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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第3章
月光校庭のエクスカリバー
  第81話 魔弾の竜撃手

 
前書き
一ヶ月以上も更新せずにいて申し訳ありません。
冬夜活躍回です。
と言うか無双回です。 

 
『と、冬夜さん(兄)!?』
「ヤッホー♪」
イッセー達の驚愕もお構い無しに兄貴は俺達に向けて手を振っていた。
「久しぶりだね♪明日夏、千秋、イッセー君、鶇ちゃん、燕ちゃん。あ、でも、鶇ちゃんと燕ちゃんはこの間ぶりかな?」
普段通りな話し方、飄々として人懐っこい話し方で話し掛けてくるが、俺達は突然の兄貴の登場に唖然としていた。
「ハハ、相当驚いてるね」
「……あのなぁ…」
何でここに!と言う言葉を直前で飲み込む。
最初に俺達が持っていたカリスの情報は元々兄貴が出所だ。
はぐれ賞金稼ぎ(バウンティーハンター)である奴の所に賞金稼ぎ(バウンティーハンター)である兄貴がいるのは当然の事である言えるからだ。
なら連絡くらいよこせ!とも思ったが、兄貴は割と悪戯好きだ(特に親しい相手には)。
突然帰ってきて俺達を驚かすなんて事ぐらいは普通にやりそうだった。
今更なんでそれほど文句は無いが、状況が状況なだけにやっぱり文句の一つは言いたい。
……まあ、大地崩壊の術式を解除してくれたのはありがたいがな。
いや、あれは打ち消したって感じか?
「フフフ」
突然、カリスが笑いだした。
「御家族がいますから、現れるのではと思いましたが、本当に現れましたね」
嫌な笑顔を浮かべながら、兄貴を見据えていた。
「初めましてだね、カリス・パトゥーリアさん」
兄貴は丁寧にお辞儀をして挨拶をする。
「こちらこそ、士騎冬夜さん」
対するカリスも丁寧なお辞儀で返す。
「なあカリス、お前の反応からして、あいつ結構スゲーのか?」
「ええ。少なくとも、若手の賞金稼ぎ(バウンティーハンター)の中ではトップクラスの実力を持っていますからね」
「ほ~」
カリスの言葉を聞いてベルが興味深そうに兄貴を見る。
「十二新星(デュオデクテット・ノヴァ)の一人であり、三狩王(トライ・イェーガーズ)の一人、魔弾の竜撃手(デア・フライシュッツ・ドラグナー)の異名で各地のハンターギルドでは有名人ですね」
カリスがやたらと大層な名を連呼する。
「な、なあ明日夏。今のでゅおなんとかとかとらいなんとかって何だ?」
「十二新星(デュオデクテット・ノヴァ)ってのは若手の賞金稼ぎ(バウンティーハンター)の中でも実力が群を抜いている十二人の総称だ。んで、さらにその中で最強の三人を三狩王(トライ・イェーガーズ)って呼ばれてるんだ。兄貴がその内の一人ってのは初耳だったがな」
「……なんだか、いつの間にかその一人にされて、魔弾の竜撃手(デア・フライシュッツ・ドラグナー)なんて大層な名で呼ばれてたんだよね」
兄貴は苦笑いをし、頬を掻きながら言う。
兄貴自身もいつの間にかにそんな大層な名で呼ばれていた事に若干の戸惑いがある様だ。
「ところで明日夏」
「なんだよ?」
「彼…カリス・パトゥーリアに関して、新しい情報とかあるかい?」
「あ、ああ。まず、そいつが今まで大勢の人を殺してたのは自分の研究の材料にする為だ」
「研究?」
「ああ。死人の兵士って言う名のな」
俺は心底嫌悪感を出しながら答えた。
「死人の兵士ねぇ…それって…」
ボゴォォッ!
『っ!?』
突然、兄貴の前後左右の地面からカリスの死人兵が現れ、さらに頭上からも現れ、兄貴に襲い掛かっていった!
「兄…」
ドガッ!ドゴッ!
「貴…なっ!?」
思わず叫んでしまったが、その頃には既に銃を上に放って、裏拳で左方の死人兵を壁に叩き付け、頭上の敵は突き上げた拳の一撃を当てて迎撃してしまっていた!?
「フッ」
ドゴンッ!
そして、突き上げた拳をそのまま前方の敵に降り下ろして迎撃…。
「シュッ」
ドガンッ!
