転生赤龍帝のマフィアな生活
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三十九話:授業参観~その一~
前書き
授業参観はタイトル通り次回にも続きます。
書きたいネタが盛りだくさんで一話で収まりそうにないので何話かに分けさせてもらいます。
それでは本文をどうぞ。
何故だ? なぜ、奴がここにいる!?
俺は完璧に痕跡を消してきたはずだ! だと言うのになぜ奴が。
誰だ! まさか、俺のファミリーに裏切り者でもいるというのか!?
「ミランダさん。授業参観に来てくださってありがとうございます」
「いえいえ。アーシア様の情報提供のおかげでこうして坊ちゃま達の授業参観に来ることが出来たのですから」
アーシア、お前か!
何故だ? アーシアにも授業参観のプリントを渡さないように言い渡しておいたはずだ。
本格的に裏切ったのか? まさか、あのアーシアがそんなことをするか?
「ミランダさんが私の保護者だって言ってくださった時は本当に嬉しかったです!」
「私達はファミリーですよ。当然のことです」
「でも、私はお父さんもお母さんも居ないから凄く嬉しかったです」
目じりに少し涙を溜めながらそう話すアーシア。
………ちっ、今回はお咎めなしだ。
部下の願いを叶えてやるのもボスの務めだ。感謝しな。
「イッセー君」
「何だ? イリナ」
「私もパパとママに今回の授業参観のことを教えていないんだけど……来そうなの」
「てめえの父親か?」
イリナにそう問いかけると溜息を吐きながら頷かれる。
あの父親か……確かに来そうであるな。
わけの分からんことに俺に対して異常なまでの敵愾心を抱いているしな。
「一応、日本に来る前に咬み殺してきたんだけど……直ぐに復活しちゃうんだよね」
まあ、あいつの生命力は昔からだしな。
はっきり言うぞ。台所に現れる黒いあいつ位の生命力だ。
昔も俺とイリナが二度も星に変えてやったにも関わらず。
次の日にはピンピンとして俺に襲い掛かってきやがったからな。
結局、同じように星に変えてやったが。
「まあ、流石に来ねえだろ――「見つけたぞ! 娘を誑かす悪魔め!!」――本当に現れやがった……」
バーンと扉を開け放ち現れたイリナの父親に教室中の視線が集まる。
そして次にその視線の先にいる俺とイリナに視線が集まる。
………面倒くせえ。
「イリナ! 悪いことは言わん。直ぐにそいつから離れろ!!」
「いやよ! パパに何と言われても私はイッセー君と一緒にいるわ!!」
父親に拒絶の意志を示して俺の腕に抱き着いてくるイリナ。
エロ馬鹿二人組が憎しみの籠った眼で見てきているので後で捨てておこう。
そして、ミランダ! なぜお前はこの状況でもカメラを構えてる!?
これ以上俺の弱みになるようなもんを撮るんじゃねえ!!
「お前がそこまで言うなら……仕方ない―――悪を滅ぼすまでだああああっ!!」
「イッセー君、私達の未来の為に頑張って!」
「さっきから俺を置いて話を進めてんじゃねえよ!」
そう叫ぶものの両方とも一切耳を貸さない。
くそがっ! こいつら間違いなく親子だよ!! こんな変なとこが似てんじゃねえよ!!
「娘が欲しいなら私の屍を越えていくがいい! さあ、我が剣の錆となれ!!」
「教室で凶器を振り回してんじゃねえよ!?」
剣を振り回しながら突っ込んでくるイリナの父親にそうツッコむ。
だが、奴はそれがどうしたと言わんばかりに止まらない。
流石に神器を使うのはまずいので避けようとする。
が、何故かイリナが俺の腕を掴んだままだったので動けない。
ちっ……仕方ねえ。
離れないイリナをそのまま抱え上げて上に飛んでイリナの父親攻撃を回避する。
そしてそのまま天井を蹴り反動をつけて敵の頭に鋭い蹴りを放つ。
「なっ!?」
「邪魔だ。カスが」
勢いよく倒れ込む奴を見ながらそう吐き捨てる。
だが、この程度で終わるような奴なら最初から苦労なんざしねえ。
イリナを抱きかかえたまま立ち上がるのを待つ。
「貴様! その状態で私に挑むというのか!?」
「はっ! カスには丁度いいハンデだ」
「パパを舐めるなああああっ!!」
激高しながら近づいて来る奴を見ているとアザゼルの事を思いだす。
あの手の奴は倒しても倒しても甦るからな。
始めから倒そうと何て思っちゃいねえよ。
いつも通り―――星に変える!!
