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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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StrikerS編
  85話:防衛、ホテル・アグスタ

 
前書き
 
 見よ、この驚異的な更新速度! ほぼ4、5日で書き上げたぞ!

 ……と、調子に乗ってみたものの、多分次はかなりかかると思う。
  

 
 





「ほんなら改めて、ここまでの流れと今日の任務のおさらいや」


 地球出張任務から数日後。ミッドチルダは首都南東地区の上空。六課のヘリパイロットのヴァイスが操縦するヘリに乗って、六課のメンバー―――フォワードの四人に、各分隊の隊長、部隊長であるはやてに副部隊長の士、リイン曹長に主任医務官のシャマル、さらに『盾の守護獣』のザフィーラという、何ともまぁ大所帯がある場所に向かっていた。


「これまで謎やったガジェットドローンの製作者、及びレリックの収集者は現状ではこの男。違法研究で広域指名手配されてる次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティの線を中心に捜査を進める」
「こっちの捜査は主に私が進めるだけど、皆も一応覚えておいてね?」
「「「「はい!」」」」

「で、今日これから向かう先はここ。ホテル・アグスタ」
「骨董美術品オークションの会場警備と人員警護、それが今日のお仕事ね」
「取引許可の出ているロストロギアはいくつも出品されるので、その反応をレリックと誤認したガジェットが出てきちゃう可能性が高い、との事で警備に呼ばれたです」


 リインが喋っている途中、近くに寄ってきたザフィーラを優しく撫でるスバル。ザフィーラは嫌がっている様子もなく、リインも気にせずそのまま続けた。


「この手の大型オークションだと、密輸取引の隠れ蓑になったりするし。色々、油断は禁物だよ」
「現場には昨夜から、シグナム副隊長とヴィータ副隊長他、数名の隊員が張ってくれてる」
「私達は建物の中の警備に回るから、前線は副隊長とそこの―――」


 そこでなのはは一旦言葉を止めて、ザフィーラと目を合わせる。そこでなのはの意を汲んだのか、ザフィーラはある人物の足元に寄り……その足に噛みついた。


「―――痛って~ッ!!」
「寝ぼけてる副部隊長の指示に従ってね」
「「「「はい!」」」」
「このやろ、ザフィーラを使わずに自分で起こせよな」
「それを言うなら部下の前で堂々と船を漕がないでよ」


 はいはい、とやる気のなさそうな返事をした後、士は大きなあくびをする。それを見たなのはは青筋を立てるが、側にいたフェイトとはやてが「まぁまぁ…」となのはを抑える。


「あの、シャマル先生。さっきから気になってたんですけど、その箱って…?」


 その時キャロが先程から視線を向けていた、シャマルの横に置いてある三つの箱を指差しながらシャマルに問うた。するとシャマルは笑顔を浮かべて、


「隊長達の、お仕事着」


 と答えた。
























 んで、ヘリに乗ってホテル・アグスタまでやってきた訳だが……


「なんで俺はここで待たされてるんだ?」


 到着しシャマルから箱を受け取るや否や、はやては俺に「居眠りのバツとして待ってて」なんて言って、なのは達三人はさっさとどこかへ行ってしまった。
 まぁ取りあえずフォワード四人を固めておくのは得策ではないので、一応バラバラに配備しておく。んで、俺ははやての命令通り待機しているのだが……


「いつまで待たせる気だ…?」
「男の子がそんなんじゃ、ダメなんやない? 女の子の着替えに文句言うなんて、常識外やで」


 そう言って後ろからやってきたのは、どうやらはやてのようだ。そう思って振り返ると、薄い水色のドレスに黒いチョーカーを付けた、はやてがいた。しかも髪は後ろ髪をアップにし、少しうなじが見える感じだ。


「どや? 少しは見直したやろ?」


 そう言ってぐるっと目の前で一回転するはやて。あ~、その言葉がなければ少しは見直したのにな~。とは言わないでおこう。……うん、


「『馬子にも衣装』ならぬ、『狸にも衣装』だな」
「だから狸言うな! 女の子に狸なんて、失礼すぎるやろ!」


 おぉ、本気で怒ってきた。これはマズい、非常に。取りあえず落ち着いてもらおう。


「すまんすまん、悪かったよ。似合ってるからさ」
「……ほんまに?」
「ほんとほんと、超似合ってる」


 笑顔でそう言うが、はやては後ろを向いて何かぶつくさ言い始めた。なんだよ、ほんとに似合ってると思っていたのに……


「それで? 後の二人は?」
「ん? なのはちゃんとフェイトちゃんは、なんかドレス着慣れなてなかったみたいでな、シャマルが手伝うてくれとるけど、もうちょいかかりそうや」
「そうなのか? というか、お前は着慣れてるのか?」
「色んな場所行ったり、上の人とコネを作るのに少しな? でも私だって誰かの手伝いがあった方がいいんやけど…」


