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さやかちゃん救済的な話?

作者:エリ坊
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プロローグ

 
前書き
カッとなって書いた駄文です。暇つぶしにどうぞ。 

 









ある所に一人の女の子が住んでいました

女の子は大好きな家族や友達にかこまれてとてもとても幸せに暮らしていました。

そして女の子は小さい時からずっと一緒だった男の子と、その男の子が弾くバイオリンが大好きでした。

でも、ある時男の子は大怪我をしてしまいました。

足は怪我で思うように動きません。腕も思うように動きません。

腕が動かなければもうバイオリンは弾けません。

二度とバイオリンが弾けなくなった男の子は悲しみました。

そして、悲しんでいる男の子を見て女の子もとても悲しみました。



そんな時です。悲しんでいる女の子の目の前に白い妖精が現れました。

妖精は女の子に何でも願いを叶えてあげるよと言いました。

その妖精にお願いすれば男の子の怪我を治す事が出来ます。

でも、女の子は直ぐには妖精にお願いをしませんでした。

何故なら、妖精にお願いをした女の子は魔法使いになって悪い魔女をやっつけなければならないからです。



女の子は悩みました。魔女はとても怖いからです。

女の子の友達だった魔法使いの女の子も、魔女に食べられて死んでしまいました。

女の子はとても悩みました。

悩みました。

悩みました。

悩みました。

悩みました。



そして、女の子は妖精に男の子の怪我を治す様にお願いをして魔法使いになりました。

魔女はとても怖かったのですが、誰かが魔女をやっつけなければならないからです。

何故なら魔女は沢山の人間を自分の家に攫って食べてしまうからです。

女の子は男の子を助け怪我を治しました。そして、これからは良い魔法使いになって悪い魔女から

沢山の人たちを助ける事にしました。

こうして女の子は大勢の人に夢と希望を与える良い魔法使いになりました。












魔法使いになった女の子でしたが、中々上手くは行きませんでした。

魔女には良く逃げられました。

他の魔法使いとも喧嘩してしまいました。

仲良しの友達にも辛く当たってしまいました。

魔女退治でとても忙しいので大好きな男の子と会う事も出来なくなりました。

女の子は悲しくなりました。でも、自分は良い魔法使いなのです。

沢山の人たちが暮らしている世界を守らなくてはなりません。

女の子は悲しくても戦いました。










女の子は怒りました。白い妖精は女の子を騙していたのです。

白い妖精は妖精では無く、本当は悪魔だったのです。

白い悪魔は願い事をかなえる代わりに、女の子の魂を体から抜き取ってしまっていたのです。

女の子は怒りました。悲しみました。沢山泣きました。

もう女の子は人間ではありません。死んだ人と同じだったのです。

死んだ人は好きな男の子には会えません。抱きしめても貰えません。

でも、女の子は悪い魔女と戦いました。

何故なら魔女は沢山の人に呪いを撒いて不幸にするからです。

何故なら女の子は愛と希望の良い魔法使いになったのですから。












女の子は後悔しました。

大好きだった男の子は別の女の子ととても仲良くなってしまったのです。

女の子は男の子の怪我を治さなければ良かったと後悔しました。

そして、後悔した事も後悔しました。


女の子は後悔しました。

男の子と仲良くなった女の子。女の子はその子の事も助けた事があったのです。

女の子はその時にその子を助けなければ良かったと後悔しました。

そして、後悔した事を後悔しました。


女の子はとても後悔しました。

でも、女の子は悪い魔女と戦いました。

何故なら魔女は沢山の人に呪いを撒いて殺して呪って不幸にするからです。

何故なら女の子は愛と夢と希望の良い魔法使いだからです。













女の子は戦いました。

辛くても悲しくても寂しくても戦いました

何故なら女の子は良い魔法使いだからです。

例え死んだ人と同じでも女の子は良い魔法使いだから戦いました。

人間を殺し呪いを振りまく悪い魔女と戦いました。

そして女の子は気付きました。

魔女に噛まれても切られても殴られても刺されても焼かれても裂かれても・・・・・

