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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』

作者:零戦
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第一話 リメイク

 
前書き
明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い致しますm(__)m 

 






 日米の関係が少しずつ悪化していた。しかし、1941年三月に日本帝国は新たなる試練が待っている事に気付かなかった。
 1941年三月一日、東京府銀座午前十一時五十分にそれは起きた。突然、銀座のど真ん中に門が現れて、中からゴブリンやオーク、中世ヨーロッパの騎士の服装をした集団が出現して市民を殺傷し始めたのだ。

「蛮族どもよ!! よく聞くがよい、我が帝国は皇帝モルト・ソル・アウグスタスの名においてこの地の征服と領有を宣言する!!」

 彼等はそう言って死体が築かれた場所にその帝国の旗が置かれるのであった。

「ぎ、銀座にて謎の武装集団が出現……し、市民が虐殺されています」

 帝国軍の槍に背中を貫かれ致命傷を浴びながらも警察署に駆け込んだ新人警官はそう言って息を引き取った。

「小銃、機関銃類の武器類を装備して出動!! 軍が出動してくるまで時間を稼げ!!」

 署長自ら陣頭指揮を取りつつ陸軍に出撃を要請した。この事態に時の近衛内閣は即座に軍の出動を要請、近衛第一歩兵連隊等が緊急出動をした。

「撃て!! 撃ちまくれ!!」

 精鋭の近衛第一歩兵連隊の兵士達は三八式歩兵銃で突撃してくるゴブリンや騎兵部隊に弾丸を撃ちまくり防戦する。

「歩兵砲を持ってこい!!」

 大隊砲こと九二式歩兵砲が九二式榴弾を発射して帝国軍兵士を吹き飛ばした。更に連隊砲こと四一式山砲も参戦して九四式榴弾を放ち、帝国軍兵士を蹴散らしていく。そこへ爆音が響いてきた。

「海軍さんだ!! 海軍さんの戦闘機が来たぞ!!」

 海軍も出撃要請を受けており横須賀航空隊や厚木航空隊から旧式の九六式艦上戦闘機や最新鋭の零式艦上戦闘機が出撃をして銀座上空を飛行していたワイバーンを七.七ミリ機銃と二十ミリ機銃で駆逐してから地上に対して機銃掃射を始めた。

「よくも東京をやりやがったな!!」

 九六式艦上戦闘機に乗るパイロットはそう叫びつつワイバーンの後方に忍び寄り、七.七ミリ機銃弾をワイバーンに叩き込んだ。七.七ミリ機銃弾はワイバーンの操縦士の命をもぎ取り、ワイバーン自身の命ももぎ取ってワイバーンは地面に墜落した。

「砲撃始めェッ!!」

 現場に到着した増援の砲兵隊が三八式野砲で砲撃を始めて怯えていた帝国軍を完全に蹴散らしていく。更に九二式重機関銃も射撃を開始して帝国軍兵士の命を刈り取っていく。
 同じく到着した九七式中戦車が五七ミリ戦車砲を撃ちながら腰を抜かしている帝国軍兵士を踏み潰していく。帝国軍は果敢に反撃してきたが、上空からの零戦や九七式戦闘機の機銃掃射で血の池に倒れていく。

「総員着剣ッ!!」

 連隊長の言葉に三八式歩兵銃を持つ兵士は三十年銃剣を装着した。

「突撃ィッ!!」
『ウワァァァァァァァァァーーーッ!!!』

 日本軍は雄叫びを上げて混乱している帝国軍に必殺の銃剣突撃を敢行するのであった。



「これは最早私の手に逐えない」

 近衛首相は事態の沈静化をしようとしたが、既に諸外国にも事件の事は知れ渡っておりどうする事も出来ずにそう呟いて内閣を総辞職をした。近衛内閣の後に陸軍大臣だった東條英樹が就任して非常時事態を宣言するのであった。
 そして東條首相は集まった記者達(外国人記者を含む)に説明をした。

「当然の事であるがその土地は地図に載ってはいない。「門」の向こう側はどうなっているのか? その一切が謎に包まれている。だがそこに我が国のこれまで未確認だった土地と住人がいるとすれば――そう、ならば強弁と呼ばれるのを覚悟すれば特別地域は日本国内と考えていいだろう」