 そんなものだろうか。女物のドレスとか、あんまり詳しくないからよくわからないけどな……
 男ならこういう時スーツだし、そういう事を感じた事はなかったな。


「それで? 俺はいつまで待っていればいいんだ?」
「ん~? 二人が来るまで、や」


 あ~、そうなるのか……


「はぁ…どれだけ待てばいいんだよ…」
「えぇやんか、待つのは嫌いじゃないやろ?」
「まぁ待つ事自体はな? でもこれから任務なんだから―――」


「お待たせーー!」
「ごめんね、時間かかっちゃった」


 はやてと話していると、今度は横からなのはとフェイトの声が聞こえてきた。はやてと同時にその方向へ向くと、一部赤で他がピンクのドレスと、青紫に近い色のドレスを着こなしている二人の姿があった。


「二人共、お疲れや。シャマルもありがとうな」
「いえいえ、こちらも楽しかったし」


 アハッと効果音が聞こえてきそうなぐらいの輝く笑顔なシャマルさん。なのはとフェイトも「ありがとうございます」とお礼を述べていた。


「それでどうや? 二人のドレス姿は。私みたいにべた褒めしてやってぇな」
「「え? べた褒めだったの?」」
「そこまで褒めてないだろ。しかも二人揃って聞いてくんな」


 あ~もう、めんどくさいパターンになりそうだ……


「二人共似合ってるよ、ほんとにほんと」
「…なんか違うよね?」
「言わされてる感じがする」
「お前らなぁ……!」


 とにかくその場は何とか取り繕い、三人と分かれシャマルさんと一緒に外の警備に戻った。
























 さてさて、現在シャマルさんと一緒にホテルのヘリポートに立って、シャマルさんはクラールヴィントによる探査魔法で外からの襲撃に備えている。
 あ、俺? 俺は別に何も。ただ建物の縁に腰かけて、体を前後に動かしてそこから見える絶景を眺めていた。いや~、意外といい眺めだよ、これ。


「士君、あからさまに仕事しないのは流石に見過ごせないわよ?」
「大丈夫ですよ。敵が出たらちゃんと働きますから」


 そう言いながら欠伸をすると、流石にシャマルさんの目の色が変わったので、そこで立ち上がって尻を叩いた。
 ふぅ、と息を吐いたと同時に、シャマルさんの指にはめられているクラールヴィントが光った。


「センサーに反応…シャーリー!」
『はい!―――来た来た、来ましたよ!』
『ガジェットドローン陸戦Ⅰ型、機影30…35!』
『陸戦Ⅲ型、2、3、4!』
「そこそこの数だな…」


 さてさて、と小さく呟きながら、首を曲げゴキッゴキッと骨を鳴らす。そして六課フォワードの四人に通信を繋ぐ。


「前線四人、聞こえているか? 今回の戦いはホテルを守る広域防御戦となる。本部のロングアーチ1の総合管制を元に、現場指揮は俺が執る」
『『『『了解!』』』』
「シャマルさんはここから、このまま管制を続けて上から指示をお願いします」
「了解」


 シャマルさんの返事を聞くと、すぐ目の前に別の通信モニターが現れた。


『士さん、シャマル先生、私も状況を見たいんです! 前線のモニター、もらえませんか?』
「あぁ、そうか。シャマルさん、悪いけど俺にも頼めるか?」
「了解、クロスミラージュとトリックスターに直結するわ。クラールヴィント、お願い」
〈 Ja 〉


 シャマルさんがそう言うと、クラールヴィントが起動し、シャマルさんは緑色のバリアジャケットに身を包んだ。


「それじゃあ俺はティアナと一緒に最終防衛ラインに」
「わかったわ。前はヴィータちゃんとシグナム、ザフィーラが迎撃に回ってくれるわ」
「おいおい、そりゃあこっちにガジェットが来ないじゃないか」
「ヴィータちゃんはそのつもりみたいよ?」
「なんだそれ。あいつ意外と過保護だったのか?」


 まぁいいや。そう思ってトリスをベルトにして腰に巻き、カードを一枚取り出す。


〈 ATACK RIDE・MACHINE TORNADER 〉


 そのカードをトリスに入れると、背後から灰色のオーロラが出現し、それが通過するとそこには仮面ライダーアギトの乗る『マシントルネイダー』が置かれていた。
 現れたマシントルネイダーに跨り、エンジンをかける。


