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ひねくれヒーロー

作者:無花果
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【日常】偽りの岩蓮華


花言葉
「よき家庭を築く」「豊かな才能」「勤勉」
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【日常】偽りの岩蓮華











夢を見る

暗い暗い、闇の様な夜の様な空間に落ちていく

轟音と痛みと共に落ちていく

そんな夢

優しかった音が、けたたましい獣の鳴き声へと変わり果てるさまを嘆くことも出来ず

ただ落ちていく

落ちる途中に見えたのは赤い瞳、不思議な模様の浮かんだ瞳

オレはそれが何だか知っている、何度も見たのだ

赤い瞳が言う


—成りそこない—


耳を塞ごうとしても頭の中に直接響いて来る呟き

思わず頭を振ると赤い瞳が消え去り、銀色の光が照らされた

夕暮れの道を歩くオレと誰か

太陽が血のように、炎のように赤く照らすその道の先には森

燃え盛る森


声が聞こえる

子供か、大人かもわからない声が聞こえる


——やり直したい——



「———何を?」





◇◆◇コン◇◆◇




思わず溢した言葉に飛び起きた

随分と不思議な夢を見た

あの赤い瞳の持ち主は、恐らくというか、奴しかいないだろう

マダラだ

だけど何故マダラが夢に出てくるのか分からない

それにあの声の主の事も分からない

聞き覚えはあるのだけれど、それがどこで聞いたものかわからない

装備を整えながらぼんやりと考える

「・・・あ、小刀・・・」

先日ご臨終された小刀

そうだった、今日の修行が休みなのは代わりを買いに行くためじゃないか

うっかり忘れていた

それにしても、チャクラ刀のほうが便利なんだろうか

シュロもイカリも最低一本は所持してるし

・・・たまには、相談でもしてみようか


刀という言葉に連想されて出てきたのは再不斬の顔

修行中によく見た、鬼のような笑顔・・・——ん?あれ笑顔?たぶん笑顔——のはずの顔が思い浮かぶ

一応師匠だし、刀に詳しいだろうしアドバイスでも貰おう

適当な紙にそれらしく書いて封筒に納める



目星だけでもつけておくため、商店街へ向かった










◇◆◇シュロ◇◆◇










工作書類が遅々として進まないシュロ君です

え、何の書類だって?

多分みなさんご想像の通りですよ

書類に手をつけようとするたびに、何かしらの邪魔が入って一向に作業が進みません

このタイミングの悪さ、もはや呪われているのではないか

そんな不安が胸をよぎる日々


通常任務をこなしながら里を徘徊して気分転換するも、気分は晴れず・・・


「ちくしょー嫁と子に会いてー」

「・・・貴様は何を言ってるんだ」


鬱々とした気分を振り払うように叫べば、冷たい声が響く

かけられた声に振り返れば見覚えのある白目・・・ネジ先輩がいた

わざとらしく声を高く上げて驚いて見せる


「おやまぁ日向の天才さんが何の用ッすか?」

「白々しい言い方を止めろ・・・
 ねたみコンの入院先は木の葉病院で間違いなかったな?」

「ん?
 あってるけど、今日はコン集中治療室行きだから面会できないぜ」

「・・・またか
 タイミングの悪い・・・」


・・・あれ、もしかして過去数回面会しに行ったのか?

よく見てみれば紙袋を持っている

見舞い品だろうか


「・・・サスケ奪還任務の時に、助けられたからな
 応急処置が遅れていたら、どうなっていたことか・・・」


ふむふむ

・・・奪還任務から結構日数経ってるんだけどなー

本当に間の悪い兄さんだわ

そんな思いがこもった視線で見つめてやれば、ネジ先輩も気にしていたようですぐさま目を逸らされる

自覚済みなら弄っても面白くないじゃないですかーやだー


「・・・油女、少し聞きたい事がある」

「シュロって呼んでくださいよ
 ほら、オレっち分家だから名字の方で呼ばれちゃうと・・・ね?」

油女で呼ばれる=本家の人間だからね!

オレ達分家組は基本的に名字では呼ばれない

本家のうるさ方にバレると色々面倒なのだ

やれ分家の人間が格式ある一族の姓で呼ばれよって〜などと言ってくるからな

「・・・!ああ、そうだったな
 お前も、分家だったな」

「ネジ先輩、基本的に油女は日向程厳しくないんで大丈夫っスよ
 んで?何を聞きたいんで?」

「・・・その、ハナビ様とねたみコンのことなんだが・・・

 ・・・

 付き合っているとか、婚約した、とかいう話はないか?」


「・・・は?」


婚約?

KO☆N☆YA☆KU ?

どういうこと、マジで何なのそれ

その反応を見るに、どうやらガセだったようだなとネジが安心したように言った


「いや、分家内で噂になっていてな
 日向一族は古い歴史を持つため、木の葉の名家と殆ど縁戚になっている
 ・・・ある意味近親婚が多い一族だ 
 うちはよりマシだったかも知れんが」

うちは一族はガチの近親婚だったみたいだしな・・・

「あーなるほど、これを機に外の血を混ぜて、計画的に血を薄めようって魂胆か
 ・・・コンは木の葉出身じゃないし、厄介な親族もいねぇ
 白眼の血を邪魔するような血継限界も持ってない」

目障りな親族がいないっていうのはありがたい

どこそこの一族と繋がってるとか裏切りだとか考えなくていいからな

血継限界持ちの家としては安心だろう

「そのうえ後見人は自来也さま、三代目を助けたという功績もある
 ・・・ただ虚弱体質が難点という話が分家で持ちきりなんだ
 ・・・このような事が当主に知れたらどうなるか・・・」

出身地不明という怪しげな経歴でも、木の葉が誇る変態・・・じゃなかった、忍の自来也と三代目から認められてるんだ

これ以上ない保障だろう

しかし、正直子供作れるんだろうか

そういう機能無事なのか?

19歳で女性陣へのあの淡白な反応はちょっと・・・性欲薄そう

「でもハナビは日向家を継ぐんだろう?
 当主の婿じゃ、虚弱体質はキッツいだろ
 ヒナタなら分からんでもない」

当主の姉に婿入りさせといて、無事に子供が産まれたら当主の子と結婚させて〜のほうが良いんじゃないか
 
「その、ヒナタ様には好いた方がおられるから・・・
 ハナビ様は構わないと仰った」

「・・・なにそれ、え、いつのまにそんな事態に」


あれ、ハナビとコンって喧嘩友達のはずなのに


「・・・日向一族の、甘味を改善させるそうだ・・・」


そんな絶望した顔で、そんなこと言わないでくれ先輩

コン、そうホイホイ餌付けするからこんなことになるんだぞ・・・

まだ噂の段階で良かった・・・
 
 










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スランプってこういうことですか助けて先生><
 
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