ソードアート・オンライン ~Hero of the sorrow~
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哀しみはライダー達の中に
前書き
急展開。本当にまじめに。
俺は強くあり続ける筈だった。
改造された、人間を超えた改造人間。
それが俺だった。
闘い続ける日々。次々と襲い来る怪人達――――――。
血の海に、俺は立っていた。誰の血だ?不意に、そんなことを考えた。
答えはわかっている。この血は。
『同胞』達のモノだ。人間から醜い姿に、日常を突然奪われた同胞たちの血だ。
「なぁ、猛・・・」
「本当は怪人といえど殺さなければいけないことに、疲れてるんじゃないのか?」
・・・・・。いつまで続くのだろう?この地獄は。
自身と同じ存在を、ひたすらこの手で殺め続ける――――――――。
そして孤独。
それに、敗れたのだ。仲間を求めてしまった――――――。
まるで、人間のように。
そして、出会ってしまった。もう一人の自分に。
一文字隼人に。
結果、俺は9人の男を地獄に突き落としてしまった。
俺はそれを悔いていた。わかっていたはずなのに。
君を戦いに巻き込んだのも、同胞殺しの宿命を課せてしまったのも。
全ては私の、この弱き力と心ゆえに―――――――――。
スマン。
スマン、ユキ君――――――――――。
俺は、君を。
助けなければよかった―――――――――――・・・・・。
「―――――――――ごめんなさい」
パヴッ!!という、爆音が炸裂し、自分の同胞を殺した。
「ああ・・・・・ああぁ・・・・・・う・・・・アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
少年は泣いた。行いを悔いた。そして―――――――
心が死んだ。
そこに現れたのは。
「君!早く来なさい!」
一号ライダー、ショッカーの敵。
少年は無力にただ引っ張られてショッカー本部を脱出した。
「この子を頼む」
本郷は戦いの渦中へ再び戻るため、知り合いに少年を預けた。
その家の少女は言った。
「ねぇ、あなた、名前は?」
「・・・・」
少年は、無言だった。少女は温かいスープを持って来た。
「ほら、食べなきゃ」
少女は、少年の病的に白い肌を見て寒いのかと思ったのだ。
「・・・・」
それでも少年は無言だった。
ある日のこと。少女が木の上に登っていた。
大きい鳥かごを持った少女は、懸命に上に上がろうとする。
「あっ・・・」
少女は手を滑らせ、落ちた。しかし、固い地面にぶつかることはなかった。
「・・・・死んじゃうよ」
少年が少女をキャッチしたからだ。
少女はお礼を言うと再び登り始める。
「なんで、登るの?」
「青い鳥!」
そう、少女は答えた。
「青い鳥を捕まえるの!そうしたら、あなたも幸せになるかと思って」
少年は唖然とした。そんな少年に、少女は問いかける。
「ねぇ、あなた、名前は!?」
少年は、首かしげると首を横に振った。
少女が笑って言った。
「じゃあ、私がつけてあげる」
悩む少女の目に飛び込んできたのは、少年の腕にある汚れたコードだった。
その文字を見て、少女は顔を上げた。
「そうだ!その腕の奴、Snowって書いてあるんでしょ?それなら・・・・」
少女は目が悪かった。そして血で汚れたコードを見て、勘違いしたのだ。
「ユキ君で!」
何も知らない者同士が出会い。
少年は守ることを決意する。
少女はそれを応援し。
やがて二人は恋に落ちる。
悲劇の輪が、回り始めた。
これは、少年が気絶している間に思い出した記憶。
蘇りし過去の記憶は少年の運命を捻じ曲げ、それを見た雷の男は覚悟を決めろと教えを説いた――――――――――――。
「本郷、おい本郷!」
「!一文字か」
「なにボケーッとしてるんだ?いま、ユキが大変なことになってんだぞ」
本郷は急いで駆け出す。一文字はおいっと言って後ろを追いかけた。
ユキ君・・・。君を助けたことはなんだったのだろう。
俺と同じ宿命を背負わせてしまった君になんと言えばいいのだろう。
誰かを守っても、その手を握れないかもしれない君に。
「おい、ガキ!起きろ」
