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ハイスクールV×D ライド21
「付け加えるなら……木場の過去を知った上でこう言わせて貰おうか。『オレが知るか』」
「んだとテメェ!」
四季の言葉に激昂した一誠が掴みかかるが、その手を振り払う。
「はっきり言って、オレはあの半端剣士に何の思い入れも無い。寧ろ、ちょっと前に殺されかけたんだ……嫌悪しか感じないぞ」
「殺されかけたって、あれって試合だっただろう……」
「……明らかにあの半端剣士、オレを殺しに来てただろうが……」
「う……」
師愛と言っていたわりには、明らかに急所を狙って魔剣を振って来たり、どう考えても殺す気にしか見えなかった。流石に改めて考えると確かに木場は四季を殺す気でやっていたと一誠にも思えてくる。
「で、共犯者の変態、半端剣士について弁護はあるか」
「あ、あいつにだって事情が……」
「どんな事情があるかも大体知っている。その上で言わせて貰う……あいつ自身もあいつの過去も、オレにとっては無価値だ」
そこにどんな事情があろうとも、四季にとって木場と言う存在の価値は詩乃よりも圧倒的に低い。四季にとっての今の自分の持つ力は全て詩乃を守るための物。……それらを貸し与えるだけの価値は木場には“無い”。
ぶっちゃけ、仲間に頼まれれば一瞬の躊躇で貸しているのだから、どれだけ四季の中で木場の価値が低いのかよく分かる。
「だからオレは木場に力を貸す気もなければ、お前達の協力は要らない……。理解したか?」
「だったら……」
「決闘で決めるって言うのは無しだぞ。オレはお前と木場の二人よりも強いのは証明している筈だ。するだけ時間の無駄だ」
返す言葉も無いと言う様子で黙る一誠に対して、四季は笑みを浮かべながら……
「それじゃあ、話も纏まった所でオレ達はもう行かせて貰う」
ひらひらと手を振りながら立去る四季と詩乃の二人だが、
「チッ、半端剣士」
外に出ようとした時、ばったりと木場に会った。ふと、一誠の方に視線を向けると既に携帯電話で木場を呼んでいた様子だった。
「……話は判ったよ。正直言うと聖剣使いに許しを請うのは遺憾だけどね」
「それじゃあ半端剣士、このままご主人様の所から逃げてはぐれにでもなるか? お仕事の一環で遠慮なく斬り捨ててやるよ」
四季の挑発と言える言葉に睨み付ける事で返す木場。
「半端って、木場は一流の剣士だって……」
「自分の技を見失って安易な破壊力に二度も頼った奴の何処が“一流”なんだ? 魔剣創造なんて神器に頼るなら、せめて禁手に至ってからにしろ……己の全てを剣に預けていない剣士なんてその時点で二流だ」
そこまで言った後一息ついて、
「はっきり言ってやろう……半端剣士、今のままじゃお前は永遠に目的を果たせない。永遠に聖剣は……超えられない」
「君に何が分かるって言うんだ!?」
四季の言葉に激昂して立ち上がる木場に対して、四季は目の前に置かれたコーヒーを一口飲みながら、
「……お前の過去程度なら情報程度なら。こう言い換えるべきか? 仲間の犠牲の上に成り立った生と、リアス・グレモリーにら与えられた命」
遠回しな言い方だが、一言で言いきってしまえば『お前の事情は全部知っている』と言う事になる。
改めて立ち上がると、四季はゼノヴィア達の方へと視線を向け、
「オレ達はオレ達の手段で調べてみる。やつ等の尻尾を掴んだら連絡させてもう」
「分かった」
そう言って改めて手を振りながらファミレスを後にする四季と詩乃の二人。
実際、四季には敵の目的は幾つか推測できている。敵の正体がつかめた以上、相手のこの街での最終目的はリアス・グレモリーと支取蒼那の命。二人の首を持って悪魔側へと宣戦布告をする事だろう。
「(今はその過程か……。分からない事は何故エクスカリバーを選んだ? まてよ、だとしたら)詩乃」
「どうしたの?」
「推測は出来た。恐らくだけどコカビエル側に『皆殺しの大司教』はいる」
推理の為の材料はエクスカリバーを狙ったという点のみ。……どうせ奪うならば完全な形で残っている同等の聖剣を狙えば良い。何故態々不完全な聖剣を狙ったのかは……そう考えれば成り立つ答えだ。
「戦争狂に聖剣マニアの取り合わせか……もう一人位“狂った”奴が居ても不思議じゃないな、これは」
「その狂った連中の相手をするのは私達なんだから、嫌な想像させないで」
自然とそんな言葉が零れてしまう。
「まあ、あの変態と半端剣士も大人しく引っ込んでくれるとは思えないけど……」
何より、グレモリー眷属である以上……悪魔との戦争を望むコカビエルにとってはリアス・グレモリーを引っ張り出すための良い獲物だろう。
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