右方の敵を左足を軸にした回し蹴りで壁に叩き付けて迎撃し、落ちてきた銃をキャッチした。
攻防に要した時間は五秒も掛かっていなかった。
……いや、もはや攻防とは呼べなかった。
なんせ、完全に虚を突いた奇襲を仕掛けた筈の敵が何もできないまま、仕掛けられた兄貴に一蹴されたのだから。
「たった今、僕がK.O(ノックアウト)した彼らの事かい?」
そして兄貴は、何事も無かったかの様にさっきの言葉の続きを口に出していた。
死人兵達はどいつも痙攣しながら、動かなくなっていた。
まあ、当然だろうな。
死人兵達は既に死人故に痛みも疲れも知らず、生きてる人間にとっては本来なら致命傷な筈のダメージを負っても動き続けるが、脳だけは生きてる人間とほぼ同様な状態な為、脳に影響のある攻撃には酷く脆い。
そして、先程の兄貴の一撃はどれも相手の脳を正確に捉えていた。
しかも、見た感じ、相当の威力があった様子だった為、それによって脳震盪を起こしたんだ。
「この程度じゃ、奇襲にもなりませんか」
カリスも特に驚きもせず、むしろ当然の事だと言わんばかりな態度だった。
「で、これで終わり…」
ドゴォォォン!
『っ!?』
兄貴が再び腕組みをして、壁に寄り掛かった瞬間、迎撃された死人兵達が一斉に爆発した!?
奴と初めて邂逅した時の死体爆弾か!
「念のため、爆撃兵を取っておいて良かったです」
「兄貴!!」
クソッ、今まで戦ってた奴が一体も爆発しなかった事で、完全に失念してた!
己の過失に苛立っていると…。
「…な訳ないか」
『っ!?』
爆煙から兄貴の声が聞こえたと同時にさっきと同様に何事も無かったかの様に煙の中から無傷の兄貴が歩いて出てきた。
おいおい、マジかよ…。
「倒せないまでも手傷をっと思ったんですが…」
カリスが引きつった笑顔を浮かべて兄貴を見ていた。
「ほう」
コカビエルは先程までのやり取りを見て、興味深そうに兄貴を見ていた。
「ハハッ!オモシレェ!」
ベルが嬉々として両手にナイフを持って兄貴に向かって駆け出した!
「ふぅ、個人的に用があるのは彼だけなんだけど…」
兄貴は瞑目し、再び銃を上に放った。
「向かって来るんだったら、仕方ないか!」
洋服交換指輪(ドレス・チェンジ・リング)を仕様して私服から戦闘服に着替え、武装指輪(アーム・リング)から別の、赤い特殊な構造の銃を取り出し、その銃口をベルに向ける。
ズガガガガッ!
銃口が火を吹き、雨の様な銃弾がベルへ向けて撃ち出された。
「ハッ!」
ベルは銃弾が当たろうと、お構い無しに人間とは思えない速度で銃弾の雨の中を駆け抜ける!
「?」
「オラァッ!」
兄貴に肉薄したベルはナイフを振るう。
が、兄貴はベルのやり方に訝しげになりながらも、銃撃を止め、体を少し傾ける動作だけでナイフの一撃を避ける。
「キヒッ♪」
ベルは避けられた事など気にも留めず、デタラメにナイフを振るう。
だが、デタラメと言っても、一振り一振りが鋭く、むしろ、そのデタラメな振り方が凶悪な攻撃になっていた。
そんなベルの攻撃を兄貴は紙一重且つ最小限の動きで全て回避していた。
「オラァッ!!」
「よっ」
そこへ、ベルの足払いが襲うが、兄貴はその場で高く跳び、宙返りしながら先程放った銃を回収、ベルを飛び越し、着地早々にベルから距離を取った。
「身軽だな、おい」
「どうも。そっちも大した回復力だよ」
兄貴の言う通り、ベルの傷は既に塞がっていた。
「兄貴!そいつは生半可な攻撃じゃくたばらねえぞ!」
「らしいね。それに、その身体能力と赤い眼、血の悪魔の子供達(ブラッド・チルドレン)の子かな?」
兄貴は放った方の銃を背面のヒップホルスターに納めながら言う。
それを聞いたベルは歪んだ笑みを浮かべた。
「正解♪正解者には豪華特典♪」
パチン。
ベルが指を鳴らした瞬間、斬撃の雨が兄貴の足元から発生した!?