まったく痛くないのです。

そうです、女の子はもう死んだ人と同じなのです。だから、痛みも感じませんでした。

何て素晴らしいのでしょう。

もう何をされても痛くありません。痛くないから怖くもありません。

最初は自分が魔女にやられていた事を、魔女にやり返しているのです。

女の子は次々と悪い魔女を追い立てて殺して行きました。

だって、女の子が魔女を殺さなければ沢山の人間が魔女に殺されるのですから。

女の子の親友は必死に女の子を止めました。

でも、次から次に魔女が現れるのです。魔女を倒さないと皆が殺されてしまうのですから。

女の子は考えました。簡単に魔女を倒す為に色々と考えました。

沢山魔女を殺す為に色々と考えました。

そして、上手く行くと少しだけ可笑しくて笑いました。

仲間の魔法使いも必死に女の子を止めました。

でも、今まで女の子を襲っていた魔女が女の子に狩られるのは、

正しい流転の形であって何も間違ってはいません。

別の魔法使いは女の子を殺してでも止めようとしました。

女の子は逃げました。まだ、魔女は沢山いるのです。

魔女を殺し尽くして人間を守るまでは殺される訳には行きません。

そして、女の子は親友や仲良くなった仲間と離れ離れになり独りに戻ってしまいました。

女の子は寂しくて悲しくて辛くなりました。

そして、まだかまだかと新しい獲物を求めるのでした。

女の子は・・・そう云えば、最初は自分の方が魔女にやられていたのにと真っ黒になって笑うのでした。















女の子は気付きました。

悪い魔女に捕まっていた大好きだった男の子と男の子と仲良しの女の子を助けました。

でも、その二人は真っ黒になった女の子をバケモノと呼んで追い払いました。

女の子は気付きました。自分がバケモノになっていた事に気付きました。
















女の子は気付き・・・絶望しました。

何故なら魔女は沢山の人に呪いを撒いて殺して呪って不幸にするからです。

何故なら良い魔法使いは夢と愛と希望を振りまいているからです。

女の子は知らない女の人の悪口を言っていた男の人達を××しました。

女の子は沢山の人を呪いました。

女の子は沢山の人を不幸にしました。

もう、女の子には夢も愛も希望もありませんでした。

女の子は悪い魔女になってしまったのです。

その証拠に、女の子が持っている良い魔法使いの象徴である宝石は真っ黒に染まり・・・・

悪い魔女の持っている宝石にそっくりなのです。

女の子はその事に気付き、絶望し・・・・一言つぶやくと涙を流しました。

こうして女の子は世界を呪い、絶望を振りまく魔女になってしまいました。

































「・・・やっと見つけた」


駅のホームにあるベンチに項垂れる様に座っていた美樹さやかを見つけた佐倉杏子は

持っていたお菓子を開封し、さやかの隣に座りながら呆れた様な口調で問い掛けた。


「あんたさ、いつまで強情張ってる訳?」

「・・悪いね、手間かけさせちゃって」


さやかは自分の中身が少しづつ変貌して行く事に気付いた。

もう既に手遅れである。


「魔法少女って・・・そういう仕組みだったんだね。誰かの幸せを祈った分は、

 誰かを呪わずにはいられない」

「・・・さやか」

「あたし、駄目だった。あれだけ皆の為に恭介為にって思ってたのに・・・

 それでも結局恭介や仁美を恨んでる。・・・・そういう醜い気持ちを誤魔化せない。

 どうしても自分中心に考えちゃう。そんな自分が許せない・・・

 結局あたしは、一体何が大切で何を守ろうとしていたのか・・・

 もう何もかも訳分かんなくなっちゃった・・・・」


そう云いながらさやかが差し出したのは真っ黒に変色した自分のソウルジェムだった。


「ほら・・・ソウルジェム。こんなに真っ黒になっちゃった。

 もう、魔法は使えない・・・あたし何か・・・居ない方が良いよね?」

「おい・・さやか・・何でお前のソウルジェムがグリーフシードに・・・」

「やっぱりこれ・・・グリーフシードだったんだ。あたし、やっぱり化け物だったんだね」


驚く杏子を見ながらさやかは最後の声を振り絞った。


「あたしって・・ホント馬鹿」


零れ落ちた涙がソウルジェムに落ちた瞬間。

それまで緩やかだった自分の内部の変貌が一気に加速したのを感じた。

(ああ、やっぱりそうだったんだ。あたしは魔法少女じゃ無くて魔女だったんだ)

