ソードアート・オンライン ~Hero of the sorrow~
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力の予感
前書き
ALO編終幕。ユキは平穏を受け入れた。しかし―――――――――
戦いの運命は、ユキを逃さない。
森の中。仮面ライダーが存在せず、『正義』が存在しない世界。
少女は駆け足で逃げていた。
『助けて・・・・』
『誰か助けてよ』
少女の呟きは、誰にも届かない。
周りには無数の怪人が蔓延り、少女を襲おうとしている。
怪人の一体が、少女に襲い掛かった。
少女の右手はいとも簡単に喰い千切られ、咀嚼された。
少女は激痛と孤独に苛まれ、絶叫を上げた。
『誰か、助けてよ――――――――――!!!!』
「っ、うわぁ!!」
僕は絶叫により目が覚めた。周りには誰もいなく、夕暮れが差している。
「・・・なんだっ・・・たんだ?」
夢であるはずなのに、リアルな感覚。それに腹部が熱い。
アマダムか?
ココは学校だ。なのになぜ誰もいない?そして―――――
「今の夢は――――――」
考え込んでいると、後頭部に衝撃。
悶絶しながら振り向くと、アルゴさんが立っていた。
「約束の時間から、そーとー過ぎてるんだが?」
「あ、いや・・・すみません、香さん」
香、と言うのは、アルゴさんの本名だ。
早乙女・アルゴ・香。ミドルネームがゲームの名前になっていたそうだ。
「ほら、行くぞ」
香さんに手を掴まれ、僕は目的地まで引きずられていった。
ダイシー・カフェ
僕はバイクから香さんを降ろし、すぐ傍でエンジンを切った。
扉の前には和人さん、明日奈さん、直葉ちゃんが何やら話し込んでいる。
「何してるんですか?」
話しかけると、和人が振り向いた。
「いや・・・父さんの話をしていてな」
和人さんのお父さん。桐ケ谷 和希。
茅場博士と共にアシムレイトロイドを造った張本人であり、現在は死んでいるはずの人物。
(・・・・アキちゃんのお母さんが殺したのか・・・?)
僕がビジョンの中では、和人さんに似ている人物―――――――――否、おそらく桐ケ谷和希氏は、拳銃を向けられていた。
(そこからの記憶がないんだよな・・・)
ボーっとしていると、アルゴさんに引っ張られて店内へと投げ込まれた。
「あれ?何でみなさんいるんですか・・・?」
早すぎる。予定の時間よりも早く来たとしか考えられなかった。
「うっそだよ~ん。主役は最後に登場しなきゃ。てなわけで~~・・・・」
ご唱和ください!!
「ユキ&キリト!!!SAOクリアおめでと~~~~!!!」
和やかな空気に、思わず僕は笑った―――――――。
僕はカウンターに着くと、エギルさんにお礼を言った。
「あの・・・ありがとうございました」
「ん?何がだ?」
「貴方のおかげでキリトさんはあちらの世界へと来れた。キリトさんがいなければ出来ないこともありましたしね」
エギルさんは満面の笑みで笑うと、僕の頭を撫でた。
「馬鹿だな、子供のピンチに何もできない大人がいてたまるか」
笑みで返すと、突然、後ろを向かされる。
「えっ・・・・ムゥ!!!???」
ケーキが顔に突っ込んできた。
口の中に甘みが広がり、皆さんが笑っている。
僕は静かに笑みを浮かべ、傍にあったケーキを持った。
「覚悟はできてるんでしょうね・・・皆さん?」
ユキは、どす黒い笑みを浮かべると、ケーキを持って跳び上がった――――――。
全てが終わった後で。
どうやら疲れて皆眠ってしまったようだった。
僕は一人立ち上り、窓を開けて空を見る。
月明りが周りを照らしている。香さんの顔が見えた。
(・・・綺麗だな)
僕は外に出て、月を見上げた。
・・・なんだ?少しだけ声が聞こえた。
ペガサスの超感覚が、その声を拾った。
キイイイイイイイイイイッ!!!
『ロイ・・・ヤル、ナイツ』
(別世界の力・・・・!)
『助・・・け、て―――――――――――!!」
いる。助けを求めている人が。あの月に――――――あの世界に。
(香さん・・・すみません)
通信機能を起動し、全員の携帯へとメールを送る。
3日で帰ります。みなさん、お体にお気をつけて。
(本郷さん。別世界へと行って来ます)
メールと一緒に通信を送り、スーシールシーカーを起動させる。
「音声認証、航空巡航モード起動!!」
スーシールシーカーが飛び上がり、月の方へと加速していった。
事実、ユキはこの三日後に帰還する事となる。
圧倒的な力を持ち、完全な怪人と化して―――――――――。
後書き
ユキが別世界へと行く話は、後に書きますので。
ユキが別世界で手に入れた能力は二つ。全てを覆す、とてつもない力です。(リスクはありますが)
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