フリージング 新訳
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第13話 Tempest Turn 4
前書き
最新話です!テスト近いので、更新が遅れると思います。
ばたりと、サテライザーは蓄積されたダメージによって倒れる。
その体の至る所には、切り裂かれた跡がある。その傷は、酷使し続けた体には致命的なダメージだった。
何時もならすぐに治る傷も、今は痛々しく残っている。
「ゲホッ………」
吐血しながらも、ノヴァブラッドを杖にして立ち上がろうとするが、体に力が入らず倒れてしまう。
普通ならば、ここで戦いはイングリットの勝ちだ。だが、彼女はこれだけで終わらせるつもりはない。
サテライザーの髪を、掴み持ち上げる。
「気絶したなどとは言わせんぞ。終を決めるのは私だ。」
慈悲も何もない言葉。サテライザーは抗おうとするが、そこまでの力が出ない。
ディバイントラストを掲げた。
その時だ。
「ヤラセねえよ。」
銀色の閃光が走った。それは、イングリットへとまっすぐに向かっていき、彼女が振り上げていたディバイントラスへと命中した。そして、もう一閃。命中した閃光がまるで刃のように、イングリットへと襲いかかる!
「くっ!」
その殺気に押され、イングリットも応戦を開始する。二本のトンファーで刃を止めるが、ぶつかり合う度に所々刃こぼれが起きる。
そして、一閃。
致命傷ではないにしても、イングリットの肩に、その刃が通った。
その隙を突いて、刃はトンファーをかち上げ、横にその剣を振るった。
「テンペスト・ターン!」
必死の行動だったのだろう。
テンペストをしたところで、本当に分身できるわけではない。
故に、この行為は刃を避けるのには、なんら効果はないのだ。
だが、意外にも効果はあった。
一瞬その剣の動きが止まったのだ。
まるで、イングリットのテンペストに驚いたように、一歩後ずさった。
それを見て、イングリットは全力のアクセルで距離を取る。
距離ができたことにより、刃の正体がはっきりと映し出される。
それは、やはり人間だ。
背は自分と同じか少し低い程度の少年。
少し茶色よりの羽気味な黒い短髪が、どこか鋭利な印象を与える。
サテライザーやイングリットに負けず劣らずの鋭い目つきに、右目の少し下辺りには、刃物で切ったような傷がある。
その容姿は、美しいと言うよりも、男らしいというようなものだった。
だが、それら全てよりも注目を浴びるのは、その容姿よりも、彼の右手である。
銀色の猛々しく、威圧的な肘までの籠手をつけ、その手には片刃の太く分厚い長剣が握られている。
異質だった。明らかに、普通ではない。
「貴様は……なんだ?」
イングリットが困惑した表情できいてくる。
そして、少年。いや、我らが主人公。
アオイ・カズトは、ニヤリと笑った。
「通りすがりの化け物だ。覚えておけ。」
******************
皆さん。一話空けてのこんにちは。の方もこんばんはの方も、主人公のアオイ・カズトですよ。
……誰に言ってんだろ。やめよう。見てる人いなかったら悲しすぎる。
そんなことは置いといて、今の話だ。
あの後、サテライザー先輩の言葉に少しショックを受けながら、歩いていると電話が鳴ったのだ。相手は非通知。
「もしもし?」
『やっはろー!元気してた少年!女神様だよー‼︎』
「………おかけになった電話番号は現在使われておりません。」
『いやもしもしって言ったよね!』
「何の用だ……痴女神。」
電話の相手は、俺をこの世界にダーツの旅で送り込んだ迷惑女こと、女神様だ。
彼女は、カズハが死んでから定期的に連絡をよこすようになった。
『いやいや、もうそろそろ、サテライザーちゃんが7位の子に喧嘩ふっかけに行くよ。』
「はぁ?そんなわけあるか、サテライザー先輩にはきちんと忠告を……」
したんだと、言おうとした時だ。
三年生の女子寮の方で、爆発音が鳴り響いた。
「…………え、マジで?」
『ね、言ったっしょ?』
本当にあの先輩、人の言うこと聞かないな‼︎悲しくなってきたよ‼︎
「教えてくれてありがとう。行ってくる。」
『お、ちょっと待たれよ少年!』
痴女神に耳元で叫ばれ、思わず足を止める。
「なんだよ……」
『いやね。一種の忠告をね。
『そろそろ、君の周りに数多くの災難や、悲劇が訪れるだろう。
『でも、恐れることはない。
『貴方は、それを乗り越えることができるのだから。』
何時もとは違う、真面目な声音。
その綺麗な声に、不覚にもどきりとしてしまった。
「つ、つまりどうゆうことだよ……」
『転成者は君だけじゃないから気をつけてねって話!』
「それを先に言えって切りやがった!」
大事なことだよな!転成者は俺以外にいるって、結構なものだよな!敵になるかもなんだからな‼︎
聞きたくても、かけ直せない。
初めてかかってきたときに、掛け直したらケータイが破壊されてカズハ姉さんにメチャクチャ怒られた……
俺以外の転成者。敵にならないのなら、別に気にすることはない。
だが、もし敵になるのなら、その時は戦争だ。今の俺と学園7位の先輩の様に。
「通りすがりの化け物だ。覚えておけ。」
某バーコードライダーのように言ってみたが、元ネタ知らない人に言っても悲しいだけだ。
「貴様…ふざけているのか?」
怒られた……気にするな。挽回しよう。
「ふざけてませんよ。大真面目です。」
グラディウスの剣先を7位の先輩に向ける。
だが、意識は背後のサテライザー先輩に向けている。
「大丈夫ですか…って、愚問ですね、はい。すんません。」
背中越しに尋ねるが、怖くて後ろを見ることが出来ない。殺気立ってるのが見なくても、背中にヒシヒシと伝わってくる。痛いくらいに‼︎
「どうして……」
ダラダラと冷や汗を流していると、サテライザー先輩から声がした。その声はどこか弱々しい。
「どうして…また、私を…助けたの…」
少し、非難めいた口調。余計なことをとか、そんな感じだろう。
彼女は、自分一人で勝ち取る勝利に、とてつもない執着がある。
それを否定するつもりは無い。
だが、俺はそれを肯定もしない。
「助けたいと、思ったらダメですか?」
「え……?」
理解しなくてもいい。
「尊敬している人の力になりたいと思うのはダメですか?」
これは俺の勝手な言い分で、
「貴方の隣に立ちたいと思ってはいけませんか?」
押し付けるつもりもないから。
「これ以上、貴方に傷ついて欲しくないと思うのは、悪ですか?」
ただ、知っていてほしい。
「貴方を護りたいと思ってはいけませんか?」
俺が貴方を大事にしているという事を。
だから俺は戦う。
この人の為に、剣を握る。
「ほったらかして悪いな。7位の先輩。」
敵は強大。
「いくぜ。」
けど倒す。
7位は俺を見下すように笑い、拳を構える。
「こい、一年生。」
後書き
ア・ン・ケ・ー・ト!
サテライザー先輩の「接触禁止の女王」
イングリット先輩の「秩序の守護者」など、カズトの二つ名をどうするか、アンケートがきたらその中から決めたいと思います!
それでは、またいつか
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