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東京喰種√B

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『蒼眼』

 
前書き
前回の続きです。
感想が聞きたいのでコメント下さい!! 

 
資料を閲覧、最近の仕事内容をパソコンのキーボードに入力する。
繰り返しの作業は別に嫌いじゃない。違う事を連続でするとダルイと感じるが同じ事を繰り返す作業は慣れれば楽で気が楽になる。相棒 幹凪 黒脊は隣の席でオンラインゲームをエンジョイしているが邪魔さえしなければ文句は言わない。彼はパソコンが苦手で操作に時間が掛かる。私はタイピング検定一級を持っているのでキーボードを打つ作業なら断然、幹凪の数倍は速い。
「流石ですね〜」
「何がだ?」
目はパソコンの液晶画面に指はキーボードに耳を幹凪に向ける。
「来週提出のレポートを今日中に終わらせるなんて」
「早目に準備した方が効率が良い」
蒼眼の喰種の存在が一番の問題点、基準点としてレポートを打ち始めて2時間が過ぎた。
手間を掛けて根気良く丁寧に文体を頭の中で整理する。
「敵、強ぇな!
数もウゼぇぇ!」
パソコンが苦手な幹凪でもオンラインゲームをプレイ出来る程度の知識は頭に入っている。
最近の若者の主流はネットゲームと聞くがアナガチ間違いじゃないのかも知れない。キーボードを叩く音が騒がしいが慣れている。普通に会話する方が楽で良いんだがゲームのZONEに突入した幹凪をネット世界から引き離すのは骨が折れる。私は幹凪の扱いに慣れているが完璧に扱える訳じゃない。
「暇で時間を有効に活用したいなら。
17区を探索すれば・・」
「パスです」
会話の途中で跳ね返された。
「何故?」
キーボードを打っていた指を止め視線を液晶画面から幹凪に向けた。
興味を失った表情で画面に集中している。オンラインゲームに興味は有るが私の会話に興味は抱いてない様子だ。
「会議で『彼』の調査許可は下りたんだ。
本腰を入れて調査出来るんだぞ?」
「以前、昨日の幹凪 黒脊は『彼』に興味津々でした。
でも・・・今の俺は関係ない」
「オンラインゲームで興味が削がれたか?」
「別にオンラインゲームに興味を削がれた訳じゃないです。
が、考えれば考える程に余計な『noise』が脳に走るですよ♪」
「『noise』?」
「脳内を蟲が掻き回す。
俺の脳内の思考回路をグチャグチャにグチャグチャに」
要するに・・・なんだ?
「言葉で表せない。
ですが・う〜ん」
言葉に息詰まった喉を掻き毟る。
「難しいです~ね」
「真相を真実を暴くのがか?」
「違いますよ
ゲームです~よ?」
オンラインゲームに集中している幹凪に真面目に会話する私が馬鹿だった。
喰種拷問&殺害&ゲームに全力を注ぐ相棒だが、自分以外の人間に興味を抱かない。
人間・・・違うな。自分以外の生物に興味を抱けないんだ。悲しい少年だと最初は思っていたが彼は天性の才能が自分以外の生物に対する好奇心を打ち消している。自分は他の人間と違う。固定概念が自分を縛りつけ孤独を愛する。
「ラッキーボーナスステージ!?
嘘?マジで!?」
自分が興味を抱いた抱けた物意外は無視、私が彼の相棒なのは幹凪が私に興味が有るからだ。
男が趣味?そもそも性に興味を抱けない彼に性別は関係ない。
「書類名『蒼眼』書類提出者 南 透」
「終わったですか?」
「一応ね。
脱字確認とクインケの回収で今日の作業は終了だ」
「先輩のクインケは整備回数が他のクインケに比べて多いですね」
「構造が複雑だからな。
整備が欠かせない」
幹凪のクインケの様なクインケは戦闘を連続で行っても整備の必要はない。
個人差が有るが戦闘の度に整備する喰種捜査官も珍しくない。
が、私のクインケは精密で複雑な構造で戦闘が無くとも週に3回のメンテナンスが必要なのだ。
「先輩のクインケ・・・俺は嫌いです」
「好き嫌いで決められる物じゃない。
適材者か不適者かだ」
「戦場を選ばない武器が断然良いじゃないですか〜?
先輩のクインケは戦場を選ぶ以前に戦闘に適さない」
「確かに・・・私のクインケは『戦闘』には向いてないね」
脱字は確認出来ない。後は保存してプリンターで印刷すれば今日の仕事は終了だ。
「お疲れ様で〜す。
昨日は大変でしたね~」
「え、昨日?」
「時間、確認した方が良いですよ?」
部屋に固定された時計を確認する。時間は0時3分で今日の作業は昨日の作業に変わってしまった。
睡眠時間が減るな。保存を確認、パソコンの電源を落とす。隣の席の相方がパソコンを終了すれば自宅に帰れる。
「君は帰らないのか?」
液晶画面に視線を向ける幹凪は無言だ。
ゲームに夢中で聞いてないのか?私は隣のパソコンの画面に確認する。
「掛かったね」
ゲームの戦闘画面で敵キャラとチャットしている?
「誰だ?」
「俺も知らないで〜す」
チャット内容は・・・・なんだ?日本語と英語が混じった会話・・・なのか?
会話に見えない。適当にキーボードを打って互いに煽って様に見える。
「会話の内容が理解出来ないんだが?」
「暗号ですよ」
「暗号?」
「最近ですね。
