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ムスタング

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3部分:第三章


第三章

「ではムスタングを護衛にしよう」
「わかりました。それでは」
「すぐに」
 こうしてだ。爆撃機の護衛にムスタングがつけられた。そしてだ。
 ドイツ本土への爆撃が再開された。すると。
 長距離まで行くことができしかも高性能のムスタングの前にだ。ドイツ機は。
 相手にならなかった。しかも数が多い。こうなってはだ。
 ドイツ機ではどうしようもなかった。爆撃機の損害は格段に落ちた。
 このことに連合軍首脳部は安堵の言葉を漏らした。とりわけだ。
 アイゼンハワーはだ。満足した笑みでこう言うのだった。
 参謀達と昼食を採っている。ステーキにマッシュポテト、そこにサラダやコーヒーがある。アメリカ軍ならではの見事な食事だ。
 それを食べながらだ。彼は参謀達に言うのである。
「成功しているな」
「はい、ムスタングをつけたのは成功です」
「ドイツ機はムスタングの相手になりません」
「爆撃機の損害は目に見えて減っています」
「そして爆撃の成果もです」
 爆撃機の損害が減ればそれだけ爆撃の成果が出る。だからだ。
 成果もまたあがっていた。それは即ちドイツの国力が落ちることだ。
 そのことについてもだ。参謀達は話す。
「このまま続ければドイツの降伏が早まります」
「ですからこのまま爆撃を続けましょう」
「是非共」
「そうだ。爆撃を続ける」 
 まさにだ。そうするとだ。アイゼンハワーも言う。
 そのステーキをフォークとナイフを使い切り口の中に入れて。それで。
 食べながらだ。彼は話すのだった。
「爆撃の数も増やそう」
「では。爆撃機の数も出撃回数も増やして」
「ドイツを攻めていきましょう」
 こうしてだった。アメリカ軍の爆撃はさらに激化していった。
 出撃回数は増える。それは爆撃機だけではなかった。
 護衛のムスタングのパイロット達もだ。出撃することが多くなった。
 今日もだ。慌しくだった。出撃の用意をしていた。
「プロペラ回せ!」
「急げ!」
 基地の中にだ。喧騒が響く。
「第七中隊全員揃ったか!」
「揃った中隊から機体を出せ!」
「全中隊出撃だ!」
「ドーバー海峡で爆撃機と合流するぞ!」
 命令も次々に下る。その中でだ。
 パイロット達もだ。ムスタングのコクピットに乗り込みだ。そのうえで。
 機体を滑走路に出してだ。誘導を受け次々に出撃していく。
 そして合流地点であるドーバー海峡に向かいながらだ。通信で話をするのだった。
「今日も慌しいな」
「ああ、予定は決まってるのにな」
「どうしてもそうなるな」
「出撃はな」
 急ぐからだ。そうなるのも当然だった。
 その中でだ。彼等は出撃してだ。こんな話もするのだった。
「しかし。最近出撃自体が異常に増えてないか?」
「そうだよな。出撃回数がな」 
 彼等もだ。このことについて話す。
「そもそも出撃している数も増えたな」
「爆撃機が千いく時もあるしな」
「俺達も爆撃機の倍出ることもあるしな」
「少なくても百機は出るからな」
 爆撃機も戦闘機もだ。
「この前はムスタングが三百でフォートレスが四百か」
「それが三日続いたからな」
「俺達も連日出撃ってこともあるし」
「忙しくなってきたよ」
「全くだ」
 こんな話をしてだった。彼等はだ。
 ドーバー海峡でその爆撃隊と合流してだった。すぐにだ。
 飛び方を変えた。上下にエスの字を描いて飛ぶ。アメリカ軍の護衛戦闘機の飛び方になったうえでだ。護衛についたのである。
 そうしてドイツ本土に向かう。その飛び方の中でだ。
 彼等はだ。さらに話すのだった。
 
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