ジョジョは奇妙な英雄
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追憶のメモリーズ
前書き
リメイクしてくよー
私の力は、八歳の時ぐらいに目覚めました。
理由は分かりません、ですが私には困った人を助けたいと思っていましたので、これは主が私に授けて下さった恵みであると理解していました。
その力、神器の聖母の微笑と後に名付けられる力で私は困った人や怪我をした人を救ってきました。
ただ、喜んでもらいたくて笑顔でいてほしくて私は困った人や傷ついた人を助け続けたんです。
誰かを私の力で助ける度にお母さんとお父さんは私を褒めてくれました。
でも、ある日を境目に変わってしまったんです。
何時からだったのかをハッキリ聞かれましても、私はよく覚えていません。
ただ、その日から私の両親が急変したのは覚えています。
今までは私が困った人や傷ついた人を助けることに賛成してくれていたはずだったんですが、ある日に協会の人が私の家に来ました。
「アーシア・アルジェントか?キリスト教の者だ、我々と来い。その奉仕精神、感激した。主から授かったその力、我らと共に使ってみないか?それこそが汝の為すべき事であり、これからの生涯で行なうべきことである。」
最初はお母さんもお父さんも面食らったようでした。ですが、教会の人たちから受け取ったお金や私が困った人や傷ついた人を助けたい、と言うのもあって彼らについて行ったんです。
それからというもの私の生活はがらりと変わりました。教会に住み込みで働くことになったんですが、そこで私が人々を治療しているうちに人々から『聖女様』と呼ばれるようになりました。
たくさんの人々を教会に来ることによって助けることが出来る、と言うのは良かったのですが、私は一つ気になっている事がありました。
人々の目です。
私に傷を癒してもらった後、人々は口々に私に「ありがとうございます、聖女様!貴女のおかげで助かりました!」とお礼を言っていただけるんですが、どうにも彼らの言葉には何か裏があるように見えるのです。
蔑んでいるような目でした。
私がまるで傷や治療をするだけの人間の形をしただけの何かに見られているようでした。
それでも、私は治し続けました。
私はただ単純に助けたかったから、人の役に立ちたかったから。
“聖母の微笑”の名を授かる私の神器を使わずにはいられなかった。
私にとっては全てだったんです、神様に祈ることと同じくらいに誰かを助けるってことが。
そんな時、あの日がやってきました。
「だ、大丈夫ですか!?」
私にとってそれは、今後の運命を変える出会いでした。
良い意味でも、悪い意味でも。
私の今後のすべてが変わってしまって、何もかもが崩れて何もかもが手に入ってしまう原因となる出会い。
その人の容姿はその辺りでは珍しいものでした。
少し明るい色をした長めの黒髪。
ボロボロになってしまった身体。
私より高い背丈。
背中から生えた小さな翼。
そして従える、逞しい人影のようなもの。
ファミリーネームは覚えていませんでしたが、彼は“センジョー”と言いました。
傷ついた彼を放っておけなくて、私は彼を助けました。
“聖母の微笑”を使用して傷を癒し、彼に力を与えました。
ところが、私がセンジョーを助けたと知ると教会の方々はセンジョーを捕らえていったのです。
「堕天使や悪魔に主から与えられた聖なる力が通用するはずがない!」
「聖女様を誑かして奇妙な術を使ったな!?」
「いや、そもそもアーシア・アルジェントは魔女だったんじゃないのか!?」
私には信じられないことでした。
私は誰にでも救われる義務はある、と彼らに言いました。ですが、彼らは私の言葉に耳を貸さなかったのです。
彼らは口を揃えて言いました。
“悪魔や堕天使に神から与えられた力が有効に作用するはずがない、悪魔の怪我を治したお前は魔女だ”と。
こっそりと私はセンジョーの様子を見に行きました。
センジョーが気が付いた時、私にはセンジョーが悪魔のようには見えなかったんです。ごく普通の私と同じ年頃の男の子。
私が知らないことを知っていて、困っている私を助けてくれた優しい人。
いつの日か、ハーレム王と言うものになることを夢にしていて、私がそれに加わりたいといったら二つ返事でした。
後で聞いたところ、ハーレムの意味を知ってからセンジョーを殴ってしまいましたが。
何日か経って、そんなセンジョーが私がセンジョーと共に処刑されることを聞いたそうです。
神を冒涜するものとして生かしてはおけない、という理由で。
優しいセンジョーはその話を聞いて、今までの私が見たことないくらいに激しい怒りを示しました。
いつものセンジョーじゃないんじゃないか、って疑ってしまうくらい。
怖くなって震えてしまったんでしょう、そのときの私の震える肩を優しく掴みながらセンジュさんは私に言ってくれました。
「大丈夫、アーシア。親切にしてくれたお前を処刑させたりはしねえ。俺はまだアーシアに借りを返せてねえんだ、俺に恩返しの一つさせてくれないだろうか?」
いつもの優しい笑顔を私に見せてくれたセンジョーさんを見て私は自分が憎たらしくなりました。
―――――――――ああ、いつものセンジョーだ。どうして私は疑ってしまったんだろう?センジョーさんに申し訳ない。
それから何日か後、センジョーはいなくなりました。
センジョーがいなくなった日、教会は大量の血で溢れていました。
近隣の村の人たちは「悪魔の仕業だ」と言っていましたが、一本だけ明るい色をした黒い羽根が落ちていたのでセンジョーがしでかしてくれたのでしょう。
私は殺されずに済んだにしても、貴方がいなくなってとても寂しいです。
貴方に救われた命だというのに、どうして貴方がいなくなってしまうんですか?
どうして、貴方は私のために傷つくんですか?
私は人を治す力を持っていて、それでたくさんの人を助けた。
なのに、私が助けようと思った人が傷ついて傷ついてしまうなんてそんなの嫌です。
今、私は新たな環境にいますけど、センジョーはお元気ですか?
また誰かに喧嘩をふっかけて傷ついたりしていませんか?
私が教えたとおりに本とか読んでいらっしゃいますか?
あの優しい日差しのような笑顔と心地よいような笑い声を誰かに聞かせていますか?
友達、できていますか?
誰かの為に問題に突っ込んでいってしまうような、お節介はしていませんか?
夢であると私に語ってくれたハーレム王にはなれていますか?
私のことは忘れていませんか?
貴方が好きな気持ちは、私は忘れてないんですよ?
千城、
アーシア・アルジェントは、貴方に会いたいです。
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