ネットを利用した捕食事件が多発してるじゃ〜ないですか」
ネットを利用した捕食事件は年々増加している。
ネットで会話『チャット』して知り合う。会話相手が喰種と知らず人間は会う約束をする。警戒心が薄れるのがネット捕食の真相だ。
「で・・・オンラインゲームのクランで喰種がオーナーのクランが存在する噂を入手したんですよ」
「クラン?」
「ギルド・・・・・・う〜ん。
先輩に説明するのが難しいな〜」
悩んだ末に結果は・・・・・?
「チームって言えば理解出来ますか?」
完全に馬鹿にしてるな。私の知識不足が原因だが・・・あれ?私は彼の上司だよね?
「そのオンラインゲームの集団で喰種軍団が混じってる噂が出回ってましてね。
上位ランカー集団で世界大会優勝の常連。
チーム名はアンデッドworld」
「その・・・アンデッドworldが?」
「人の話、聞いてました?」
変な視線を感じる。意図的な軽蔑の眼差しを感じる。
会話の意図が上手く把握出来ない自分に苛立ちを感じながら会話を続ける。
「要するに簡単に完結に説明すると。
オフ会で誘って頂きますで終了ですよ〜理解出来ました?」
絶対、挑発してるよな。
喧嘩売ってるよな。私の相棒でも限度が有るんだが・・・彼は知ってるのか?
「大体、理解出来た」
「ですか。
次のステップに進みましょう」
チャットが終了したのか画面が変わる。
変わった画面の先は幹凪のゲームアバターらしきキャラが椅子に座って挑発的態度で私を見ている。
その腐った目は幹凪に似ていて調子に乗っていた。
「俺も俺で調査してるんです〜よ。
俺が最近ハマったオンラインゲームのオフ会で行方不明者が出たんですよ。
オフ会を開いたのが・・先程、説明したアンデッドworldでオフ会の内容が複雑で曖昧なんですよ」
「複雑で曖昧?」
「暗号で記されたメールを一定のキャラに送信して暗号が解けたプレイヤーだけがオフ会に参加出来る。
メールが送られたプレイヤーはゲーム内で最強クラスの実力を誇った最強プレイヤー達でね♪
最強のプレイヤーだけが解読出来る暗号を解いてオフ会参加券を獲得なんですが・・ね〜」
「話の意図も話の終着点も見えないんだが・・・?」
「頭が硬いですね〜。
脳ミソまで鉄筋ですか?」
脳ミソ鉄筋?生まれて初めて言われた単語に私は絶句した。
年下の部下「一応相棒」に舐められてる?確かに考え方が硬いとか考え方が古いとかは上司に散々、言われた。
年上に言われるは我慢出来る。年下に舐めた口調で言われる?非常に腹が立つ。
「暗号を解いたプレイヤー達はオフ会の開かれる店に向かった・・・ですが何名か行方不明で行方知らず。
オフ会解散後まではオフ会に参加したメンバー達と騒いでたらしいですが・・・不確定要素が多いんですよね。
で、俺も丁度暇だったんで調査名目の暇を持て余す為の時間潰しで始めたんですが中々、面白くてですね〜。
大会に出場したんですよ。見事、結果は世界ランク三位で落ち着きました」
「え?」
「初日でレベルカンストはキツかった〜。
職業も安定で最強のバーサカーで攻守共にトップレベル!
でも、唯一スピードが初期設定キャラ並なんで3位が限界ですよ!」
「うん?う〜ん?
凄いの?」
彼の会話は理解出来ない節が多い。
私が世間知らずなのか?裏世間には詳しいが表世間は薄い。裏世間に関わり過ぎた代償が表世間の情報疎さ。
「最近は一日20時間連続プレイで頑張ったんですよ〜?
夜な夜な睡魔と戦い。
勝ち取った栄光を・・・先輩は凄いの?の一言で終わらせる。
悪魔ですか?」
「悪魔!?
侵害だ!」
反論するが幹凪の目は「うわ〜。コイツ時代遅れの化石だわ〜」とか思ってる目だ。
反論したい。でも反論する為の糸口が掴めない。私の口では幹凪に敵わないのか?
「一日中ゲーム三昧の生活理解出来ますか!
辛いですよ!尋常じゃないですよ!!」
「す・・・・済まん?」
「心が篭ってませんね♪
もう一回!」
「す・す・・すいません」
訳も解らず謝った。
私の落ち度が見当たらないが?会話の流れを順序的に思い出せば悪いのは・・・誰なんだ?
私の世間知らずが原因なのか?幹凪のオタク度が私の常識を超えてるのか?色々と考えるが結論は出ない。
考えても考えても考えても考えても考えても考えても・・・?待てよ?
「幹凪君?
先程の会話で気になる点が幾つか有るんだが?」
「なんです?」
「一日20時間ゲーム。
一日中ゲーム三昧の生活?
君は仕事を蔑ろで放棄、中途半端で放棄したのか?」
途端、幹凪の顔は汗の洪水で満たされていた。
「え、うん。
仕事合間に・・・ですね」
「先程の説明だと・・・仕事合間で出来る範囲を超えてるが?」
「お、お、俺・・・俺はですね!?
仕事と調査を同時に両立する為に・・・・仕方なく」
「言い訳は構わないが。
次に余計な事を言うと」
突如、幹凪の顔スレスレに右拳が放たれた。
私は満面の笑で優しく語り掛ける。
「で・・・続きが有るなら聞くよ?」
汗を滝の様に流す幹凪に優しく丁寧な口調で言う。
変だな妙に気分が良い。彼の反論が楽しみだ。
「言い訳も聞くけど・・聞き終わった時点で罰ゲームだ。
好きだろ?罰ゲーム?」
「ゲームは・・・好きですよ!
罰ゲームは嫌いです!」
「反論は聞かないよ♪
言い訳を聞こうか?」

