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女王への捧げもの

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第三章

 彼等は女王にその薪を献上することにした、そして女王と彼女を守る側近や兵が村に来た時にだ。村人達は女王にそれぞれ捧げものをした。
 冬に咲く珍しい花や狩った猪や鹿、それに。
 ホズの一家は薪を献上した、銀髪に灰色の目を持ち人形の様に整った白い顔の女王にだ、その薪の山を積み上げてだ。
 そのうえで献上してだ、ホズは女王に畏まって言った。
「これがです」
「貴方達一家のですね」
「はい、献上するものです」
 まさにその薪の山がというのだ。
「これがです、ですが」
「ですがとは」
「はい、薪ですので」
 だからだというのだ。
「つまらないものなので」
「つまらないものだから」
「若しお気に召されないのなら」 
 ホズは女王に申し訳なさそうに言うのだった。
「お受け取りにならなくても」
「そう言う筈がありません」
 ここでだ、女王はこう言ったのだった。
「その様なことは」
「それは何故でしょうか」
「非常に有り難い贈りものです」
「有り難いですか」
「今は冬、この国の冬は辛いです」
 長く厳しい、それだけに誰もが厚い毛皮を着ている。
 だからだ、こう言うのだ。
「暖かさは何よりも有り難いものです」
「では薪は」
「薪を暖炉に入れて燃やせば私達にその暖かさをもたらします」
 女王は微笑み己の座、用意されたそこに座って言う。
「ですからこれは素晴らしい贈りものです」
「そう言って頂けますか」
「ほら、私の言った通りでしょ」
 シギュンは女王の言葉を受けて父に笑顔で言った。
「女王様もね、冬は暖かさが必要なのよ」
「まさか御前の言う通りになるとはな」
「誰だってそうだから、冬はね」
「それでか」
「そうよ、薪を喜ばない人はいないのよ」
 それこそ人間なら、というのだ。
「だからこれでいいのよ」
「そうだったんだな」
「そなたが薪をと言ったのですか」
 女王はここでシギュンを見て言った。 
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