 東條総理はそう言う。

「今回の事件では多くの犯人を『捕虜』にした。これは日本帝国に対する宣戦布告である事が明確だからだ」

 東條総理は捕虜を強調する。これは事件などではない、最早戦争を意味していた。

「よって例え「門」を破壊しても何も解決しない。それはまた「門」が現れるかもしれないからだ。そのためにも向こう側に存在する勢力を交渉のテーブルに力ずくでも着かせなければならない。相手を知るためにも我々は「門」の向こうへ踏みいる必要がある。危険、そして交戦の可能性があろうともだッ!!」

 東條総理の演説に記者達は何も言わない。

「従って、日本帝国政府は特別地域の調査と銀座事件首謀者の逮捕、補償獲得の強制執行のために軍の派遣を決定したッ!!」

 その瞬間に多数のフラッシュが光った。この宣言に対してアメリカ――時の大統領であるフランクリン・デラノ・ルーズベルトが内密に接触してきた。

「中国から撤退すれば我がアメリカは日本を支援しよう」

 反日に近いルーズベルトにしては出来すぎた事であった。日本にこのように発言すれば必ず日本は乗ると判断したからだ。そして日本はこれに乗った。東條は即日、門侵攻のために中国にいる陸海軍の部隊は全て満州方面に撤退する事を宣言した。

「満州は日露戦争以来、日本が多くの血を流して手に入れた領土だ!! それをむざむざと放棄するなど散った英霊に申し訳がない!!」

 陸軍からはこのような反対意見が続出したが、東條は憲兵隊を総動員させて反対派を徹底的に排除、若しくは予備役に編入させた。今回の事件で日本の治安を守るのに部隊を出さないといけないと分かっているため直ぐに意見は無くなった。
 また、三国同盟を結んでいるドイツからも接触があり、門の情報を求めた。

「我が日本帝国は「門」の勢力、帝国に対して宣戦を布告すると共に軍を派遣する」

 日本は帝国に対して正式に宣戦を布告。派遣部隊を編成して七個師団、戦車三個連隊、砲兵三個連隊、後に五個航空隊(陸海合わせて)を門に派遣した。派遣部隊司令官は今村中将である。
 派遣部隊は門を潜って異世界に突入した。門周辺には帝国軍が警戒していたが先鋒隊を九七式中戦車と九五式軽戦車部隊の機甲部隊にして突入した。

「カク・カク、命令は簡単也、ただ蹂躙せよ、ただ蹂躙せよ」

 戦車第六連隊第四中隊長の島田豊作少佐は静かにそう告げた。

「な、何だあれは!?」
「あんな物、見たことないぞ!!」

 帝国軍は見知らぬ兵器に混乱し、混乱する帝国軍に向けて九七式中戦車は五七ミリ戦車砲を発射。着弾した九〇式榴弾は帝国軍兵士を殺傷させた。機動力がある九五式軽戦車は戦場を駆け回って帝国軍を混乱に陥れる。そこへ歩兵を主力にした二個連隊が門周辺を守備をして迫ってくる帝国軍に対して射撃を開始した。
 小銃は全て最新の九九式短小銃である。七.七ミリ弾は帝国軍兵士の分厚い鎧を突き破って兵士の命を刈り取っていく。
 門からは続々と増援の部隊が到着して門周辺にいた帝国軍を完全に一掃するのであった。この戦闘で帝国軍は全兵力の六割を喪失する被害を受けるのであった。
 戦闘後、派遣部隊は「門」を中心に仮の施設を設置した。

「簡単な城なようなのを作れば門もそう簡単には奪還されないだろう」
「ですがどのような城を作るのですか? 流石に大阪城等の城を作るのは……」
「西洋の城を作ればいい。日本にも西洋の城があるだろう?」
「……成る程、五稜郭ですか」

 派遣部隊参謀長の栗林少将がそう呟く。五稜郭の単語に他の参謀もあっとぽんと手を打った。

「五稜郭をモチーフにした砦を作る。そしてこの砦を守るように三重の防衛線を構築するのだ!!」

 そして戦闘から翌日には工兵隊に防御陣地の構築が始まり、日本帝国の本格的な特地への進出が始まるのであった。





 
 

 
後書き
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