小説小ネタ倉庫
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
ハイスクールV×D ライド25
「エクスカリバー破壊って、あなた達ね……」
「本当に困った子達ですね」
溜息を吐くリアスと呆れた様子で呟くソーナ、正座して現状についての説明をしていた一誠達三人……序でにベンチに座っている精神的な消耗から回復した四季と彼と合流した詩乃の姿が有った。
「それで、貴方達は」
「流石にコカビエルの目的を推測すると、放置は出来ないって判断してこっちから協力を申し出た」
まあ、依頼を受けていたからと言うのが真実だが、四季はそれらを隠してそう告げる。立場上、何処にも雇われていない際の四季達の立場は中立に当たる。それを利用して今回は何も知らせずに聖剣使い二人に協力する事を選んだわけだ。
……はっきり言って、教会の人間は金払いが悪い癖に鬱陶しい傾向にある。下手に雇われているとしたら色々と煩い可能性が有るので、なるべく中立と思わせて依頼を果たしたい所だ。
「それで、祐斗はそのバルパーを居っていったのね?」
「はい、教会の二人も一緒です」
「あそこで深追いするのは危険だから止めたかったけどな……」
一誠の言葉にそう補足する。四季としてはあそこでバルパーとフリードを深追いするのは危険だと判断したので、まだ止まってくれそうな聖剣使い二人を止めたかったのだが、残念ながら止めるのが遅れてしまった。
まあ、三人居ればコカビエルとフリードを同時に相手にしたとしても何とか逃げられるだろうが……問題は復讐の権化になっている木場に退くと言う判断が出来るかどうかだが……木場とは友人ですらないので放置しておく。
「何か有ったら連絡を寄越すと思いますが……」
「変態ドラゴン、お前バカだろう?」
「復讐の権化となった祐斗が悠長に連絡よこすかしら?」
「ご、ごもっともです……。って、五峰、バカって何だよ!?」
「連絡する冷静さが有ったら、あそこで深追いはしなかっただろうが」
既に四季の中での一誠の価値はかなり低かったりする。……そもそも、四季にとって詩乃を侮辱した人間は常に『敵』でしかないのだから。……武器を向けてこないから必要以上に何もしないだけ、それが四季と一誠の敵対関係の現状である。
四季は敵に対して優しくする必要性は感じていない。特に、一誠の場合は四季に対する最大のタブーを犯してしまったのだ、親切になどしてやる必要は無いだろう。
「どっちにしても、今のままじゃあの半端剣士が志半ばで倒れるのは目に見えてる」
「……前から気になってたけど、祐斗は一流の剣士よ」
「技と速さだけはな。それ以外は三流……だから半端なんだ」
特に怒りに任せてその一流の技を見失うほどの未熟な……三流以下のメンタルと魔剣創造と言う神器に頼っている点が余計にその未熟さを増長させ、技を見失う原因となる。それが四季が木場を『半端剣士』と呼ぶ理由だ。
所詮は技も剣もそれだけでは何も傷つけない、扱う者の心が三流以下である以上、永遠に『半端剣士』と言う評価は覆らないだろう。
「小猫もどうしてこんな事を?」
「……祐斗先輩が居なくなるのは嫌です」
俯きながらリアスの問いに答える小猫。……純粋に眷族の仲間……木場が居なくなるのを不安に思っての行動だったのだろう。
ふと、横へと視線を向けると……
「貴方には反省が必要です」
「うわぁぁぁぁぁん! ゴメンなさい、ゴメンなさい! 許してください、会長ぉ!」
眼鏡を怪しく光らせながらゴゴゴゴゴと擬音でも付きそうな怒りの空気を纏っているソーナと泣いて謝っている匙の姿。
「ダメです、お尻を千叩きです」
「た、頼む、五峰ぇ、助けてくれぇ!」
「悪い、恨むなら変態ドラゴンと変態ドラゴンに協力した自分を恨んでくれ」
「五峰ぇ! お前、実はちょっと怒ってるだろ!?」
「変態と半端に対しては怒っているけど、別にお前には怒ってないぞ?」
助けを求められて流石に友達である以上助けても良いが今回ばかりは許可無く一誠に協力した匙が悪いと、パシィン、パシィンと響く音をBGMに冥福を祈っておく事にした四季だった。
下僕の躾は主の務め……グレモリーとシトリーの両眷族の部外者である四季と詩乃の二人は無関係である以上口出しは出来ない。
「で、オレ達帰って良いですか?」
「そうですね……あなた達にも聞きたいことがあるんですが」
「ああ、コカビエルは……オレの推測が正しければ、早ければ今夜にでも行動に移るはずですよ?」
「何故そう思うんですか?」
「そりゃ、流石に七分の一の剣が何本あっても聖剣使い一人と幹部とは言え堕天使一人じゃ、魔王相手に喧嘩売るには戦力不足だろうし」
流石に戦闘要員二人で魔王二人を相手に戦いを挑むほどコカビエルもバカでは無いだろう。……そもそも、奴の目的は戦争であって戦闘では無い。最悪の場合を考慮する程度の理性はあるだろう。……今回は相手に理性がある方が返って危険と言う所が特に性質が悪い。
「魔王が動く前に会長と部長さんの首を獲って悪魔側へ宣戦布告し、堕天使側と悪魔側の戦争を引き起こす、そうすれば天使も戦争に介入する可能性が高い」
要するに身の回りには気をつけてくれと言う訳だ。そんな会話をしている間も匙の尻を叩く手は止まっていなかったりする。
そんな訳でソーナに断りを入れて二つ重なる尻を叩く音と匙に続いて一誠の物も増えた悲鳴をBGMに公園を後にする四季と詩乃の二人だった。
「四季、大丈夫なの?」
「悪い……結構キツイ」
家に帰りついた瞬間に再び崩れ落ちそうになる所を詩乃に支えられる。隙あらば暴力の支配する影へと飲み込もうとしているブラスター・シリーズの力……。その誘惑を受けている以上、精神を消耗する。
……ブラスター・ブレードとブラスター・ダーク、後に使い手の名となった二振りの超兵装だが、その二人の超兵装の求めている物は持っている筈だ。耐えられるレベルなのはその証拠だろう。……少なくとも、後の騎士王となる王子の側で戦っていた者の精神を飲み込むレベルに耐えられると言う程四季は自惚れてはいない。
元の主に劣っているのは嫌と言うほど理解している。だが、それを差し引いても決定的な何かが足りていない、そんな気がする。
(……『命を捨てでも詩乃を守る“勇気”と“覚悟”』……。何が足りないんだろうな、オレには)
その疑問に答えるものは誰も居ない。流石に普通に戦う分には問題ないが、下手に力を引き出すと誘惑は不意打ち気味に襲ってくる。
イリナと戦った時にピンポイントバーストを使っても問題なかったので平気かと思っていたが、今回は許容範囲外と言う事だろう。どっちにしても、許容範囲では戦えないと言う事になる。
「悪い、少し休む」
「うん、おやすみ」
大切な人の声を聞きながらゆっくりと意識を手放す四季。……その後、コカビエルからの宣戦布告を受けたと言う連絡がソーナから入った。
非常事態解決の為の戦力として自分達では不足と判断しての協力の依頼だった。まあ、これで結果的にコカビエル対策の為に三大勢力から依頼を受ける事になったのだが、その辺は……
「よし、夏休みの旅行の旅費ゲット!」
「それって良いの? 元々他の所から依頼を受けてたのに?」
「大丈夫だろう? コカビエルと戦うって所だけ共通しているだけだし」
ページ上へ戻る