「何!?」
だが、仕掛けたベル本人が驚愕していた。
「ふ~ん、なるほどね。こう言う物だった訳か」
何故なら、斬撃が発生した頃には既に兄貴はその場から横に跳んでいたからだ。
兄貴の口振りから、そこで何かが発生する事を事前に察知していた事になる。
「テメェ、どうやって斬花に気付いた?」
「ん、ああ、眼を術なり、魔力なりで強化して、よく凝らして見ればすぐ分かるよ」
「ゲ、マジかよ…」
兄貴の言う通り、視力を強化して、よく凝らして見れば、淡いオーラが揺らいでる場所がいくつかなんとか見えた。
こんな簡単な方法で気付けたのかよ…。
ベル自身、知らなかった所を見る限り、奴は自身が持つ黒十字具(ブラック・クロス)の事を完璧に把握していないって事か。
「って事は斬花の奇襲は通用しねえって訳か。ま、いっか。俺あんまこれ好きじゃねえし。やっぱ人は自分の手で直接切り付けるのが最高だからな♪」
ベルは特に気にした様子も無く、ナイフの刃に舌を這わせる。
相変わらずの切り裂き魔っぷりだった。
「人は好き好んで切る物じゃないと思うんだけどな…っと!」
突然、兄貴がしゃがんだかと思ったら、首があった位置に強烈な回し蹴りが放たれていた!?
蹴りを放ったのはカリスだった。
その後もカリスは千秋を圧倒した時の様な体術の応酬を放つが、兄貴も持っていた銃を上に放り、高度な体捌きでカリスの攻撃を捌く。
「ハァ!」
「ッ!」
体術の応酬の結果、兄貴がカリスを背負い投げで投げ飛ばした!
ズガガガガッ!
そこへ空かさず、落ちてきた銃を左手でキャッチ、カリスに向けて引き金を引く。
「くっ…」
カリスは顔を腕で覆い、銃撃をモロに受けた。
だが、銃弾がカリスを撃ち抜く事は無かった。
「防弾仕様ね。でも、白衣までわざわざそうする必要あったの?」
「科学者に取って白衣は戦闘服と同義ですからね。いろいろ手を加えているのですよ」
「律儀だね。まあ、僕のこのサングラスもいろいろ戦闘用に改造されてるけどね」
「なんだ、オシャレじゃなかったのかよ?」
「ほとんどオシャレだけどね」
戦闘中に洒落っけを求めんなよ…。
「明日夏は戦闘中じゃなくても少しはオシャレには気を遣いなよ」
「……心読むな…」
そして、余計なお世話だ…。
「さてと、そっちは二人掛かりかな?」
兄貴は並び合うカリスとベルを見据えて言う。
「俺は一人でやりてえんだけどな…」
「そうもいかなさそうですしね」
「ふ~ん」
兄貴は再び武装指輪(アーム・リング)を使い、もう一丁の今持っている銃の青色の物を取り出し、カリスも数体程の死人兵を出現させていた。
「………」
『………』
互いににらみ合い、一触即発の空気を作り出していた。
そして、先に動いたのは、カリスの死人兵だった。
ズガガガガッ!
ズガン!ズガン!ズガン!
兄貴はそれに合わせ、赤の銃は連射(フル)、青の銃は単発(セミ)で狙い撃つ。
死人兵は皆頭部を撃ち抜かれ、活動不能になっていった。
「フッ!」
「オラッ!」
死人兵の合間を縫って、カリスとベルが兄貴に肉薄、そこから体術の応戦となった。
二人掛かりでさすがに兄貴も危ないと思ったが、心配は杞憂だった。
千秋を圧倒したカリスとライニー達を圧倒したベルが二人掛かりで攻撃されているにも関わらず、兄貴は二人の攻撃を見事に捌ききっていた!
しかも、明らかに兄貴は余裕を持っていた。
ボゴォォッ!
「っ!」
なっ!?足元から死人兵が二体現れ、兄貴の両足を拘束しやがった!?
兄貴は即座に死人兵の頭部を撃ち抜く!
「これで!」
「っ!」
だが、その隙を突かれ、カリスに羽交い締めにされてしまう!?
「終わりだ!」
そこへ、ベルが斬り掛かる!?
「兄貴!?」
斬られる!?
ビュオォォォォッ!
「ぐあっ!?目がっ!?」
「ぐっ、これは!?」
刹那、風が巻き起こり、ベルは砂埃で視界を潰され、カリスも風圧から顔を反らし、共に怯んだ!
そして、風は突然止み…。
ボォォォォォッ!
