| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

蜻蛉が鷹に

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八章


第八章

 浜尾はだ。仲間達に言うのだった。
「あの歓声をな」
「俺達に向かわせますか」
「そうしますね」
「絶対に」
「ああ、絶対にな」
 そうするというのであった。
「あれ以上の歓声にするぞ」
「ええ、じゃあ」
「行きましょう」
「是非」
 こうしてだった。彼等はショーに向かうのだった。そうしてそれぞれの機体に乗り込みだ。空に飛び立つのであった。そこからだった。
 浜尾はだ。通信で隊長に言った。
「隊長、ここはです」
「ああ、あれをやるんだな」
「ここはあれしかありません」
 こう彼に言うのであった。
「それでいいですか」
「そうだな。負けていられないからな」
 隊長もだ。負けん気があった。自衛官としてだ。
 それでだ。隊長も言うのだった。
「じゃあな」
「はい、やりましょう」
 こうしてだ。ブルーインパルスはだった。
 まずは急上昇してだ。それから。
 一機ずつ横に連なりだ。そこから一機、また一機と横にスライドしていく。そうしてそれぞれの色の煙を出していくのだった。
 それからだ。宙返りに次ぐ宙返りを見せるのだった。
「おいおい、やるなあ」
「自衛隊も」
「思った以上にな」
「やってくれるな」
 観客達はその動きを見て言う。
「結構以上にな」
「凄いよな」
「ああ、大したことないって思っていたけれどな」
「それでもな」
「けれどな」
 しかしだ。ここでこうも言われるのだった。
「まだこれ位じゃな」
「ああ、アメリカ軍もっと凄かったよな」
「もっと派手にやってたしな」
「そうだったよな」
 こうしてだ。アメリカ軍よりは落ちると言われた。だが。
 ここでだ。浜尾が隊長に言われた。
「浜尾一尉」
「はい」
「あれをやるぞ」
「わかりました。それじゃあ」
「やるぞ」
 こうしてだった。彼等は超低空飛行に入るのだった。
 地面すれすれに飛んでだ。そうして。
 そこから宙返りに反転、きりもみ飛行をしてみせるのだった。
「おいおい」
「一歩間違えたら地面に激突だぞ」
「それするか?」
「ああして」
 これはだ。アメリカ軍もしないことだった。
「それをするかよ」
「自衛隊徹底してるな」
「ああ、あそこまでやるか」
「これは」
 そしてだ。遂にこの評価が出た。
「アメリカ軍超えてるな」
「そうだな、あれは」
「もうな」
「確実にな」
 こう言われるのだった。そして。
 浜尾がだ。また隊長に言われた。
「最後は御前が締めろ」
「了解」
 隊長の言葉に応えてだ。すぐにであった。
 滑走路のところに来てだ。何と。
 滑走路すれすれの高さに飛んでみせる。そこできりもみ回転に宙返りをしてみせてだ。一瞬だけ着地してそこからまた急上昇してみせてまた着地してみせたのである。
 そこからまた飛ぶ。それを見てだった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