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転生とらぶる

作者:青竹
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マブラヴ
  0873話

 映像モニタに映し出されているのは、巨大な蛇ともミミズとも表現出来そうな長さを持ったBETAの死体。
 T.T.キャノンにより腹の中で爆発させたことで息の根を止めたが、間違い無く新種のBETAだった。

「シロガネ、聞こえるか。こちらアクセルだ」
『あら、どうしたの? スパイダーネット発射! 要塞級の足を止めなさい! その後多重連装ビーム砲で片付けて! ……見ての通り、こっちは今色々と忙しいんだけど。ああ、でも大丈夫よ。作戦通りに進んではいるから』
「らしいな。……それはともかく、ちょっとこれを見てくれ」

 BETAの対処で忙しそうにしているマリューにはちょっと悪いが、それでもこれはどうしても必要な事だろう。
 そう判断し、仮に母艦級と名付けたBETAの映像を向こうへと送る。
 母艦級がどれ程の大きさを持っているのかというのは、周辺に転がっている要塞級の死体を見れば明らかだろう。

『ちょっと、何よこれ……新種のBETA?』
「ああ。腹の中に大量のBETAを入れて地中を掘り進める能力を持っている。その能力から取りあえず母艦級と名付けたが、この映像を観戦武官達や、近くでこっちの様子を窺っている国連艦隊、アメリカ艦隊の方に流してやってくれ。何らかの情報を持っているかもしれないからな」

 そもそも現在BETAの中で最も小型種でもある兵士級にしても、初めてその姿が確認されたのは2年前でしかない。そうである以上、この2年の間に新種のBETAが出てきてもおかしくはないだろう。……あるいは、単純にこれまでにこのBETAが見つかっていなかっただけってのもあるかもしれないが。

『分かったわ、すぐに。……それでそっちの様子はどう? この映像をブリーフィングルームと、国連艦隊、アメリカ艦隊に流して』
「俺の方はこの母艦級以外に特に問題無い。他の連中はどうなっている?」
『どこも順調よ。ただ、アクセルが遭遇した母艦級は他に遭遇しているところはないみたいだけど』
「となると俺だけを……いや、ニーズヘッグだけを狙ってきたのか?」

 確かに高性能コンピュータを優先的に狙うというBETAの習性を考えれば、その可能性は十分にあるだろう。実際、それが原因で光線級や重光線級には集中して狙われているのだから。

『……向こうからの返事が来たわ。やっぱり世界でも初めて発見された新種ですって。取りあえず名前はアクセルが付けた母艦級ってのを仮に付けるそうよ。……で、ここからが本題。出来ればその死体を回収できないかって』
「また、無茶を」
『そうでもないわよ。既に死体なんだから、空間倉庫に収納出来るでしょ』
「可能か不可能かで言えば、勿論可能だろうが……」
『ならお願いよ。映像にあるくらいに巨大だと、そもそも鉄原ハイヴを攻略しても母艦級の死体を外に持っていくのは手間暇が掛かりすぎるでしょ?』

 ……なるほど、確かにその通りだ
 母艦級が姿を現せたのはホールであるここだからであって、空間的余裕がギリギリ……あるいはドリフトの方が小さかったりすれば、運び出すのはまず無理だ。
 それを思えば、確かに俺がこの母艦級の死体を空間倉庫に収納してしまうのが手っ取り早い。
 いや、俺の予想通りにドリフトを母艦級が作っているとすればそういう事にはならないと思うが……それでもこの大きさのBETAを外に運ぶのはマリューの言葉通りかなりの手間暇が掛かる、か。

「その場合、この母艦級の所有権はどうなる? 俺が倒したんだし、今回のハイヴ攻略に関してはバンクーバー協定の例外とされている筈だが」

 だが、フェイズ2でG元素が無いと判断したからこそバンクーバー協定の例外と認められたというのも事実だ。そこに、未発見BETAの死体なんてものがあったとすれば話は別だろう。
 下手をしたら、統一中華戦線辺りは強硬に主張してくるかもしれない。それは大東亜連合に入っている韓国も同様だろう。
 いや、そもそもこの鉄原ハイヴのある場所を考えれば、正当な権利云々と言ってくる可能性は非常に高いか。

『その辺はオーストラリアとアメリカ、日本辺りに押さえて貰えばいいでしょ。それとこっちで調査を完了したらデータを渡すと言えば問題無いでしょうし』
「それで納得するか?」
『せざるを得ないでしょうね。特に統一中華戦線は国連軍の援軍があってかろうじて戦線を支えている状況だし。それを思えば、現在このマブラヴ世界で国連を牛耳っているアメリカや、私達シャドウミラーとの関係で一躍アメリカに並ぶ程の影響力を有しているオーストラリア、同時にこの世界で有数の国力を持っている日本を相手に強弁は出来ないと思うわ。……突撃級が集団で修羅達の方に接近しているわ。連装衝撃砲、連装副砲……撃てぇっ!』