「吹き飛べやああああああっっ!!!」
「おおおおおおっ!!?」
カウンター気味に腹にいま出せる最大の力を込めた蹴りを放つ。
すると、奴は何故かいい感じに開け放たれていた窓の外へと飛んでいき。
星になり消えていった。
「けっ、カスが粋がるからだ」
そう、一言吐き捨てて席に戻ろうとする。
「「「「キャーッ!! ロマンチックゥゥゥッ!!!」」」」
「…………あ?」
何故か、教室中から湧き上がる歓声に意味が分からず首を傾げる。
すると、桐生が何やらニヤニヤしながら袖を引っ張ってきたので顔を向ける。
「兵藤。あんたの自分の姿を見てみたら?」
取りあえず、言われた通りに自分の姿を確認してみる。
頬を赤く染めてトロンとした表情で俺の顔を見つめるイリナ。
そしてそれを俗にいうお姫様抱っこで抱える俺…………。
「それで兵藤は何て言われたの?」
『娘が欲しいなら私の屍を越えていくがいい!』と言われたな。
それで俺は奴を星に変えてやった……。
なるほど、俺は奴の屍を越えてイリナを手に入れたと言う風に見られているのか。
て―――
「違うわあああああっっ!!」
最近よく誤解されることが多いのは気のせいじゃない。
頭痛薬、胃薬の一年セットが送られてきていなかったら俺はここで倒れていたと思う。
カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ!
カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ!
「……………………」
兵藤一誠です。俺は今真面目に英語の授業を受けている所です。
何でも今日は授業参観なので少し変わったことをやるらしい。
カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ!
カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ!
「それではみなさん粘土で自分の大切な物を表してください、それではLets,try!!」
そんな物を俺は英語として認めねえ!
それと最後の発音だけやたら発音が良くてムカつく!
カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ!
カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ! カシャ!
……………それとだ。さっきからずっと無視して来たがいい加減に限界だ。
もう、言わせてもらうぞ。流石に我慢ならねえ。
「さっきから『カシャ! カシャ! カシャ!』うぜえんだよ! 今すぐ撮るのをやめるか、出て行け!! ミランダ!」
「お断りします」
「取りあえず、そのバズーカみてえなカメラから手を離せ!!」
俺の命令にも聞く耳も持たずに断るミランダ。
というか、さっきから恥ずかしいだろうが! 明らかに俺を撮っているのが分かるからクラスメイトと保護者の目線がなんか生暖かいんだよ!!
「というか、何枚撮る気だてめえは!? 授業が始まって五分も経ってねえのに百はいってるだろ!」
それと俺だけじゃなくてアーシアとイリナも撮ってやれよ。
因みにこれは決して身代わりじゃないからな?
「ご心配なく。私のカメラさばきに死角はございません。アーシア様もイリナ様もしっかりとお納めしております」
「人の心を読むんじゃねえ!!」
もう、俺の家にはまともな人間が一人も存在しないような気がしてきた。
というか最近はまともな人間に会ってない。
不味い……胃が…っ!
「坊ちゃま。授業中に席を立たれるのはいけませんよ」
「なぜだ! 何で俺がこいつに常識を注意されてるんだ!?」
物凄く納得がいかねえ。
何だ。あれか? もしかして俺がおかしいのか?
「それに私は途中からクロームお嬢様の方にも行きます。ですのでそれまでの間にベストショットを撮らなければならないのです。どうか分かってください」
「俺が知るか!!」
もういい。ミランダは空気だと思いこむ。
だから、直ぐに大丈夫になる…………はずだ。
「おお! 兵藤君にこんな才能があったとは!? ああ、私はまた生徒の隠された才能を見つけてしまったのですね!!」
「はっ。カス共と一緒にするな」
俺の作品の出来栄えに感動している教師にそれだけ言い放つ。
因みに俺が作ったのはボンゴレの紋章だ。
俺にとって最も大切な物はボンゴレファミリーだからな。
そしてこれはこの俺がこりにこって作った作品だ。
カス共の物とは一味も二味も違う。
「イッセーさん。凄いです!」
俺の作品を見て感嘆の声を上げるアーシア。
因みにアーシアはあの青いトカゲ……そうだ。ラッセーとかいう奴を作っていた。
「ふむ……粘土でここまで細かく再現するとはな。流石はイッセーだな」
「はっ、崇め奉りな」
銃の細かい部分を見つめて唸るゼノヴィア。
当然だ。それ程度出来ねえと、ボスは名乗れねえ。
「…………………」
「あ? 何だ、イリナ。そんな不機嫌そうな顔をして?」
何故かボンゴレの紋章を見ながら不機嫌そうな顔をするイリナ。
気になって声をかけるが何とも微妙な顔のまま俺を見つめるだけだった。
何がしてえんだ?
