ソードアート・オンライン ~Hero of the sorrow~
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ファントム・バレット編 ~守り人たち~
疾走する『思い』
前書き
皆様がドンドンと強くなっていく・・・。
もう一つの連載のほうもよろしくお願いします。
今回もかなりグロいです。
待ち合わせ場所
「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」
ウェイターが頭を下げ、駆け寄ってくる。
ユキはいえ、待ち合わせですと言うと、静かな店内で無遠慮な大きな声が響いた。
「おーい、ユキ君!」
声のした方向を見れば、ニコニコとした男が席に座っている。
「・・・き・く・お・か・サァン・・・」
近付いて席につくと、菊岡は今日は僕の奢りだと言った。
「・・・そうですか」
ユキは菊岡が嫌いだ。
最初は感じのいい人だな、と思ったが、裏があることがすぐにわかった。
ユキはミルフィーユとコーヒーを頼み、菊岡との話を始める。
「で?何の用ですか?」
「君に頼まれてほしいことがある」
菊岡は何処からかパソコンを取出し、ユキの方へと向けた。
「・・・誰ですか?コレ・・・」
目の前に表示されたのは、一人の男。
黒い黒衣を着て、その眼は赤く光っている。
「君に彼を斃してほしい」
「・・・なぜ?」
「詳細はそこに書いてある文を見てもらえると助かる」
ユキはすぐに文を一瞥し、菊岡に向き直る。
そこに、ミルフィーユとコーヒーががやって来た。
ユキはコーヒーを飲み、口を湿らせる。
「・・・殺人犯ですね。少なくとも移動役とか二人必要ではないのですか?」
「へぇ、君もそう思うか・・・」
「報酬は?」
「600メガコルでどうだい?」
「いいでしょう」
ユキは承諾し、ミルフィーユを一口食べた。
「あ、そうそう」
菊岡はユキに言ってはいけない一言を漏らした。
「キリト君も行くから」
ユキはケーキを食べる手を止めた。
「今・・・なんて言いました、アンタ」
「キリト君も一緒って言ったんだよ」
「ふざけるなよ・・・アンタ!!」
ユキは店内で叫んだ。非常識なのはわかっている。
それでも、怒りを抑えきれなかった。
「こんな危険なことに、あの人を巻き込んだのか!?」
ユキの顔に、黄金の神経が浮かび上がり始める。
「いい加減にしろ!これ以上、アンタのエゴに人を巻き込むな!!」
フォークをミルフィーユに突き刺すと、底の皿ごとフォークが壊れた。
ユキはそのまま店を出て、香の朝食などを作るため、家に向かった。
研究所
ユキが菊岡と話してから三日が立った。
ライトはただ、ボーっとしていた。
友を救えぬ、無力な自分。掌を見つめていると、一人の男が、ライトに話しかけた。
「君がライトか?」
「・・・ああ。アンタは?」
力なく返事を返したライトに、男は笑ってライトの背中を叩いた。
「村雨良。仮面ライダーZXだ」
「・・・英雄さんが、何の用だ?」
「いや・・・ユキからリンという奴の話を聞いてな。詳しく聞いてみたくなったのさ」
「望まぬ力を正しく扱う事の出来た男の話をな」
二人はしばらく会話し、村雨は聞き終わると笑った。
「何で笑うんだ・・・?」
「いや、どの世界にも守る者はいるんだなと思ってな・・・」
そう言って、村雨は室内から出て行った。
「何だったんだ・・・?」
去りゆく村雨を見つめると、今度はユキが入ってくる。
「ライトさん、力が欲しいですか?」
「ああ、欲しいさ!友の一人を守れるくらいの力はな・・・!!」
「じゃあ、はい」
ユキはライトへと一本の剣を放り投げた。
それを見たライトは、すぐに身を退いた。その、恐ろしさに。
「なんだ・・・?なんだ、よ、そ、れ!!」
「これは戦乱。恨み。嫉妬。死・・・全てを司る、戦乱剣ダインスレーヴ」
「あ、あとそれ・・・早く制御してくれないと僕が死にます」
「守る覚悟・・・見せてください」
目の前の状況に、混乱するライト。だがこれは、約3時間で終結する―――――――。
研究所 リハビリ所
(なんで・・・なんで制御できないんだ!!)