変貌が加速するにつれて、意識が遠くなって行く。

いつの間にか自分が居るのは駅のホームでは無く、見知らぬ劇場に変わっていた。

さやかは特に驚く事もなく、身近な客席に座り遠くなっていく意識に合わせて目を閉じようとした。

次の瞬間


「・・・、誰?」


見知らぬ何かが自分顔を覗き込んでいる事に気が付いた。


「あれ、オレが見えるの?・・・そうか。アンタも、怪物になっちまったんだな」


異様な風体のソレは、初めて聞いた声で馴れ馴れしく笑いかけて来た。

異様な風体の少年。全身に隙間無く刻まれた入れ墨の様な物。

公務員所か、アレでは民間企業でも雇っては貰えないはずだ。

だが、さやかはソレの風体よりもソレの表情が気になった。

ニヤついた口、あざ笑う目。・・・無性に腹が立つ。

もし、彼女の体が通常営業ならすぐさま飛びついて顔を殴りつけるほどに。


「あーー・・・いや、ちょっと違うか。アンタはそんなスッキリしたモンじゃ無い。

 アンタ、自分が何物か自覚はある?」


自覚?覚悟は無いが事実としては認められる。

ついさっき気付いた事ではあるが、これから魔法少女だった彼女は消滅し魔女へと変貌し

怪物へと成り果てる・・・それだけの事だ。


「なるほど、潔い。けど、アンタは怪物の定義を知らなさそうだなぁ。

 分かってるか?ソレは生きる為に人を襲うんじゃなく、人を襲う為に生きる生き物だ。

 人間社会を真っ向から・・・端から端まで否定する殺戮機構。

 ただ居るだけで害悪になる毒。それが怪物ってもんなんだが・・・それが自分だって言い切れる?」


分かっている。そんなものは、これから魔女になった自分自身が何度も何度も体現する事だ。

いや、今までも・・・そうだった。

周りの皆を傷つけ呪った。偶然電車に居合わせただけのホストを八つ当たりで何となく××した。

何となくで人間を××した。


「始めから・・・今までだってそうだった。そして、これからの・・私も・・・」


私は始めから怪物だったのだ。

それを理性や容姿やらで擬態していただけ。

・・・いつか魔女になるのなら、自分の本性も同じものに過ぎないのだ。


「だから・・どうでもいいでしょ?ほっておいてよ」


魔女を求めて街を徘徊し、気が付けば殺戮に没頭した。

正義の為、人の為、世界の為。そんなメッキはもう剥げ落ちた。

アタシの様な怪物は、いつかこうして化けの皮を剥がすのだから。

だって、アタシの様な奴はこの世界に居ない方が良いのだから。


「・・・・・・ハ」


なのにソレは笑った。

心底可笑しいと。

心底憎らしいと。

刻一刻と醜い怪物に変わって行く彼女を半端者と蔑むように。


「だから、そこが違うんだ。いいかい、怪物は本能でモノを殺すんじゃない。

 ソレは優れた理性でモノを殺すんだ。人の手に有り余る性能を総動員して、

 何の疑いも無く、何の悲しみも無く、身悶えるほどの喜びを持って殺し続けるのが怪物だ。

 ただ何となくで人間を殺すだなんて、そんなのは違う生き物なんだよ。

 アンタは、まだどっちにもなれない半端者みたいだけど。同時にどちらにも傾ける猶予がある」


もう諦めていた理性が、少しだけ目を覚ます。

まだ、魔法少女で居たいと・・・魔女になりたくないと。


「・・・それは・・どういう」

「分からないか?獲物を求めたアンタと、他のものが気になるアンタ。

