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美しき異形達

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第三十四話 湖のほとりでその六

「そっからだな」
「薊ちゃん絶対に準備体操忘れないよね」
「怪我したら駄目だからさ」
 笑ってだ、薊は裕香にも言った。
「それは忘れてないんだよ」
「いいことね」
「特に泳ぐだろ」
「急にお水に入ったら心臓に悪いしね」
「そうだよ、足だってつるしな」
 泳いでいるその時にだ。
「準備体操は欠かさないんだよ、あたしは」
「それで今からもよね」
「準備体操をじっくりしてな」
 そして、というのだ。
「泳ぐなり遊ぶなりしような」
「それじゃあね」
 裕香も頷き他の面々も加わってだった、準備体操をして。
 それから全員で琵琶湖の中に入って泳いでビーチバレーもした、遊びの内容は白浜の時と変わらない。だが。
 違うことがあった、湖からあがった桜にだ。
 高校生位と思われる男が数人来てだ、笑って声をかけたのだ。
「君凄く可愛いね」
「アイドル?モデルさん?」
 こう声をかけるのだった、水着姿の桜を囲んで。
「よかったら俺達と遊ばない?」
「一緒にさ」
「ビーチバレーか西瓜割りでもして」
「楽しく遊ぼうよ」
「ナンパ?」
 その男連中を見てだ、向日葵が桜の横に来て言った。
「ひょっとして」
「あっ、この娘も可愛いな」
「そうだよな」
 男達は向日葵も見て言った。
「小柄で童顔で」
「アイドルかな、この娘も」
「グラビアの撮影してるのか?」
「琵琶湖でそんなのするか?」
 ナンパからそうした話になっていた。
「アイドルの娘だとな、ガチで」
「声かけたらまずいな」
「事務所の人が出て来たらな」
「厄介だしな」
「?何してるのよ」
 今度は菊が出て来てだ、桜の横に来て男達を見て言うのだった。
「ナンパならお断りよ」
「この娘も可愛いな」
「健康的な感じでな」
「何かここまで可愛い娘が揃ったらな」
「やっぱりアイドルじゃねえのか?」
「アイドルグループか?」
 彼等は本気で疑いだしていた、そこにさらにだった。
 薊達残るメンバーが全員来た、その彼女達全員を見てだった。男連中は確信してそのうえでこうしたことを言った。
「間違いないな」
「ああ、この娘達アイドルだよ」
「ご当地アイドルか何かだぜ」
「ここまで可愛い娘が揃ってたらな」
「鉄板だな」
「この娘達アイドルだよ」
 こう言うのだった。
「じゃあな」
「ちょっと声かけるの駄目か」
「アイドルの娘と付き合ったら後厄介だしな」
「事務所に言われるしネットで晒されて」
「アイドルの娘達にとっても困ることだし」
「ここはな」
「俺達だけで遊ぶか」
「そうしような」
 こう話してだ、そしてだった。
 男達は去った、その彼等の去る後ろ姿を見ながらだった。
 そのうえでだ、こう裕香達に問うた。
「あいつ等何なんだ?」
「最初は私に声をかけてくれたのですが」
 桜がその薊に答えるのだった。 
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