莫大過ぎる、改造人間の力。これを、かの『伝説』たちは制御しているのだ。
「あなた・・・誰ですか?」
不意に。後ろからの声に、リンは振り向いた。
赤髪の武道着を着た少年が立っている。
「お前、は・・・」
「私?私はオーク。アシムレイトロイドNo.1、Awkward。sorrowと出身が同じの、怪人ですよ」
「へぇ・・・」
「貴方もリハビリですか?まぁ、使ってる器具を見て、力が制御できないとかですかね」
「なんで・・・それを」
リンは素直に驚いたが、オークはニッコリと笑った。
「私もそうですから・・・。あなたは確か・・・改造手術を受けた人ですね」
「・・・そうだ」
リンはその場に座り込んだ。力を制御できぬ、歯がゆさもあるが、何より・・・
(これじゃ誰も救えない・・・ライトも、あいつ等も・・・)
「・・・私もそうなんですよ。力を制御できなくて、諦めてました」
「それに・・・『トモダチ』を裏切ってしまいました」
「裏切ったのか?」
「そうです。裏切りました。でも・・・ユキはトモダチから聞いていました。私に・・・幸せになってほしいと。彼を裏切ってしまった、私ができる事は幸せに・・・今を全力で生きることだと思うんですよ」
「なんか・・・嫌なこと聞いちまったな。スマン」
「いや、いいんですよ。頑張ってくださいね」
ただ一人、リンが室内に残る中、村雨がやって来る。
「おい、手伝ってやる。立て」
「何言って・・・」
ガッッという音と共に、村雨の拳がリンにめり込む。
「何すん・・・」
「甘いな」
ガンッ!!
「それでは、力を制御して誰かを助ける事など・・・」
ガン、グシャッ!!
「できないぞ!!」
吹き飛ばされるリン。村雨がもう一発、拳を叩き込もうとした時――――。
『警報です!!この研究所から南西、21キロのところで怪人が出現!!』
「・・・!!」
村雨はリンを見ると、そのまま手を引っ張って駆け出した。
研究所
「早くしない・・・とっ・・・僕、死にますよ」
もうすでに、警報が鳴ってから二時間五十分。
「行けよ・・・俺に構ってる暇はねぇ、だ、ろっ!!」
ダインスレーヴを握りながら、彼は言った。
「いいから早くしてくださいよ!!」
「できるかよ・・・っ!!」
この圧倒的なる恐怖の剣に。
「・・・考えてくださいよ・・・あなたは何がしたいんですか?守りたいんですか?」
「俺は・・・俺は・・・!!」
皆を・・・手の届く範囲で・・・!!全部、全部っ!!
「守んだよ!!!」
ドス、とダインスレーヴは、ライトに突き刺さった。
「な、そんな馬鹿な・・・・!?」
ユキすらも予想外の出来事だった。
ダインスレーヴがライトに吸い込まれ、より赤黒くなり、ユキの体からアマノ・アズサが消滅した。
「象徴武器を・・・吸収した」
(一体・・・この人は)
肩で息をしているライトを見て、ユキは唖然とした。
(どこまで強くなるんだ・・・?)