 それはどちらも真実だ。どっちも否定は出来ないだろ。欲望に優劣なんざ無い。

 どっちが大きいか、どっちが大切なのかはその場その場で変わるものだ。

 肝心なのは・・・アンタが、まだ持っているかどうかの話」

「・・・なにを・・・?」


精一杯の理性を動員し、ソレの言葉に耳を傾けた。

だが、どう足掻いても魔女化は止められない。

その足掻きを・・末路を、ソレは笑いながら見下ろして


「・・・では問おう、美樹さやか。アンタは、その心に望むものが、まだ欠片でも残っているか」


・・・望むものなど無い。いや、あったがそれは叶えた。

けれど、強く想う事があった。

鹿目まどか。優しくていつも魔法少女になったアタシを支えようとしてくれた親友。

そんな親友に酷い言葉を投げつけ、何度も傷つけた。まどかに謝りたい。

佐倉杏子。最初は色々と喧嘩したけど、色々あって仲良くなった仲間。

そんな仲間ともっと仲良くなりたい。


「・・・あ・・あ」


だから、まどかを助けたい。

杏子と一緒に戦いたい。

もうすぐこの街にやって来る災厄から守りたい。

自分はどうあってもダメだが、まどかは助けたい。

杏子を魔女にしたくない。


「・・・・・え?」


唖然と手のひらを見る。

ソウルジェムの変貌は止まり、ソウルジェムのまま消えて行く。


「・・・なんで?」

「怪物じゃ無いからだろ?みっともないが、誰かを助けたいと云う気持ちがあるのなら、

 アンタはギリギリ魔法少女(にんげん)だ」


どこからかソレの声が聞こえる。

間近にいるのはずなのだが、その姿はもう見えない。


「あーあ。これで解決しちまったな。アンタの悩みは永遠に付いて回るが、

 その想いがある限り怪物になる事は無い。

 ・・・その苦悩と同じ様に。永遠にこちら側に来ることは無い」


遠ざかって行く気配。

陰にしか見えないモノが、馴れ馴れしく手を振って去って行く。


「・・待って・・・」


呼び止めようとするが体が動かない。


「はは、流石にしつこいなストーカー女。大した根性だが、今は大人しく死んでおけ。

 ああ、そうだ。コレ、もういらないなら貰って置くぜ」


ソレはアタシから盗った何かを持っている様子だったが、今のアタシにはもう見る事は出来ない。

どうせアタシはたいしたモノなど持って無い。欲しいんだったら、必要なら持って行けばいい。

どうせ体は動かないのし、ソレももう見えない。返して欲しくても今のアタシには無理だ。


「で、目が覚めたらちゃんと友達に謝っておくといい。ほら、オレが言うのもなんだけどさ。

 友達とは、仲良しじゃなくちゃな」


ソレはケラケラと笑いながら消えて行く。


「・・・そう、だね。まどかと杏子に謝ら・・・なくちゃね。

 それから、ついでに転校生にも・・・謝ってやろうかな?

 はは・・・・・こんな時まで・・・意地はって・・・アタシって・・ホント馬鹿・・・だね」


今度こそ目を閉じる。

彼女の意識は一気に闇の中に沈んで行った。













 
 

 
後書き
駄文にお付き合い下さってありがとうございます。
とりあえず見切り発車な感じですので、続くかどうかは分かりませんが頑張ってみます。 
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