 話している間にもマリューが量産型Wに指示を出している声が聞こえてくる。
 どうやら、まだまだゲートからBETAが出てきているらしい。

「なるほど、そっちも忙しいようだからこの辺で通信は一旦切る。母艦級の死体に関しては持っていくから心配しないでくれ」
『ええ、頑張って頂戴。今日の夜はたっぷりとサービスして貰うからね』

 小さく笑みを浮かべてそう告げ、通信が途切れる。
 ……まぁ、夜のサービスはともかく、まだ余裕があるようで何よりだ。
 実際、今回の戦いではレモンを始めとして色々と無理を強いている。そういう意味でも、確かに今日の夜は忙しくなるのは間違い無いだろう。
 もっとも、それが嫌かと言われれば全くそんな事は無い。恋人達と肌を重ねるのを嫌がるような特殊な性癖を持っている訳ではないし。
 いや、それを言えばあれだけの人数を毎晩相手にしているというのが既に特殊な性癖と……いや、やめよう。この件に関して深く考えれば何か失ってはいけないものを失ってしまいそうな気がする。
 とにかく今夜はいつも以上にマリュー達を愛するという事で。
 ともあれ、まずやるべきは母艦級の回収だな。
 ニーズヘッグのハッチを開き、そのまま外に出る。
 瞬間、早速とばかりに臭ってくるBETAの死体から発せられる強烈な悪臭。
 特に俺の場合は混沌精霊であり感覚も人間よりも数段、あるいはそれ以上に鋭い。それだけに悪臭で受ける嗅覚的なダメージはより酷い。
 BETAの悪臭に眉を顰めつつ、それでもここがハイヴ内部であるのを考えて念の為にニーズヘッグを一旦空間倉庫に格納する。
 BETAが高性能なコンピュータに引き寄せられる以上、俺が母艦級を格納している間にニーズヘッグを内部から壊されたりしたら洒落にならないしな。
 そんな風に考えつつ、かなり離れた場所にある母艦級へと向かって歩き出し……

「ちっ!」

 舌打ちをして、影槍を生み出す。
 その飛んでいく先にいるのは、人間よりも大きな2m以上の身長の存在。
 それでもBETAの中では最も小型な種族でもある、兵士級だった。
 どっしりとした下半身と、発達した筋肉を持つ上半身。頭部は丸く、見ようによっては可愛さも……ないな。
 俺を見つけるや否や、そのどっしりした下半身では到底出せないような速度で突っ込んで来る兵士級BETA。その兵士級BETAへと向かって影槍を放ち、同時にどこに隠れていたのか、あるいはニーズヘッグの攻撃からどうやって逃れたのか、周囲を20匹近い兵士級や闘士級BETAに囲まれる。
 だが……甘いんだよ。

『燃える天空』

 混沌精霊の能力の1つでもある、呪文詠唱を破棄しての魔法発動が可能な焔ノ宴を使い、俺が使える最大限の効果範囲を持つ広範囲破壊魔法を発動する。
 瞬時に周囲に満ちる莫大な炎。
 俺自身は混沌精霊である為に炎は全く問題ないのだが、BETAはそうはいかずに兵士級や闘士級BETAの全てが瞬時に燃え尽きて灰と化す。
 幸いまだ母艦級から離れていたのでそっちにまでダメージは届いていないが、それでも今の影響の周囲の温度は数十℃近く上昇し、それに従って悪臭もまた一段と強くなっている。
 うわっ、呪文の選択をミスったな。操影術の方を使っておけば良かった。
 兵士級と闘士級の丸焼きを見ながら、悪臭に耐えつつ母艦級の方へと走っていく。
 母艦級自体は焼かれていないのだが、それだけに周囲の気温が上がった影響で急激にその悪臭が増している。
 母艦級の口の中から、更に突き出されている口の牙のようにも見える部分へと触れ……

「収納」

 その一言で母艦級の巨体はあっという間に姿を消す。
 ふぅ、取りあえず母艦級の回収という役割は果たしたな。
 ……この母艦級を解析するにしても、ホワイトスターの中で下手に取り出したりすれば臭いが周囲に染みつくんじゃないだろうか。ならいっそ、オーストラリアにある基地の近くで解析はやった方がいいかもしれない。
 当然そうすれば他の国からも解析に参加させて欲しいと言い出すだろうが、ぶっちゃけBETAの解析情報は俺達が独占しても特に意味は無いんだよな。
 この世界特有の存在なんだし。
 そんな風に考えつつ、空間倉庫からニーズヘッグを取り出してから周囲にBETAがいないのを確認し、コックピットへと入って機体を起動していく。