そう思った瞬間、新たな象徴武器がユキの手に現れる。
「これは――――――」
それは、ライトの意志に触れて進化した、新たな象徴武器。
「葬炎・・・・」
シャープで少し長めの二本のダガーだ。
「ライトさん、行けますか?」
「ああ・・・」
二人が駆け出そうとしたその時、ライト(英雄)が現れた。
「俺にも、手伝わせてくれ」
「なっ、ライト!?どうなって・・・」
「まぁ、いろいろあるんですよ。・・・行きますよ」
二人のライトと共に、ユキは研究所を出た。
南西
そこは、小さな村だった。
その村は今だバダンシンドロームの傷跡が残っている場所だった。
バダンシンドロームとは、スピリッツ事件の時に大首領JUDOによって放たれた、最悪の病である。
大首領JUDOは、はるか過去に自身のことをスサノオと名乗り、日本を支配していた。
大首領のおかげで人類は発展と仮初めの自由が許されていた。
しかし――――それと同時に自身が使う龍の餌としても使っていた。
さらには、自由と言っても自由とは言えない。
なぜなら、自身に歯向かえぬよう、JUDOは人間の中枢神経に細工をしたのだ。
自身に歯向かえぬよう、自分から龍に食われに来るように・・・。
後に、命の尊さを知った同胞『ツクヨミ』によって、彼は封じ込まれることとなる。
その病は、この世界において殆どが浄化されている。
しかし、この村はほとんど浄化が行われておらず、最近になって本郷たちの手でそれが明らかとなった。
「「「「殺してくれぇぇぇええええ・・・」」」」
最初についたのは、リンと村雨だった。
「なんだよ・・・これ」
目の前の光景に、リンは唖然とした。
自分たちから怪人たちに向かって歩みだし、殺されている。
凄惨な音が周囲から次々と響く。
村雨はゼクロスに変身し、怪人たちを薙ぎ払っていく。
そして・・・リンは見てしまった。
大人が。赤ん坊を。怪人に。差し出して――――――。
「よせーーーーーーっ!!」
手を伸ばすが、思わず手を止めてしまった。
自分がふれてしまったら・・・逆に死んでしまうのでは。
考えてしまった。
目の前では、フクロウ獣人が赤ん坊を掴み、その嘴で、赤ん坊の頭部を・・・。
パキリ。
「ちいいいいっ!!!」
その所業を見たゼクロスが怪人たちを次々と屠っていき、フクロウ獣人を消し飛ばす。
リンは吐いた。その光景に。
一人の怪人が、火炎を吐いた。周囲が真っ赤に燃え上がる。
「・・・・」
ゼクロスは変身を解き、リンに掴み掛った。
「なぜ助けない」
「それはこっちのセリフだ・・・・っ!!」
「なんで・・・あんたは助けない!!なんで俺に構う!?」
村雨は、冷たい目で言い放った。
「哀れみ」
「!!」
「今を受け入れず、力に恐怖し、誰も助けない・・・」
「そんな男に対する、な」
「悔しいか?悔しいなら、『変身』してみせろ・・・!!」
「やってやる・・・やってやる!!」
村雨は構えをとる。光が徐々に強くなり、村雨の姿を再び変貌させる。
「「変身」」
ゼクロスはリンを見た。その姿は何も変わっていない。
「行くぞぉおおおおお!!」
リンは叫んで炎の中に突っ込んだ。
「冷凍ハンド!!」
スーパー1が全ての炎を氷に変えた。
「村雨、君は彼に俺と同じことを・・・!?」
「・・・そうだ」
「彼は力を制御しているつもりになっている、君も行け!」
スーパー1は次々と現れる怪人たちを殴り斃していく。
(・・・期待しているぞ、リン・・・)
村 東方面
一人の少女が、泣きながら叫んでいた。
「やめてぇ・・・みんな行っちゃダメ!!!」
少女は、喉を熱で焼かれようとも叫んだ。一人だけでも多く助けようと。
「なんで・・・なんでよ・・・」
仮面ライダーも誰も、来てはくれない。
がさり、と後ろのほうから音。振り返ると、一体の怪人が立っていた。
「・・・ギシャアアアアア!!!!」
怪人は少女に飛び掛かる。熱で頭が朦朧とする中、少女は思った。
(誰か・・・助けて)
ゴッッッ!!と。怪人が吹き飛ばされ、一人の少年が少女を庇うように立った。
「あ・・・ありが、と・・・」
焼けた喉から声を絞り出すと、少女は後ろへぐらりと揺れた。
「・・・」
少年、リンは少女を支えようと手を伸ばす。
壊さぬように。守るために。
キュイィィィィーーーーーーー!!!