三時間後

「仕事が疎かで・・・すいませんでした。
今後・・・ゲームは一日二時間迄にします」
生気を失った幹凪は枯れた声で反省文5枚目を読む。少しキツく然り過ぎたかな?
残り反省文枚数は27枚、今日中に終われば良いんだが。
時刻は3時25分か。仕事を終えたのが今日の0時だから3時間も経過してる。
段々と睡魔が襲ってくるが我慢我慢!今日の分の仕事は昨日中に全部終わらせた。今日は気ままに仕事を頑張って早目に帰ろう。缶珈琲を一口、口に含み呑む。眠気覚しになるが所詮は眠気覚しだ。睡魔が徐々に私の脳の計算速度を低下させ世界を狂わせる。
「オッハヨ〜ゥ!」
元気一杯の声が響き渡った。声の主は知ってるが空気読め!と耳元で大声で言ってやりたいタイミングで逆にナイスタイミングと言えるタイミングで上等捜査官 暁 カナメはズタズタとドカドカと私達も元にやって来た。
「あれれれれれ?
僕が一番だと思ったんだけど〜君達が一番が〜クソ負けたぜ!」
調子が読めない人間 暁 カナメは私が苦手なタイプの人間だ。無駄にテンションが高く人の三角関係を無闇に簡単に触れブチ壊す。それが彼の特性だ。
「おろ?
君達・・目の下の熊どしたの?」
「色々と訳が有りましてね」
「睡眠不足は駄目だね〜。
仕事に支障が出るよ♪
南さん!貴方は奥さんと娘さんが居るでしょ!家に帰って顔見せなきゃダメでしょ!」
オカマ口調で言われた。
元気な人だ。
「ね・・ね・・眠いです」
項垂れた顔で・・・寝てるな。
流石に拷問染みた刑で疲れ果てたか。
「寝顔、可愛い♪」
片手に持った毛布を幹凪に掛ける。
寝顔を堪能する暁の姿はオカマ風で見た人の目を腐らせる様な光景だ。見慣れた人間でも変な心境にさせる中途半端な場面・・・・私は苦手だ。
「す・すい・・す・・すい・・ま・・すいま~せ~ん」
「寝言、可愛い!?」
「勘弁・・・勘弁・・・勘弁して~」
私の説教が効いてるのか暁のキモい言動に困惑してるのか?
椅子で項垂れた少年 幹凪は絶望を味わう死刑囚に見える。
「可愛い♪♪マジ可愛い!!
寝顔キュート!!!!」
「た・・す・・け・・・て」
結構、見てる方はエグイな。
イカレタ天才 幹凪 黒脊が遊ばれてる。普段は人間を突き放すオーラを放っても寝てる時は無効化なんだね。無防備な姿は新鮮だ。
「私の相棒で遊ばないでください」
「え~も~ん」
そう言いながらも暁は離れ始めた。相当、幹凪の寝顔が可愛かったのか携帯のカメラで撮影。
位置を微妙に変え角度を変える。暇な人だな。
空腹感を覚えた。そろそろ朝ご飯にしよう。マックで良いかな?







 
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