ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
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SAO編 Start my engine in Aincrad
Chapter-10 すべての終わり
Story10-5 想いの力、最後の走り
第3者side
「くそ、意識が…………」
「だめ、体が…………」
バタン
フローラは、ヒースクリフの攻撃を受け続け、ついに倒れてしまった。
シャオンはかろうじて意識がある。
二人ともHPも残りわずかだ。
「ゲームというのは常に公平でなくてはならない。それはデュエルにおいても……だ。
シャオン君、君の恋人には絶望したよ。
1vs1というルールを破ったんだからね」
「くっ…………」
――俺がシステムに頼ったせいで…………フローラが…………
「これは、その……罰だ」
――今、フローラに攻撃が当たれば…………確実に死ぬ。
俺が一番避けたかったことが、目の前で起ころうとしている…………
今、まさにフローラに剣が振り下ろされようとしていた。
「やめろ…………やめてくれっ…………」
その声も虚しく、シャオンの意識は遠のいていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
シャオンside
俺は……また…………守れなかった…………
ごめん…………ごめん…………フローラ……
俺のせいで…………フローラの未来は…………
「パパ」
誰だ?
「パパ、私です」
そこには、いるはずのないレイがいた。
「レイ!?なんで!?」
「ここはパパの意識の中です。だから、私もこうして出てこれます。
ところで、パパ、私との約束忘れましたか?」
「いや…………覚えてるよ。フローラを笑顔にすること、だろ」
「じゃあ、なんでママは泣いてるんですか?
なんで傷ついているんですか?」
「それは…………」
「はっきりと答えてください、パパ」
「俺のせいだよ。俺が未熟だったから…………
でも、今の俺にはどうしようも……出来ないんだよ…………」
「じゃあ、パパ、私との約束破るんですね」
「いや…………でも…………」
「パパ、今ママを救えるのはパパだけですよ。
この世界で最速を誇るパパしか、あのヒースクリフの剣を迎え撃つことは出来ません」
「俺だけ…………」
「そうです。パパしかいないんです。
ママや、みんなを救えるのは」
「…………」
「皆さんもそう言ってますよ」
「皆……さん?」
「「「「「シャオン」」」」」
…………!!
「フレンドシッパーの皆さんです」
「シャオン、久しぶり」
「お前…………未だに悔やんでんの?」
「だって…………だって…………」
目の前の人たちを…………助けられなかったんだ…………
「シャオン……俺たちのことを忘れろ、とは言わない」
「でもね……過去に捕らわれてちゃ、見えるものも見えないよ?」
「……………………!!」
スコール、レン、アルト、ユフィー…………
「シャオンはいつでも前を向いて、明るく輝いてなくちゃ」
ユナ…………
「お前らしさを取り戻せよ」
「そうですよ、パパ。
今、ママやみんなの命をパパが背負ってるんですよ。
決められるのはパパただ一人です」
「そうだぜ。お前が決めるんだよ、お前がどうしたいのかを」
俺は…………俺は…………
「みんなを……救いたいんだ…………」
「それがシャオンの決心なんだね」
「なら、私と……いや、私たちともう一度約束してください。みんなを笑顔にする、と」
「ああ、約束するよ…………俺はみんなを笑顔にするんだ」
「私たちは助からなかった。
それを本当に悔やむのなら……今、君の大切な人の手を掴んであげて」
「心配するな。お前の手は、もう……どこまでも届くようになっているから」
そっか……いつの間にか……俺は強くなってたんだ。
俺の手が、誰にでも届くように。
「受け取ってくれよな」
スコール…………
「俺たちの願いを」
アルト…………
「刻んでくれよ」
レン…………
「最後の、楽譜」
ユフィー…………
「終わらせてね、この世界を」
ユナ…………
「掴んでください」
レイ…………
『未来と言う名の明日を…………シャオン(パパ)の無限の速さで!』
みんな…………
「ありがとう…………!
