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ハイスクールV×D ライド18
強い、リアスはイリナと四季の戦いを見て四季の事をそう評した。魔剣を持っている木場には影の超兵装ブラスター・ダークで、聖剣を持っていたイリナには光の超兵装ブラスター・ブレードを持って勝利を収めた姿に改めて思う。
(……彼の説得には完全に失敗しちゃったし、もう少し彼の事を調べてから接触するべきだったわね)
そう言いつつ、グレモリー眷属から離れた位置に居る詩乃へと視線を向ける。
(でも、下手に彼だけを眷属に加えるのは危険ね。彼女が他の誰かの眷属になった時には、間違いなく敵になる)
レーディングゲームに於いて強力な駒にはなるだろうが、同時に詩乃が敵側になれば間違いなく裏切る。……王よりも優先すべき相手が居ると言うのは味方にするには危険極まりない。
(彼を従えるには最低でも彼の分の駒と彼女の分の駒が必要になるわね)
残りの駒の数を考えながら四季を眷属にする事が可能か考えてしまうが、残りの駒は騎士と戦車。内心、無理だと言う考えを飲み込みつつ、先ずは協力者から、と改めて思い直すことにした。
流石にそのまま放置するのも目覚めが悪いと、倒れているイリナを背負いながら地面に刺さっているエクスカリバー・ミミックを引き抜くと、
(ゲッ)
ピンポイントバーストを防いだ位置に罅が入っている事に気が付いて思わず心の中でそう思う。
(……だ、黙ってればバレないよな)
幸い誰も気付いていない様子なので見なかった事にして足早に移動する途中、木場の姿が目に入った。
「その聖剣の破壊力と僕の魔剣の破壊力、どちらが上か勝負だ!」
そう言って作り出したのは四季と戦った時以上の巨大な両手剣状の魔剣。
「バカな奴。過去の敗北にすら何も学んでないな、あの半端剣士」
気絶しているイリナをグレモリー眷属の近くに寝かせるとエクスカリバー・ミミックを彼女の側に置きながらそんな事を呟く。
「なっ!? どう言う意味だよ、それは!?」
その呟きが聞こえたのか木場を見守っていたグレモリー眷族の視線が四季のほうへと向き、そんなグレモリー眷属を代表するかのように一誠が四季に詰問する。
「いや、あいつは……」
「残念だ……」
グレモリー眷族に向けての四季の言葉と木場へと向けられるゼノヴィアの言葉が重なる。
「「選択を間違えた(な)」」
木場は既に一度四季を相手に犯してしまった失敗を再び犯してしまっている。
「選択を間違えたってどう言うことなの?」
そう言って四季へと問いかけるのは何時の間にか四季の近くに来ていた詩乃。
「ああ、あいつの最大の武器はスピード。それと同時に巨大な剣を扱うには筋力不足。オレの超兵装の様にエネルギーを刃にした質量ゼロの刃なら兎も角」
目の前でゼノヴィアのエクスカリバー・デストラクションに魔剣を砕かれる様を指差す。
「攻撃が大振りになる上に自慢のスピードを自ら封じる事を意味する」
トドメとばかりにエクスカリバー・デストラクションの柄の部分を鳩尾に叩き込まれる木場の姿を見据えながら、
「隙が大きくなればそれだけ相手からの反撃を受けやすくなる上に、半端剣士の能力上破壊力は無用。一撃でダメなら十、十でダメなら百、相手の反撃を許さず切り裂けば良いだけだ」
崩れ落ちる木場の姿を見ながら四季は詩乃へのアドバイスを加える。明らかに木場を『悪い例』にして詩乃へのアドバイスに利用している。
「強力な武器でも自分の筋力で扱えない武器は逆に弱くなるだけだから、詩乃も気をつけた方が良い」
「うん、気をつける」
周りはちゃんと自分の特性に有った武器を持っているので、悪い例が無かったので詩乃への注意点を与える例が無かったので丁度言いとばかりに説明に使っている。
「そう言う訳だ。序でにもう一つ。『聖剣を破壊する』、そんな考えに支配されて無用な破壊力なんて物を追い求める。……自分の技を見失う……半端と言ったが……剣士として落第点だな」
そう言って手を振って立ち去って行く四季と詩乃。
「……アイツは剣士じゃなくて武器作り……其方へと進むべきだったな」
聖剣への憎悪が有る以上その選択肢も無理だろうが、魔剣を作ると言う点のみに特化していればよかったと思う。……実際、四季の知り合い……と言うよりも友人経由で知り合った相手、『聖剣創造』の亜種神器を持った少女も前線に立つより仲間に武器を提供する立場に立つ事が多い。
「四季、言いたい事ってアレだけじゃなかったでしょ?」
グレモリー眷属から十分に離れた時に詩乃がそう問いかける。
「ああ。精神面……こっちは主の責任だな」
下手に刺激しすぎない方が良いだろうと思って黙っていたが、そう思わずには居られない。
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