「今度は・・・誰ですか?」
暗闇の奥から男が出てくる。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ―――――――――」
「城茂っていえばわかるか?」
城茂。仮面ライダーストロンガ―。
「―――――――――っ!!」
ユキは咄嗟に身構えた。茂は笑いながら問う。
「おい、どうした?そんなに慌ててよ」
「わからない・・・。わからないけど、あなたが・・・怖い」
へぇ、と茂は後ろを振り向く。
「・・・何もしないんですか」
「あったりめぇだ。俺はただ、警告しに来ただけだ」
「お前・・・大首領JUDOを知ってっか?」
大首領JUDO。
ショッカー、ゲルショッカー、デストロン、ゲドン、ガランダー帝国、ブラックサタン、デルザー軍団、ネオショッカー、ドグマ、ジンドグマ、バダン・・・・。
それらを全て影から操っていた人物であり、歴代昭和ライダー全ての力を使うことができるという。
「大首領がどうしたんですか・・・?」
「復活しそうになってんだよ。今、本郷たちが集まって調べてる」
衝撃。大首領が復活しかけている。それは禁忌ともいえる行い。
「そんな・・・でも、村雨良、ZXたちが封印したはずでは・・・?」
「さぁな・・・ただ一つ言えることは、これはショッカー残党が総力を挙げているってことだ・・・・・。そして、それを果たす為に動いてる先兵ってのが」
「!!まさか!?」
「そのまさかだ。アシムレイトロイド共が動き始めたんだよ。おめぇが殺した奴以外全員な」
「・・・あぁ」
ユキはペタンと地面に足をついた。
「また、また・・・殺すのか・・・・・・」
ガタガタとユキは震えはじめる。
「お前・・・記憶が」
ユキから反応は帰ってこない。しかし、茂はユキの襟首をつかんだ。
「甘ったれてんじゃ・・・」
「ねぇよ!!」
茂は思い切りユキをぶん殴った。
吹き飛ばされたユキは何もしなかった。
「同胞を殺した!?それがなんだってんだ!!んなことは、皆やってんだよ!本郷も!一文字も!五代も!乾も!!皆、そんなこと関係なく人守ってんだよ!!」
城茂も、その一人なのだ。
魂の無い傀儡と化した恋人と戦い、その手を血に染めた。
「優しさを捨てろ!!時にそうやってやってかねぇと」
「お前が潰れちまうぞ!!」
優しさと厳しさ、両方を持った叱咤。
「いつまでも死んだ者に捕われちまってたら、一歩も前には進めやしねぇんだよ!!いい加減目ぇ覚ませ!!」
「僕は・・・それでも・・・」
茂は呆れた。これが、本郷と一文字、志郎が認めた男かと。
「それがお前の答えかよ。それこそ、本当のクズだな」
茂は背を向けた。ゆっくりゆっくりと歩いて外へと出ようとした。
「僕は・・・」
「あ?」
「僕はそれでも・・・誰かを救えるクズになりたい」
「目の前の人を我武者羅に助けて、笑顔にしたい!それって・・・甘いですか!?」
ユキの言葉に茂が返した。
「・・・その言葉だ。それが今のお前の信念だ。本郷たちと会って覚悟したかもしれない。甘さを消す余裕なんてなかったかもしれない。だが甘さを捨てることが強さじゃない」
「お前の強さは、その優しさだ。その優しさを貫き通す。それがお前の強さなんだ。ほら行けよ。仲間が呼んでるぜ?」
あ、と茂はポケットの中からカードを取り出した。
「ほらよ」
「なんですか?これ?」
「ライダーカードっつうらしい。そのカードがあれば、どのライダーが今どこにいるかがわかる」
再び背を向け茂は歩きだし、背を向けずに言った。
「そうだ・・・ユキ。アマゾンがお前に会いたがってたぜ?トモダチ、だとさ」
茂はそのまま去っていく。
ユキは心の中をゆっくりと出ていく。
徐々に、周りの景色が見えてくる。周りにいるのは仲間。
彼は再び歩き出す――――――――。
罪を償い、新たな罪を背負いながら。
後書き
戦闘も何もない、意味の分からない話。ユキの記憶がまた少し戻りました。それによってユキはまた、傷つけることと殺すことに躊躇することでしょう。でもいいんです。彼はクズだから。
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