「……私じゃないんだね」
「あ?」
少し、頬を膨らませてそう呟くイリナ。
こいつは自分が俺の大切な物じゃないと思って拗ねてるのか?
………けっ。馬鹿が。
「お前はもう、俺のファミリーだろうが」
「え?」
「ボンゴレリングを渡した時点でお前は俺のファミリーだ。それは、俺にとっての何よりも大切な物だ。……てめえも大切な物の中に入ってんだよ」
そういうとイリナは可愛らしいポカンとした表情をして俺を見つめてくる。
それを見て少し顔が熱くなっているのを感じて顔を逸らす。
(バカな! ツンデレな相棒が素直に…デレただと!?)
(そんな!? ご主人様が素直にデレ出したら照れ隠しのお仕置きが減ってしまうではありませんか!)
(イッセー様! どうかデレても私達にはお仕置きを与え続けてください!!)
(はなから変態共には殺意と諦めしか抱いてねえよ!!)
変態共がいなけりゃ俺はまともな人生送れてたんだよ!
それなのに現実世界にまで変態の輪を広げやがって…っ!
俺は一体どこで心を休めりゃいいんだよ!!
((((本能に身を任せれば直ぐに楽になれます。さあ、人をいたぶる快感に目覚めてください!))))
(死んでも目覚めてたまるか!!!)
人としての。と言うか生物としての尊厳を失ったようなあいつらの仲間になる位なら冗談抜きで死んだ方がマシだ。俺は抗い続けてやるからな!
「大切……私が大切な物か……一番じゃないかもしれないけど。えへへ」
俺の発言が余程嬉しかったのか体をクネクネとさせてトリップ状態になるイリナ。
そんなに俺の発言が嬉しかったのか? ……なんかこっちも恥ずかしくなるな。
「でも、やっぱり“ドンナテヲツカッテモ”イッセー君の一番になりたいなあ」
そして同時に背筋が冷たくなる。
『既成事実を作れば……』とか聞こえてくるのは気のせいだと思いたい。
「イ、イッセーさん! 私はイッセーさんの大切な物になれているんですか?」
何やら焦ったように必死に聞いてくるアーシア。
「何、当たり前のことを聞いて来てんだ? 言ったはずだお前は俺のファミリーだ」
「はい。ありがとうございます! イッセーさん」
そう言ってやるとこっちまで嬉しくなるような笑顔を見せてくれるアーシア。
そう言えば、こいつとはファミリーであると同時に友人だったな……。
そういう意味でもアーシアは大切な物だ。
これ以上口にする気はねえけどな。
そんな話をしているうちに授業は進んで行った。
因みに今回作ったボンゴレの紋章は俺の部屋に飾ることにした。
中々出来が良い作品になったからな。
おまけ
「私は……こんなところで倒れているわけにはいかないのだ…っ!」
ある場所で一人の中年の男が倒れ伏していた。
しかし、男の眼には闘志が確かに宿り続けている。
「娘を―――イリナをあのような輩に渡すわけにはいかんのだ!!」
男は紛れもない親馬鹿だった。
それはもう、実の娘から折檻を日常的に食らうぐらいのレベルでだ。
しかも、その折檻を愛情の裏返しと信じて疑わない。
妻も呆れて諭すのを諦めるのだから救いようがない。
「あの兵藤一誠を滅ぼす日まで――「よお、同士よ」――貴様は!?」
そんな男の目の前に突如として現れた男。
同じような年ぐらいに見えるがその男はどちらかと言えばダンディともいうべき容姿だ。
「何のようだ? 私を殺しに来たのか?」
「そんなくだらないことじゃねえよ」
そう言って現れた男は倒れ伏す男に手を伸ばす。
その行動に驚愕の表情を見せる倒れ伏す男。
それは当然の反応だろう。
何故なら手を伸ばす男は間違いなく自分の敵の勢力のトップに立つ男なのだから。
「………どういう事だ?」
「言っただろ? 俺達は同士だ―――最愛の娘を誑かすあの野郎を滅するためのな!!」
瞬間二人は固く固く握手を交わしていた。
それはもう、長年の戦友に会ったかのようにだ。
そしてこの男もまた度を超えた親馬鹿だった。
「俺達は同士だ。力を合わせてあの野郎から娘を奪い返すためのな!!」
「そうだな。我が同胞よ。愛しの娘を取り戻すために力を合わそう!!」
もう一度言おう。彼らは親馬鹿だ。
どうしようもない程娘を愛す親馬鹿な父親たちだ。
そして力を合わせた彼らが何を行うのかを彼は必ず知ることになるだろう……。
後書き
おまけで三人称(?)に挑戦してみました。
どうですかね? 変だったら言ってください。
???「「俺の娘が世界一だ!!」」
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