「それじゃあ、行くぜ」


 そう言うと一気に飛び出し、宙に舞う。下を覗くと驚いた表情をしているティアナが見えた。そう思うのも束の間、マシントルネイダーは重力のままに落下し始める。
 だがその途中でボディが伸びるようにスライド変形し、タイヤのオルタホイールが九十度回転し宙に浮いた。そして跨ぐ座り方から立ち上がり、スケートボードのようにマシントルネイダーの上に乗る。

 マシントルネイダーが変形した姿、『マシントルネイダー・スライダーモード』だ。


「行くぞティアナ。乗ってくか?」
「あ、いえ。私はスバルを待ちます」
「そうかい、それじゃあ俺はエリオ達と合流するわ」


 取りあえずティアナの近くまで降下し、ティアナに話しかける。返事を聞くとすぐにマシントルネイダーに乗って防衛ラインに向かった。
























 でまぁ、フォワードメンバーも揃ってホテル前で構えているが……


「いやはや、やっぱ二人共―――いや、三人共すげぇな」
「これが、シグナム副隊長とヴィータ副隊長の……」
「す、凄い……」


 モニターに映るシグナム達の姿を見て、エリオとキャロが感嘆の声を上げる。

 鉄球を作り出し、自らのデバイス―――グラーフアイゼンで弾き飛ばしガジェットに命中させ、粉砕するヴィータ。
 地上付近で低空飛行するⅢ型の正面に立ち、レヴァンティンに炎を灯し、Ⅲ型の攻撃を躱しレヴァンティンでⅢ型を両断するシグナム。
 また別の場所では向かってくるⅠ型を、魔力でできた拘束条で突き刺し破壊するザフィーラの姿があった。

 現状、三人はガジェットを一体も抜かせていない。これじゃあほんとにあいつの言う通り、こっちに一体も来ないんじゃねぇのか?


「退屈しそうだ……」
「士さん、そんな事言わないでくださいよ…」
「だってよぉ~」

「―――っ!」


 しかし、そう思っていると突然キャロが身に付けているケリュケイオンに光が灯り、反応を示した。


「キャロ…?」
「どうかしたか?」
「近くで、誰かが召喚を使ってます!」
「…シャマル、ロングアーチ、聞こえてるか?」
『クラールヴィントのセンサーにも反応! でもこの魔力反応って…!』
『お、大きい…!』


 召喚魔法の反応…しかも大きい、か……


「キャロ、魔力反応が大きい場合の召喚は、可能性として何が出てくる?」
「召喚する種類だったり、大きさによって変わってきたりしますが、だいたいは私のフリードのような大きな生物だったり、もしくは複数体召喚する場合だと思います」
「なるほど……」


 キャロの推測を聞いた後、すぐに最前線で戦うヴィータ達に通信を繋ぐ。


「三人共、敵側に召喚士がいるようだ。そっちの戦況に変化は?」
『召喚士だぁ!?』
『確かに、敵のガジェットの動きが自動機械の物じゃなくなった』
『私の攻撃も避けられた』
『おそらく、有人操作に切り替わったんだわ』
「なるほど、それが今の召喚の効果か…」


 しかし召喚士ともなると、ガジェットだけを相手するのを想定していたこちら側としては、ちょっとばかし想定外だな。


「とにかく、三人はそのままガジェットの殲滅に努めてくれ」
『『『了解!』』』
「スバル、ティアナ。お前らは一回こっちに来てくれ」
『『はい!』』


 さてさて、今度はどう動いてくるかな、召喚士さんよ。


「キャロ、召喚士としては召喚以外に何ができる?」
「優れた召喚士は、転送のエキスパートでもあるんです。もしかしたら副隊長達から回り込んで直接転送してくるかもしれません」
「ほぅ…それは面白い」


 そう呟くと、なんか二人から少し怖がったような顔をされた。ヤバい、また怖い顔してたかな?
 スバルとティアナとも合流すると、丁度その時キャロが何かに気づいた。


「遠隔召喚、来ます!」


 キャロがそう叫ぶと同時に、正面にいくつもの召喚魔法陣が出現した。そしてそこからガジェットが数体出現した。


「来た…!」
「俺が一番前で叩く。こぼれたのを殲滅してくれ」
「「「「はい!」」」」
「ティアナ、基本的な動きはお前達に任せる。そっちの指揮任せられるか?」
「わ、わかりました」


 そう言いながら腰についているライドブッカーを取り出し、ソードモードにする。
 そして手で剣をなぞり、肩に担ぐ。


「さぁ―――任務開始だ!」





  
 

 
後書き
 
 ってな感じになりました。
 まぁ次回は七話終盤から八話にかけての内容になるかと。

 取りあえずセンター試験、頑張りま~す。
  
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