッ!!何を入れた!?」
「ソーマの作った神酒だけど……不味かった?」
「不味かったも何もねぇよ!?神以外が飲んだら酔いが深くなって切れたら最後、一週間は起きてこないし、二日酔いならぬ二週間酔いするぞ!?何でそれをチョコケーキに入れてるんだよ!?」
「……」
「明後日の方向を向くんじゃねぇよ!!」
俺は怒鳴ると、半神化する。
「二人共、少し眠って貰うぞ」
俺は頭に触れると、二人は事切れたかのように倒れ、静かな寝息を立てる。
ブランケットを何処からか取り出すと、それを架けてやり、座っている真夜美に向き直る。
「……真夜美」
「……な、何?」
すっかり萎縮している真夜美を俺は抱き締める。
「え……?」
「気持ちは嬉しいけど、使うならアイツらが居ないときにしろよ。楽しめないだろ、俺が」
ポンポンと頭を叩くと、俺は真夜美を真正面から見えるようにしゃがむ。
「お前が作ってくれたのが無駄になるだろ、こう言うことになったら。だから、次からは気を付けてくれよ……まぁ、そういうところをきっちりするのが真夜美だから信用……っておわっ!?」
俺が目を開けると、真夜美が元に戻って泣いていた。
「っ……!」
「あー、何か俺、悪いこと言ったか?」
「……違う。翔夜が、そこまで……」
「……全く」
俺は溜め息を付くと、真夜美の顔を上げさせて、キスをした。
「んぅ!?」
突然の出来事に、真夜美は驚いて、涙を止めた。
「ぷはっ……ふっ、どうやら止まったな」
「……不意打ち、ズルい」
「何時も不意打ちでやられてる俺の細やかな仕返しさ♪」
すると、真夜美が俺に突撃してきて、そのまま倒れる。
「……ここまで本気にさせた責任、取ってよね?」
「……あー、何だ。ゼウスのオッサン次第?」
「……絶対責任、取らせる」
真夜美はそう言うと、俺達はまた、キスをした。
「……うっわ、何してんだ!?」
「……覗き見しない、グレイ」
グレイと呼ばれた青年は、上空に飛んでいる隣の少女に言う。
「ルージュ!だってさぁ……」
「……元々、私達は時空法違反を犯している。これ以上今の時間枠に居たら、母さん達やゼウス様からお叱りを受ける事になりますよ、白光の捕喰者」
「うぇ、そいつぁ勘弁物だぜ……で、奇跡の解放者さんは、この世界に来て収穫を得られたのか?」
ルージュは眼鏡の柄をクイッと押すと、答える。
「ええ、これ以上無い収穫を得られました。これ以上留まる必要は在りません。……帰ろう、私達の世界に」
「やっぱりなぁ……でも、父さんの力を試してーーーー」
「完璧に時空法違反になるから止めて。帰るよ」
「ちぇー……」
グレイとルージュは、虚空に開いた穴を通り、そのまま消えた。
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