「熱っ!?」
突然、兄貴から発火現象が発生し、炎はカリスにも燃え移り、それに驚いたカリスは兄貴の拘束を解いた!
「ハッ!!」
『ぐあっ!?』
兄貴は燃え続ける炎をものともせず、カポエラで二人を蹴り飛ばしてしまう!
「よっと」
兄貴が地面に着地した瞬間、兄貴から発生していた炎が消えた。
「ぐっ、クソッ!?なんだ一体!!」
ベルが眼を擦りながら、悪態付く。
「……考えられるとすれば…神器(セイクリッド・ギア)…」
「うん、そうだよ」
今のが兄貴の神器(セイクリッド・ギア)の力?
初めて見たが、風と炎を操る力?
「風と炎だけじゃないよ」
兄貴がそう言った瞬間、兄貴の手から水が涌き出で、地面に燃え移っていた炎の一部を消した。
「それから」
今度は炎がある地面が盛り上がり、炎を包み込んでしまい、地面に燃え移っていた炎は完全に消火された。
「とまあ、こんな風に炎、水、風、土の四つの属性の力を操るのが僕の神器(セイクリッド・ギア)、四精龍の龍秘術(アーツ・オブ・エレメント)の力だよ。ちなみに明日夏とイッセー君と同じドラゴン系だよ」
「俺と明日夏と同じ…」
「ドラゴン系…」
どうにも、俺達はドラゴンにかなりの縁があるようだ。
「まあ、四つ一辺には使えなくて、一つの属性しか使えないんだけどね」
そう言いつつ、ベルに赤の銃の銃口を向ける。
「それでも十分、強力な神器(セイクリッド・ギア)なんだけどね」
ズガガガガッ!
銃口が火を吹き、ベルを無数の銃弾が襲う。
「へ、効くか…」
ジュゥゥゥゥ。
「なっ!?ガアァァアアァァァ!?!?」
銃創から煙が上がり、ベルが苦しみ出した!?
「弾に炎の属性の力を込めたよ。炎が傷から肉体を焼き続ける。君の治癒力とはいい勝負かな?」
おいおい、ずいぶんとえげつない事をやるな、兄貴の奴…。
「おっと」
カリスが兄貴に一撃入れようとしたが、兄貴は危なげ無く避ける。
「フッ」
「ッ!」
ドゴッ!
そして、兄貴は銃を左右のヒップホルスターに納め、掌打を繰り出すが、カリスも危なげ無く防御(ガード)してしまう。
「っ!?」
だが、防御(ガード)したカリスが苦痛に顔を歪ませる。
「フッ」
ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!
空かさず、胸、顎、背中へと掌打による一撃を加える。
「っっっっ!?!?!?」
さらにカリスは苦痛に顔を歪ませ、膝を着いた!
「水の属性の力をちょっと応用してね。体内の水に衝撃を与え、内臓類に直接ダメージを与えたんだよ」
あのカリスとベルがこうもあっさりと手玉に取りやがった。
「コンノォォォォォッ!!!!!」
「ッ!」
ベルが傷などお構い無しに兄貴に斬り掛かろうとしていた!
ジャキ。
「っ!?」
が、兄貴は既に最初に持っていた銃の銃口をベルに向けていた。
「……炎竜撃砲(シューティング・ドラグーン)…」
カッ!
ギャオォォォォオオッ!
「……っ…」
ドゴォォォォォン!
銃口からさっきと同じ姿…だが、こちらは炎の塊となった龍がベルを飲み込み、校舎の一画で爆散した!
「ふう…」
兄貴は息を吐いた後、持っていた銃を回転(スピン)させ、ホルスターに納めた。
「……なるほど…今の一撃が魔弾の竜撃手(デア・フライシュッツ・ドラグナー)と呼ばれる起因みたいですね…」
「まあね。この銃の弾丸は魔力なり、術の力なりを込めやすい素材でできていて、僕は神器(セイクリッド・ギア)の力を込めておいてるんだ。尚且つ銃身にも力を込めた状態で引き金を引くと、ドラゴンの力だからなのか、あんな変化をするようになったんだ」
「……なるほど…」
「さてと…」
チャキ。
「王手(チェックメイト)だね?」
兄貴は青の銃を抜き、銃口をカリスの頭部に向ける。
「……フッ…お見事…」
ドォオン!
兄貴が引き金を引いた瞬間、一発の銃声が響き渡った。 
 

 
後書き
次回でコカビエル戦は終了します。
あと、冬夜のオリキャラ紹介は章終了と同時に追加情報と一緒に更新します。 
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