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美しき異形達

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第三十五話 月光の下でその十五

「その博物館な」
「行くかどうかね」
「うん、嫌なら別にいいけれど」
 その間残って二人で好きなことを楽しめばどうかというのだ。これはこれで旅行の楽しみ方の一つである。
「どうかしら」
「面白いんじゃね?琵琶湖の水族館ってのも」
 薊は明るい、少年の様な微笑みで菊に答えた。
「それも」
「薊ちゃんも賛成なのね」
「湖や川の生きものの水族館だよな」
「そうよ」
 菖蒲が薊の今の問いに答えた。
「琵琶湖のほとりにあって滋賀県立だから」
「海の生きものばかりだったからな、あたしがこれまで行った博物館」
「鳥羽水族館も海がメインだったわね」
「神奈川にあるのもそうなんだよ」
「海に面しているから」
「学校の中の水族館もな」
 この世界規模の水族館もというのだ。
「どっちかっていうと海メインだしな」
「それでなのね」
「あたしも行ってみたいよ」
「私も。水族館とか自体が好きだから」
 裕香も行って来た。
「是非ね」
「裕香ちゃんは水族館自体がなの」
「だって。田舎だったから」
 高校に入るまで住んでいたその奈良の山奥はというのだ。
「水族館なくて。そもそも海や湖自体が」
「それで水族館そのものが」
「だから余計になのよ」
 興味があり好きになっているというのだ。
「行くのなら是非よ」
「それじゃあ」
「行こう、その水族館」
 つまり博物館にというのだ。
「これからね」
「それじゃあ」
 こうした話をしてだ、そのうえでだった。
 一行は遊覧船で琵琶湖の中を楽しんでから今度は水族館に行った。そして菊はビワコオオナマズを観てその大きさに驚いたのだった。それから京都に向かう一行だった。


第三十五話   完


                            2014・10・9 
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