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フリージング 新訳

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第6話 Accelerating Turn 1

 
前書き
はいはいはい。三が日も今日で終わり。学校の宿題に全く手をつけていない駄文製作者こと、コロモガエシです!
きづいたら、他の作品よりも、話数が多くなってました。なんだろうな……他の作品に申し訳ない……
とは言え、6話目です!どうぞ! 

 


「えっと……アオイ・カズトです。どうぞ、よろしくお願いします。」

次の日、俺は晴れてこの学園の生徒となった。クラスで初めての自己紹介というのは、やはり前世でも、今生でも緊張する。

チラリと、教室内を見渡すと、ひそひそと何かを話してる。
なんだ?俺をハブるための作戦会議か?
いいぜ、どんと来いだ。

そんな中に、昨日づけで友人になったアーサーが手を振ってくる。
よかった。常識人が同じクラスなら心強い。

その時は、本当にそう思ってたのだ。
この後すぐに、またひと騒動あると、全く知らずに………


昼休みになり、アーサーと昼食について話していると、

「こんにちは!」
「…………あっと…こんにちは…」

元気な女子生徒から話しかけられた。
明るい赤毛で(この学校赤毛流行ってるのか?)この学園初めての日本人だ。

「私は、ヒイラギ・カホ。一応このクラスの委員長やってるの。よろしくね。」
「あ、はい。よろしく。」

ここにも、どうやら常識人がいた。
だが、何と無く悟っていたのだ。
常識人に会えるのは、これが最後の一人だと。


閑話休題。


「あり得ねえ……和洋中なんでもありじゃねえか‼︎しかもこれが全部タダだと⁉︎」

俺はこの学園の食堂のメニューに対して怒りの声をあげていた。

「まあ、私達は命がけで戦ってる訳だしね。これくらいは、優遇されてもバチは当たらないでしょ?」

ヒイラギがそう言う。
それはそれでとてもありがたいことだ。
因みに俺は苦学生。寮生になったことで、家賃は払わなくてよくなったので、バイトは辞めたが、これでこの学食がとんでもない金額だったらバイト再開という展開になるところだった。

だが、この食堂には気になるところが一つある。和洋中のランチよりも、混んでいるコーナーがあるのだ。

「ああ。あれはね、バーガークイーンって言って、有料だけど、どんなランチよりも人気があるわ……」

若さゆえに、と彼女は俺の疑問を解消してくれた。確かに、変に高級料理なんか食べても味なんかよく分からないし、日頃食べ慣れてる、ジャンクフードの方が……………

「接触禁止の女王だ‼︎」

いい……え、サテライザー先輩?
声のした方を見ると、先ほどまでの人混みが綺麗に割れ、一つの道を作っていた。さながらガリバーのように。
そして、その先には、確かにサテライザー先輩がいた。
もう包帯も外れ、美しい顔が全て見える。
回復力すごいとか、俺は言えない。
だって人のこと言えないから……

「うっわぁ、怖いなぁブリジット先輩。」

ヒイラギがそう言っているが、俺にはどうもそうは見えなかった。

「どうぞ。ベーコンバーガーのセットです。」

店員さんがにこやかな笑顔で袋を2つ、いや、3つ渡した。
その笑顔の裏に、よくこんなに食えるなと言う感情が秘められている。たぶん。

俺は、そんな先輩を見て、ガタリと席から立ち上がる。ヒイラギがやめろとか言っていてが、無視する。最近無視するのが多くなったな……

「あの、先輩。」

ヒシッと、彼女の袋を持っていない方の手を掴む。
大勢の生徒が息を呑み、こちらを凝視する。

「先日の謝罪と、お礼を………」

そう言ったはいいが、彼女はいつも通りに手を引き、スタスタと去っていく。

「ちょっ、またですか⁉︎」

俺も、いつも通りに彼女を追う。
その時後ろで、奇跡だ、とか言われていたが、気にしない気にしない。

****************

屋上の陰で、サテライザーは深呼吸をしながら座り込んだ。まだ心臓の音は鳴り止まずに、早鐘のように鳴り響いている。
どうしてだろう。今まで、誰かに触れられることすら気持ち悪かったのに……

「探しましたよ……」

ふと顔を上げると、彼がいた。
いきなり掴みかかってきて、訳のわからない事を言ってきた彼。

関係ないのに、自分を助けようとしてくれた彼。

何度振り払っても、飽きることなく、自分に近づいてきた彼。

不思議な少年。アオイ・カズトが、そこにいた。

「あなた、なんで……」
「いや、何でって…これ。」

カズトは、サテライザーにその手に持っていた紙袋を渡した。バーガークイーンで買ったものの一つだ。

先ほど彼に掴まれた時に落とした様だ。

「あ、ありがとう……」
「いえいえ、お礼を言うのはこっちの方ですよ。」

カズトは頭を下げて、誠実に言う。

「すいませんでした。そして、ありがとうございました。」
「え、え?」

サテライザーには意味が分からなかった。自分には謝られる理由も、お礼を言われる理由も分からなかったのだ。

「カーニバルを邪魔してしまって。そして、ガネッサ先輩から助けてくれて。」

そんなことで……カーニバルなど気にも留めていなかった。と言えば嘘になるが、別に誰かに当たり散らすなどはしない。

だが、本当にそうだろうか?
もしかしたら、彼だから、そう思わないだけなのでは無いのだろうか?

そう思ったら、急に恥ずかしくなり、顔を逸らした。

「カーニバルのことは……もう気にしてない……あの時、助けたのは……貴方が、庇ってくれたから……」

途切れ途切れでも、声を絞り出し、彼に伝える。
これだけでも、今の彼女には精一杯だった。

それを聞いたカズトは、安心した様に笑い、サテライザーに目線を合わせる様にひざ立ちになった。

「先輩……いきなりで、なんの脈絡もないお願いなんですけれど。」

そして、カズトは意を決した様に言う。

「俺を、貴方のリミッターにして下さい。」
「……………へ?」

サテライザーは少し間抜けな声を出してしまった。
彼は、まだ会って数日の自分に、リミッターにしてくれと言ってきたのだ。

どちらかと言えば、嫌ではない。
だが、彼女には、どうしてもリミッターを作りたくないわけがあった。
それは……また後ほどに。

だから、彼女は首を横に振ろうとした。
その時だ。

「あらぁ?こんなところで洗礼?」

悪意はやってくる。

 
 

 
後書き
さてさてさーて。次回はあのビッチが登場です。
最近、感想がこなくて泣きそうですよ。批判でもいいので、なんでもいいので、感想下さい!
感想が書かれたら、次回の話を書き始めたいと思います。
ワガママですいません。
では、感想がもしきたら、また次回 
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