「マリュー、こちらアクセルだ。母艦級は取りあえず回収したぞ。……ただ、これの解析はホワイトスターでやらない方がいいかもしれないな。BETAだけにかなりの悪臭だ」
『うーん、確かにBETAの悪臭を考えれば……分かったわ、その辺は後でレモンに相談しておくから、アクセルは早いところ反応炉に向かってちょうだい。……要塞級に向けてホーミングミサイル、撃てぇっ!』

 俺と会話をしながら命令を下すマリュー。
 だが、ホーミングミサイルを使っているとなると、既に光線級や重光線級に関しては片付いたと思ってもいいのだろう。

「了解だ。地上の方のBETAの数はどうだ?」

 ツイン・ドライブを起動し、エナジーウィング共々使いつつドリフト内部を進んでいく。
 ホールから周囲には幾つかドリフトが続いていたが、下へと向かっているらしいドリフトを選んで進む。
 ……が、グネグネと曲がっては上に下にと向かい、完全に迷っている感じになっているな。この辺、もう少しどうにか出来ればいいんだが……

『まだまだ地上のBETAは元気よ。幸い、光線級と重光線級は出てきた瞬間に攻撃を集中されて何も出来ずに死んでいくけど、それでも他のBETAは底が見えないわね』
「フェイズ2でもBETAの数は相当らしいな」
『と言うか、ハイヴ拡張に伴ってBETAが爆発的に増えているんでしょうね。確かその辺の論文があった筈よ』

 マリューからの通信に頷いてから通信を切り、ドリフトの向こう側から現れた突撃級に向けてヒュドラのビーム砲を放つ。
 そのビームはあっさりと装甲殻を貫通し、本来であれば倒すのに酷く苦労する筈の突撃級を易々と駆逐していく。
 ……まぁ、最近はリニアガン・タンクを使う軍隊も増えてきた影響で、真っ直ぐに突っ込んで来る突撃級はいいカモになっているらしいけど。
 もっとも、リニアガン・タンク自体の機数がまだそれ程に多くない為に、突撃級が大軍で押し寄せてくると対処は難しいらしいが。
 ともあれ、こっちから提供している戦力の有益性が理解されると同時に、各国や国連軍からオーストラリア政府を通してリニアガン・タンクの輸入を要望されている。
 また、アメリカ、日本、欧州、スウェーデンではバッテリーや推進剤の制御系周りの改造にもある程度成功し、シャドウミラー製程ではないにしても戦術機の稼働時間は飛躍的に伸びているらしい。
 特に日本ではかなり技術力が伸びているという話を聞いている。この辺、どう考えてもストライクダガーの影響だろうな。さすがにビーム兵器の類は複製出来ないものの、現在必死になって研究しているって話だし。
 ただ、レモン経由で夕呼から聞いた話によると、城内省とかいうところがかなり頻繁に横槍を入れているとか。
 確かに日本の技術が伸びているのは予想通りだが、飛鳥計画のデータや試作機をこっちに渡した事の影響でストライクダガーの優先権に関しては城内省が強烈に所有権を主張しているんだとか。
 まぁ、その気持ちは分からないでもないが……国家の一大事に権力闘争に明け暮れる辺り、救えないよな。
 こちらもまた夕呼からの情報だが、斯衛のパイロットを育てる為の士官学校のような場所でも何やら非人道的な実験を行っているって噂があるらしいし。
 その辺を夕呼に掴まれている以上は、取引材料になるんだろうが。
 にしても、斯衛の士官学校に通うのは武家。つまりは日本の貴族に等しい存在だ。その子女を相手にして非人道的な実験をやるとか……正直意味が分からない。
 その辺をやるにしても犯罪者なりなんなりで人体実験をすればいいだろうに。
 何らかの理由はあるんだろうが。
 ……もしかして手近で済ませたいとか、そんな下らない理由じゃないよな?

「っと!」

 考えに集中していると再び上に存在しているスリーパー・ドリフトから現れた戦車級が雨の如く降ってくるのを回避しつつ、エナジーウィングの刃状のエネルギーを掃射して一掃。ついでとばかりにスリーパー・ドリフトの中へとヒュドラのビーム砲を撃ち込んで破壊し、ひたすらにハイヴの内部を移動していく。
 そして……やがて再びホールの中へと突入すると、そこではレモンのヴァイスセイヴァーとスレイのシャドウが無数のBETAを駆逐しているところだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:55
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1120 
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