フォトンブラッドが、リンの思いに応えるように紅く輝き始める。
全身にうっすらと真紅のラインが浮かぶ。
その姿は。かの紅き勇者のようで。
ユキ達と別れたライト(漆黒)がそこへやって来る。
ライトは、思わず涙を流した。
紅き勇者は、少女の体をしっかりと支えていた。
「・・・さぁ・・・始めようぜ。ライト」
笑ったリンに、ライトは涙を拭って答える。
「ああ・・・!ああ・・・!!」
自身の体から戦乱剣ダインスレーヴを抜き、ライトは身構えた。
怪人達へと、二人は突っ込んでいった。
村 南方面
「ライトさん!そちらの状況は!?」
「大丈夫だ!一気に片づけるぞ!!」
ウィザードにライトは変身し、ユキは古代障壁を操作して怪人たち薙ぎ払っていく。
「ギャオオオオオオン!!」
黒い炎が周囲を包み込む。
「マジか、なんでドラグブラッカー!?」
ライトの驚きに、ドラグブラッカーはテールアタックで返した。
「ぐあああああっ!!」
「ライトさん!クソッ・・・」
ユキはウィザードリングを取り出した。
それは、フレイムガルーダ。ランドクラーケン。ウォーターユニコーン。ハリケーングリフォン。
計四種のウィザードリングを、ライトへと放り投げる。
「ライトさん!あなたの力なら、僕よりも強く、うまく使えるはずです!!使ってください!!」
指輪を受け取ったライトはそれをスキャンする。
『ガルゥゥゥゥダ!!イーンフィニティ!!プリーズ』
ライトの希望。それは何かはわからない。しかし、プラモンスターはそれに応えた。
白銀のガルーダスタイルになったウィザードは、ドラグブラッガーを一撃で吹き飛ばした。
「一気に決めるぞ!!」
『チョーイイネ!ガルゥゥゥゥダ・インフィニティ!!!!キックストライク!!』
「オゥラアアアアアア!!!!!」
白銀の鉤爪が、ドラグブラッガーを一瞬で砕いた。
怪人たちは次々とライダーたちに斃されたという報告が届く。
だが、静寂が訪れ始めた村に、二つの波乱がやって来る。
ユキとライトの前に現れたのは。
「まったくさぁ・・・こんなにあっさり斃されちゃうとは思わなかったよ」
「ねぇ、ユウキちゃん」
ハートとユウキだった。
「それじゃあ、始めようか。最っ高のシナリオをさ!!」
東方面
ライトとリンの前に現れたのは、全身がつぎはぎだらけの男だった。
「・・・君たちは死んだはずでは・・・?」
男の第一声に、リンは答えた。
「地獄の底から帰ってきたんだよ・・・」
「お前の名前は・・・?」
ライトがそういうと、男は答えた。
「・・・ただの裏切者さ。・・・俺の名前は、アシムレイトロイドNo.10・Solitude。ソロだ」
哀しみを背負った者同士の戦闘が始まった。
後書き
かなり長い・・・。ソロの能力は滅茶苦茶強いです(多分)。
そんなわけで、皆様にスキルが譲渡されました。
英雄ライトには4つのウィザードリングとインフィニティの力。
漆黒ライトには、戦乱剣ダインスレーヴとスキル《戦乱剣》。
リンにはフォトンブラッド共鳴です。
てなわけで。感想・コメント・誤字・脱字・アドバイス・評価ありましたらください。
ではでは~。
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