魔法少女リリカルなのは トライアングル・マジック
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プロローグ/それが一番の後悔で
前書き
どうも、IKAです。
今回は復帰ついでに私が小説人生一番最初に連載させた小説を編集して連載させたいと思います。
にじファンで私を知っている人が懐かしいと思い、新規のかたにはこんな作品があったのかと思って頂ければ幸いです。
ただ処女作なのでとんでも設定になっているのはご了承ください( ̄▽ ̄;)
8年前、少女たちは一人の少年に恋をしていた。
夢を探していた少女、親の愛情に左右され続けた少女、闇の運命に巻き込まれた少女。
そして、数多の出来事を通して出会い、多くの少女・女性たちが“彼”の姿に惚れた。
――――八年前、高町 なのはとヴィータの二人は、“彼”と共にとある任務で出かけていた。
任務内容そのものに高い危険性はなく、三人の実力ならばむしろ手に余る程度の任務だった。
だからといって適当にこなしたわけではない――――そもそも“彼”が不真面目を嫌う性格だった――――ので任務はしっかりと確実にこなしていた。
しかし任務中、謎の未確認兵器、現在ではガジェットドローンと呼ばれる機械兵器が現れ、三人は他の仲間も連れてそれと戦った。
当時、相手の詳しい能力や情報がほとんどない状態での戦闘だったが、三人の実力を考えれば一切の問題はなかった――――はずだった。
「みんな、行くよッ!」
未確認の相手に怯え切った部隊を奮起させるために、高町 なのはは声を上げた。
そして“いつものように”先人を切ろうといた。
だが、そのいつもを止めたのが“彼”だった。
「なのは、今回は俺が前線に出るから、なのははヴィータと後衛にいてくれ!」
その提案には隣にいたヴィータが真っ先に反対した。
未確認の相手に単独で突撃するのは極めて危険だった。
罠の可能性も大いにありえる。
そんな場所に、愛する人を一人で行かせるわけにはいかないと言う乙女心もあった。
「いや、俺一人で行く」
この時の彼は、いつになく頑固だった。
無茶であること、無謀であることは分かっているはずなのに。
元々“そう言う性格”なのは理解しており、そこが惚れた要因であることも理解している少女たちであったが、それでも賛成するわけにもいかず、二人はとにかく理由を聞くことにした。
「なのは、お前を庇いながら戦うことが一番危険だからだ」
その一言に、なのはは動揺して瞳が揺らぐ。
ヴィータは何のことか理解できず、なのはの表情を伺う。
そんな二人に間髪入れず、彼は冷静に語る。
「俺が気づかないとでも思ったか、なのは? お前の体はとっくに限界だ。 本来、今日の任務は比較的身体への負担が少ないし、俺達がいたから大丈夫だったけど、今は状況が違う」
彼はなのはの身体の変化に誰よりも気づいていた。
ハードワークが生み出した体への負担。
とっくに限界を迎えており、いつ倒れてもおかしくないと言うこと。
だから彼はなのはを戦わせることを避けた。
「……大丈夫だよ、私は平気!」
それでもなのはもまた、頑固だった。
今までずっと入院も検査も受けずに過ごしてきたのだって、周りへ心配をかけないためだったのは彼もわかっていた。
だが――――。
「それでも俺は心配だから、お願いだなのは。 後衛にいてくれ」
怯えていたのか、掠れるような声で彼はそういった。
そんな彼の姿を見ることは滅多になく、そしてそこからは否定することが出来ない力があった。
「………無理、しないでね?」
「ははっ……了解!」
彼はそう言って笑顔を見せ、足元に魔力で白い羽を生み出し、力強く蹴り上げて空高く飛んでいった。
そんな彼の背を、二人の少女は切ない思いと共に見つめていた。
それと同時に、空からは季節通りの雪が降り出した。
彼が行って数十分が経過した。
その間、戦況は変わっていった。
彼が単独で未確認兵器を多数撃墜させていき、その姿に部隊の指揮が上昇、一気に殲滅させる動きに出ていた。
後衛で少ないバックアップに出ていたなのは、ヴィータは、彼の帰りを待っていた。
彼が負けた所を見たことはない。
彼は強い、恐らく誰よりも。
だから勝利を信じることは容易だった。
しかし、だからって一人で向かったことを心配しないわけがなかった。
万が一、そんな言葉が存在するからこそ、不安は拭えなかった。
――――彼が戻ってきた。
服は砂ホコリや焦げた跡が残ってたが、彼は生きていた。
いつものように笑顔を見せ、こちらに向かってきた。
二人は安堵し、抱きしめたい欲求に駆られて走り出した。
彼のもとへ一秒でも速く。
そう思ったからだ。
――――彼の表情が突如変わった。
慌てている、驚いている。
そして彼は声を上げた。
「後ろだッ!!!」
なんのことか、理解することに一秒と言う時間を要した。
しかし体はとても従順で、愛する彼の声に勝手に反応し、勝手に行動をとった。
振り向いた二人に迫っていたのは、倒したはずの未確認兵器だった。
なぜ?
