『曹徳の奮闘記』改訂版
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第五十八話
「えッ!?」
一瞬の出来事に孫策は目を疑った。
突き進んでいた兵士達が忽然と消えたのだ。
「止まれ止まれェッ!!」
孫策の叫び声に、突き進んでいた兵士達は漸く足を止めた。
「一体どういう事よ………」
孫策は前方にいる兵士達の元へ行く。
「今、消えた兵士達はどうしたのッ!?」
「こ、これは孫策様。見て下さい落とし穴ですッ!!」
「なッ!?」
孫策は兵士の指差す先を見て絶句した。
地面がところどころで陥没していた。
「………これは布?」
孫策は穴が開いている箇所を触る。
「どうやら袁術軍は落とし穴を仕掛けていたようで………」
「見れば分かるわ。王双が直ぐに退却したのはこれがあったからよッ!!」
孫策は布を剥ぎ取る。
布はかなりの大きさであり、よく見ると、糸で繋ぎあわせていた。
「合肥城の周りは落とし穴だらけね。全軍撤退するわよッ!!」
孫策はそう決断した。
―――合肥城―――
「隊長。奴さんら気付いたみたいやで」
孫策軍を見ていた真桜が言う。
「そうか。ほんならこっちも反撃するか。雪風ッ!! 弓隊射撃用意ッ!!」
「はいッ!! 弓隊射撃用意ッ!!」
俺の言葉に雪風が頷いて、雪風自身も弓を構える。
「真桜ッ!! 砲撃用意やッ!!」
「分かったで隊長ッ!! 大砲隊砲撃用意やッ!!」
大砲隊が四斤山砲十二門に砲弾を装填する。
「準備完了ッ!!」
「弓隊放てェッ!!」
ビュンビュンッ!!
俺の言葉と一緒に矢が発射された。
「弓矢が来るぞォッ!!」
合肥城を見ていた兵士が叫ぶ。
孫策は咄嗟に南海覇王を構えた。
ドスドスドスッ!!
「ぎゃぴッ!!」
「ぱがらッ!?」
頭を、喉を、胸を矢に刺された兵士達が次々と倒れていく。
「ハアァァァッ!!」
孫策は飛んでくる矢を、自分に当たる矢は南海覇王で叩き折り、それ以外は避けている。
「撤退ッ!! 撤退するのよッ!!」
孫策は喉が枯れんばかりに叫んだ。
「真桜ッ!! 撃ち方始めェッ!!」
「よっしゃッ!! 大砲隊第一砲隊から砲撃開始やッ!!」
ズドオォォンッ!!
第一砲隊(三門)が砲撃を開始した。
目標は慌てて逃げようとしている孫策軍である。
―――孫策side―――
ズドオォォンッ!!
「ッ!? 大砲が来るわよッ!! 急いで撤退するのよッ!!」
私はそう叫んだ。
ズガアァーーンッ!!
『グワアァァァーーーッ!!』
大砲(四斤山砲)の砲弾が着弾した付近にいた孫策軍兵士が吹き飛んだ。
吹き飛んだ兵士は四肢を吹き飛ばされ、血は雨となって生きている兵士に降り注ぐ。
「だ、駄目だァッ!!」
「逃げろォッ!!」
孫策軍兵士は我先にと逃げ出す。
「急げッ!!」
私は冥琳の約束を破り前線で撤退の指揮をする。(こうでもしないと前線は崩壊するからね)
ズガアァァーーンッ!!
「ッ!?」
その時、私の後方十歩付近に砲弾が着弾。
そして近くにいた兵士達と一緒に私は吹き飛んだ。
ドサァッ!!
「あぐゥッ!!」
私は地面に叩きつけられた。
―――孫策side終了―――
「雪蓮ッ!!」
俺は吹き飛んだ雪蓮を見て思わず叫んだ。
「チィッ!!」
俺は石畳の階段を降りる。
「何処に行く気だ長門ッ!!」
「焔耶………」
俺の前に焔耶が立ち塞がる。
「………何処に行くかだと? 決まってる。雪蓮を捕まえて降伏を促すんだよ。何か意見はあるか焔耶?」
「………いや無いな。咄嗟の問いかけによく答えられたな?」
焔耶がニヤリと笑う。
「まぁ焔耶とは違うからな」
「なッ!? どういう意味だ長門ッ!!」
「さて? それより行くぞ焔耶。それにロッタと郭淮、張コウも部隊を率いて来い」
「はいはい。私は回復係ね」
ロッタはそう言いながらもついて来てくれる。
「城門開けッ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴッ!!
城門が開いた。
「行くぞォッ!!」
俺達は雪蓮の元へ向かった。
後書き
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