| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

大統領の日常

作者:騎士猫
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

本編
  第九話 夜中の会議

 
前書き
前回言ったとおり、早めに投稿することができました。
その代わり少し短いです。次回もできるだけ早めに投稿します。 

 
西暦2115年 8月 20日
クレムトス・ラーム


現在私が指揮を執る第5艦隊を含む3個艦隊は敵が駐留しているハワイ諸島に向かっている。
そして今私は総旗艦ヴァルキュリーの作戦会議室で頭痛薬片手に2人の人物と話し合っている。

一人はロンディバルト民主共和国の大統領、ペルシャール・ミースト大統領。

もうひとりは若手のホープとして有名なライレム・ホーランド中将。

現在は敵と交戦するにあたり、作戦を定めるためにちょっとした会議をしているところだ。
しかし、今のところこの会議はホーランド中将の独壇場と言っていい状況になっている。
大統領も少し・・・というか大分頭を痛めているようだ。
「そもそも大統領閣下は防御するだけでご満足なのですか!」
また始まった・・・

「もちろん良いわけがない。しかし我々には敵を押し戻す力すらないではないか」
その通りだ。攻勢に出たくても出られないのが現状だ。そのことをやつはわかっているのか・・
「今まではそうでした。しかし!先月技術部が開発した『新型戦略核弾頭』を使えば、君主制連合など恐るるに足りません!」
コイツは自分が何を言っているのかわかっているのか!核弾頭などガルメチアス帝国も含め、何カ国もの国々が保有している!つまり、我が国核を打てばその何倍もの核がこちらに向かって発射されるのだ!そうなれば泥沼の核戦争の開始だ。10年も経たないうちに人類は絶滅するだろう。
「・・・ホーランド中将、貴官は今何を言ったかわかっているのかね?」
大統領が怒りに満ちた声で言った。
「もちろんですが、何か間違った事を言っておりますでしょうか」
「我が国が君主制連合と戦う大義名分は貴族によって搾取されている平民を開放することだ。核を大量運用すれば当然民間人にも被害が及ぶだろう。そんなことをすれば我々はその平民を開放するという大義名分を失うことになるのだぞ」
「・・・・・」
「だいたいそんなことをすれば核戦争に突入するのは目に見えている。少しは考えて発言してもらいたいものだ」
「・・・申し訳ありません」
ふう・・・少しはホーランドも大人しくなるだろう。
さて、そろそろ本題に映らなければな。

「大統領、そろそろ本題に入りませんか」
「あ、うむそうだな。本題に入るとしよう。敵の編成はどうなっているのかな」
「はっ、敵は我が方と同じ3個艦隊総数およそ1050隻ほど、我が方より約150隻ほど多く、苦戦が予測されます」
「ふむ・・・どうしたものか・・」
流石に大統領に作戦を考えさせるのは無理か。

「閣下、私に良い作戦があります」
また、ホーランドか。今度はどんなことを言い出すのか・・・
「・・・ふむ、聞こうか・・・」
大統領も嫌そうだ。しかし聞かないわけにはいかないだろうな・・
「は、ではご説明いたします。まず、クレムトス中将閣下の艦隊と大統領閣下の艦隊で敵を引きつけます」
「つまり我々におとりになれというのか」
「そうではありません。あくまで敵の目を引きつけるのが目的です」
言葉ではどうと言えるがな・・・
「・・まあいい。続きを聞こうか」
「はっ、そして敵を引きつけている間に我が第十一艦隊が敵左翼から敵に突入し、敵を攪乱します。その後左翼側より離脱し敵が混乱している隙に三個艦隊で包囲殲滅するのです」
・・・悪くない考えだが・・・
「もし敵がこちらの意図に気づき、後退したらどうするのかね」
そのとおり後退されれば元も子もないが。
「我が艦隊にはミサイル艦部隊が通常より多く配備されています。敵が後退している隙に左翼より波状攻撃をかけ、敵の足を止めているうちに、敵を二個艦隊で右翼より挟撃し、包囲殲滅するのです」
「・・・よかろう・・貴官の作戦を採用する」
「よろしいのですか」
「中将には何か案があるのか?」
「・・ありませんが・・」
「であればホーランド中将の案を採用せざるおえんだろう・・」
「わかりました。閣下がそういうのでしたら」
「うむ・・・」
「ホーランド中将、明日までに具体的な作戦案を提出してくれ。あすの会議で改めて協議しよう」
「了解しました。あすまでに提出します」
「うむ、よろしく頼む」
「はっ」
大統領が席を立った。私とホーランドも続いて席を立つ。
「では、会議は終了する」
「「はっ」」
ホーランドとともに敬礼をした。大統領も答礼して、会議室を出て行った。
私も会議室を出ると待っていた副官とともに連絡艇に向かった。

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