そんな疑問の答えを探る余裕もなく、二人は武器を構えた。
数は十機。
普段の二人ならば、なのはであれば問題なく対処できただろう。
「――――え」
呆気を取られたのは、なのはだった。
突如、全身の力が失われたかのように入らず、気づけば前に倒れ掛かっていた。
そして同時に全身に駆け回りだした、激痛。
頭から足のつま先、至るところが悲鳴をあげだした。
武器も握れなくなり、立つ力も失われ、翼を失った彼女は地面に倒れかかった。
その姿に隣にいたヴィータの意識が向いてしまい、そこが隙となってしまった。
眼前に迫る、ガジェットの刃。
二人は避けることができなかった。
――――目を瞑って数秒。
なのはの頬を、熱を帯びた液体が伝う。
生温い液体が汗なのか分からず、そして自分が死んでいないことを理解し、なのはは目を開けた。
「ぐ……はっ」
白い布が紅い液体の色に染められ、液体の流出点には分厚い刃物がむき出しになっていた。
思考が空白に染まった。
何があったのか、理解に遅れた。
だけど、顔を上げて見れば、“現実”は少女に突き刺さる。
「――――きゃあああああああああああああああああああああッ!!!」
声を上げた。
怖い。
怖い。
怖い。
恐怖が思考を支配していく。
全身を支配し、感覚を奪っていく。
彼が、彼が自分たちを庇ってガジェットの刃物を受けたのだ。
「は、っ……ぅあっく……がはっ!」
吐血。
雪で白く染まっていた地面に、紅い液体が垂れる。
鼻を貫く鉄臭さが、彼の様態の悪さを伝えていく。
だが、しかし、彼はあくまでも笑顔で二人の方を振り向いた。
「っぅ……は、はは……ちょ、っと……待っ…て、ろ」
それが作り笑顔だってことくらい、なのはとヴィータにはわかっていた。
それなのに、なぜ。
体は震え、固まり、動けなかった。
何がそうさせているのか、考えればいくつもの原因が浮かび上がった。
そして浮かび上がったことへの後悔と罪悪感が、少女達の言葉を奪っていく。
だが、彼は責めなかった。
あくまでも笑顔で――――
「大丈夫、だかっ、ら」
大丈夫。
口癖のように、彼はそう言った。
「っ……」
彼は突き刺さった刃物を無視し、激痛に耐え、その身体を強引/無理やりに動かして、ガジェットと戦った。
「いくぞ……」
そう言って彼の|武器/刀に、彼の魔力色である白銀の光が収束していくのが分かった。
そしてなのはは誰よりも、彼が何をしようとしているのかを悟り、そして叫んだ。
「ダメ……そんなことしたら、――――っ!?」
「スターダスト……」
「やめ――――てぇええええええええええ!!」
「ブレイカァアアアアアアアアッ!!!」
彼が刀を横薙ぎに振った瞬間、残影は強い光を持って輝き、前方に向かって巨大な砲撃となって放たれた。
白銀の光に視界は埋め尽くされ、そして――――。
――――彼を、失った。
後書き
改めまして、どうもIKAです。
懐かしいプロローグでした。
編集してて、なんて言葉不足だったんだろうと後悔してますw
そんないろんな思いを感じながら、今後共頑張っていきたいと思います!
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