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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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黒雷と欠片と絶望神

「……以上が、俺達の報告だ」
アインクラッドには二班、グロッケンには三班が行き、それぞれの状況等を説明してもらった。
俺はそれを聞くと、唸る。
「……何処にいるんだ、あの白黒神は!!」
「落ち着け」
アーチャーが俺を椅子に押し戻す。
「あの神は今やダークの能力で境界を自由に操れる。それのせいか、今は俺の張った結界に反応は無い」
「だが!!」
「落ち着け、話は終わってない。此方の手元にある欠片、あれはダークの居所を掴むヒントだ。あと一つ……あと一つ揃えば完成する」
「あと一つ……?」
「ライトの持つ<黒雷の欠片>、ライトの持つ<黒闇の欠片>、リンの持つ<消滅の欠片>、タツの持つ<逆転の欠片>、サナの持つ<運命の欠片>、そして残された<反逆の欠片>。以上、ダークの能力を構成する六つの欠片だ」
「何でお前が知ってるんだよ!!」
ライトがアーチャーに言う。
「知っていて当然だ。俺は分身体だ、情報伝達用の経路(パス)がある」
アーチャーはさも当然そうに言う。
「テメェッ!!」
「ライト、落ち着け!!」
ライトが襲い掛かろうとすると、隣に居たリンが押さえに掛かる。
「放せリン!!」
「頭冷やせ!!お前が騒いだ所で状況が変わるわけねぇだろうが!!……サナ、悪いけどライト頼めるか?」
「うん……」
サナはライトを連れていくと、リンは座った。
恐らく、一番怒りたいのは俺ですらなければロードやゲンですらない……リンだ。なのに、自らはそのストッパーとなる。……良い奴だ、本当に。
俺は息を吐くと、言う。
「……これからの方針を言う。まず……」
と、言い掛けた時。

「うわぁ!!」

扉から少女が転がり込んで来た。
「ううう……」
「だ、大丈夫か?」
俺は心配して抱き起こすと、少女は俺の顔を見た瞬間、抱き付いた。
「うぇええええっ!?」
「やっと会えた……ライト!!」
「えっと……どちら様で?」
すると、少女は抱き付いたまま言った。

「まだ解らないの?新羅だよ、ライト」

『えええええええええええええええええええええええええええええええっ!?』
動じない人達以外は、円卓で叫びを上げた。

























「……まさか、コレがあのミザールの幼き頃とはねぇ」
リンが新羅の頭をポンポンと叩く。うん、自然なまでに馴染む。と言うか、この世界がピンチだって言うのに、まるで緊張感すらも打ち消している。幼きミザール、略してサミちゃんはちょっとした癒しになった。
「そんなことよりも!はい、コレ!」
サミちゃんが取り出したのは……何と最後の欠片だった。
「サミ、お前これ何処で!?」
「よくわかんないけど、放り込まれたら、小さくなってたって事かな」
……反逆の欠片って何なんだろう。
と、思っていると、アーチャーが言う。
「これで欠片は揃ったな。後はピースとなるダークがこちら側に来れば……」
「しかし、ダークは空間に捕らえられてる。どうしろと?」
「それもあるな……誰か、空間を壊せないか?」
アーチャーが言うが、シーンとなる。当然だ、空間を自在に壊せるなど、別世界の人間か、或いはダークのみだ。ミヤビも空間は壊せなくなってるみたいだし。
「……そうか」
アーチャーが溜め息を付いた途端、巨大な揺れが起こった。
「何だ!?」
「この威力……まさか!!」
アーチャーが窓から飛び降り、続いて俺達が降りると、そこにいつぞやの白黒人間が居た。
「ウロヴォロス!!」
「ご機嫌如何かな、ダークネスウイングの配下よ」
『配下も違う!!』
「聞いてくれたまえ。たった今、消滅の手筈は整ったよ」
だから……ってん?
「消滅の手筈は整ったよ……だと!?」
すると、ウロヴォロスは悪役がしそうな笑みを浮かべる。
「ああ。ダークネスウイングの能力を最大限に引き出すこの<時空消滅(タイムディストピア)>を使えば、この空間は愚か、周りの空間を喰らい尽くす……!こんな滑稽な物はそうそう無いよ!!アハハハハハハハッ!!」
「<時空消滅>……もう完成させていたか、思ったより速いな………っ!」
アーチャーが舌打ちをする。
「だが、その前に壊せば問題など無い!!<カラドボルグ>!!」
弓から放たれた矢は、一直線に装置を狙い……次の瞬間消滅した。
「何っ!?」
「クックックッ……これの他に、もう一つ作ったのさ、ダークネスウイングの記憶からねぇ……!」
そして、消えた所から亀裂が入り、誰かが出てきた。
「嘘……」
その瞬間、俺はドライバーを落とした。
「おいおい……洒落んなってねぇよ!!」
ライトが隣で汗を出して言う。
「紹介するよ、ダークネスウイングの記憶から蘇りし悪夢(モンスター)、<反逆悪魔(リペリオンデーモン)>、ダークライトさ」
『グルル……グルォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」
暗黒の翼、暗黒の鎧、血濡れた太刀と剣、そして、悪に染まったバイザー。
嘗て、ダークと俺がSAOの中で人々を残虐な方法で殺し、また、その当時会って間もない仲間をその(つるぎ)の錆びにした。
反逆悪魔(リペリオンデーモン)>、ダークライト。またの名を。

血濡劍(ちぬれつるぎ)>、デスト。遠い遠い彼方、ダーク達と共に封印したはずの、俺達とは相性が悪い、最悪のユニークスキルホルダー。

『サア、ショクジノジカンダ』
「皆、逃げろォオオオオオオッ!!」
俺はドライバーを使って変身して、そのままデストに相対した。 
 

 
後書き
ユニークスキル<血濡劍>
条件 人を万単位で殺した事のある人物。
使用者 デスト
<血濡劍>……五番目の本体人格、デストの持つ、滅殺剣より質の悪い、いや、恐ろしく、そして残忍過ぎるユニークスキル。
使用者の狂気を掻き立て、人を殺したくなるいわくのあるユニークスキル。
これを食らったプレイヤー達のペインアブソーバは切れ、痛覚が発生。プレイヤーを痛み苦しめ、そして更にそのプレイヤーを狂気へと掻き立てる。
ダークライトへの変貌を好機と見たデストが融合に乱入、そのまま出てしまい、身体はダークライトのまま、デストのユニークスキルが出てしまった。
システム的に不可能な事でも、デストの<血濡劍>は可能になってしまう。
結局、ライトはダーク達と共に封印し、それからダーク達だけの封印を解除、滅殺剣達は表舞台に出たまま、血濡劍は裏へと消えた。
また、スキルも様々で、人の心を操れたり、前述の事が出来たり、人を殺すのに相応しいスキルが一杯である。
尚、ヒースクリフ率いる連合軍も、ヒースクリフ以外は被害を受け、殺された。ライト達の知り合いも、剣の錆びにされた。

対抗手段は無く、弱点も無い。
滅殺剣でも不可能であり、その他ユニーク、及び如何なる能力であったとしても、<血濡劍>は止まらない。
しかし、<血濡劍>は異常なまでに血への執着が深く、それに気付けば対抗手段は有る。 
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