俺は…………行くよ!!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺の意識は、そこで覚醒した。
「うおおおっ!」
ガキン
俺はSEED Mode-Accelerationを発動し、間一髪ヒースクリフの剣を防いだ。
「君にはもう体力は残ってない。なぜ…………抵抗するのだ」
「…………」
「君にはもう私に対抗する手段はない。
Mode-Accelerationでさえ、私には通用しないのだよ」
「…………るさい…………」
「ん?」
「うるさい…………そんなこと……どうだっていい…………
俺は…………まだ! 負けてないし、終われない!!」
俺はヒースクリフに剣を振り下ろした。
ヒースクリフは盾で防いだ。
しかし、盾には亀裂が。
「なに!君のどこにこんな力が…………!」
「俺は…………この世界で大切なことをたくさん学んだ。
大切な仲間と出会った。
いろんな経験もした。
だから…………感謝してるよ、お前には」
「ほう…………」
「だけど…………それとは別だ。
あんたは…………たくさんの人を傷つけたんだ。体だけじゃない、心も。
システムは完璧だろう。
俺たちプレイヤーに越えられるものじゃない。
だとしても! 人の想いは、願いは!
いつか…………すべてを越えて…………変えていく!
だから……お前に見せてやる!
俺が……俺たちが! 2年間紡いだ……想いの力を!」
その瞬間、俺の体が金色の光に包まれた。
「これは…………あのときの…………」
「まさか…………SEEDスキルを完全習得するとは…………」
「SEED Mode-Destiny…………これがSEEDの真の力……」
すべてを越えた速さで守れるものを守りたいという俺の願いが形になったんだと思う。
光が消えた後、俺の姿は変わっていた。
髪に青いメッシュ、瞳は暗い青、コートの色は蒼と黒が反転している。
現在の敏捷力に補正がかかる。
あわせてイグニッションドライブ、ソードユニゾンを発動する。
「ふむ…………」
「俺のラストドライブだ。
最後のひとっ走り……最初からトップギアで!!!
最後まで付き合えよ!! 茅場……晶彦!!!!」
ヒースクリフとの光速バトルが始まった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
第3者side
オーバーアシスト状態のヒースクリフが攻撃する。
それをなんなく回避するシャオン。
その間を確実に突いていき、HPをじわじわと削っていく。
その間にシャオンはどんどん加速していく。
やがて、ヒースクリフもシャオンのスピードに追い付かなくなった。
「フルアクセル・ストライクエンド!」
「そのくらい…………!」
ヒースクリフの視界からシャオンの姿が消えた。
「どこだ!」
「オーバーアシストねぇ…………アシストされても俺の方が速いな」
一瞬で叩き込む48連撃。盾の合間を通す完璧な攻撃。
「ぬおおっ!」
――この世界を終わらせる! そのために…………
加速していくシャオンのスピード。
「はああああ!」
ヒースクリフは盾で防ごうとした。
しかし、超高速48連撃。
「サークリング…………クレッシェンド!!!」
「ぐあああああっ!」
ヒースクリフを盾ごと切り裂き、HPが2割になる。
「トップスピードで……振りきるぜ!
鳴り響くは聖なる協奏曲…………
奏でるは四剣の旋律!」
連二刀流スキル、SEEDスキル、神速剣スキル複合96連撃…………
「ライトスピード…………ホーリーカルテット!!!!」
「見事だ、シャオン君」
ヒースクリフはその体を四散させた。
かと、思われた。
「だが、その力を目にしてはまだ終われない。
では、今度はヒースクリフではなく、ラスボスとして迎え撃とう。
もっと見せてくれ…………想いの力を」
四散したヒースクリフの体が元に戻り、その姿を変えていく。
「始めよう。最後の戦いを」
Story10-5 END
後書き
シャオンの力の要因……それは『誰かを守りたい』という強い意志に直結します。
だからこそ本当に必要な時にしか真の力を出さない……
さて…………次回はSAO編最終話です!
ここまで読んでくれた人たちに感謝します。
次回、SAO編最終話Story10-6 世界の終焉。
じゃあ……
フローラ「次回も、私たちの冒険に!」
シャオン「最初からトップスピードで付き合えよ!」
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