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Fate/ONLINE

作者:遮那王
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第三十話 誓い

 
前書き

今日で今年も終わりですが、その前に今年度最後の投稿を。

 

 

圏内での殺人事件。

その事件は、SAO内の全プレイヤーに衝撃を与えた。

その事件の発端となったのは、とある教会の窓から男がロープで吊るされていた事から始まる。
その男の胸からは一振りの短剣が突き刺さっていて、まもなく男の体が粒子となって消えたのだ。
その一部始終を見ていたキリトとアスナは、事件の真相を暴こうとその事件を探偵さながらに追い始めたのである。
彼らが此処まで必死になるのには、一つの可能性が頭をよぎったからだ。

サーヴァントによる殺人。

ゲームの性質上、圏内においてプレイヤーがプレイヤーを殺す、俗に言う『PK』はでデュエルでもしない限り不可能だ。
その中で浮かび上がってきたのがサーヴァントの存在。

人知を超えた存在であるサーヴァントならば、このような事が可能ではないのか。
そう二人は考えたのであった。

「キリト君。やっぱり、私はサーヴァントの仕業としか思えないの。こんなこと可能なの、彼等しかいないと思う」

アスナが不安げにそう呟く。

彼女の頭の中には、二つの存在が浮かび上がっていた。

一つはアサシンのサーヴァント。
暗殺者のサーヴァントである彼は、姿を消すことが出来、このようなことを出来るのではないか。そう考えていた。

そしてもう一つは、キャスターのサーヴァント。
キャスター及びそのマスターは、聖杯戦争に関係のない人々を無差別に襲っている。
このようなことをする可能性も十分にあるのだ。

「それはあり得ません」

否定したのはセイバーだった。

「私達サーヴァントといえども、圏内での戦闘は不可能です。そのことは、既にこのゲームにおける聖杯戦争のルール上出来ないのです」

そう。
今回の聖杯戦争は、あくまでこのソードアート・オンラインという世界での戦い。
ゲーム内のルールには幾ら英霊であっても逆らえない。

「でも…やっぱり。キリト君はどう思う?」
「……」

アスナは問いかけるが、キリトは顎に手を置きながら、何かを考えるそぶりをしたまま。
しかも、どこか浮かない表情をしている。

「キリト君!」
「う……え!?な、なに!?」
「なに?じゃないわよ。さっきからどうしたの。浮かない顔して?」
「あ……いや、なんでも―――――――」

どこか歯切れの悪い切り返しをするキリト。

「……もしかして、彼女のこと考えてたの?」
「……!」
「やっぱり……。なにか思いつめたような表情してたもの」

キリトは、俯きながら沈黙する。

サチに拒絶されたあの日、キリトはその場から動くことが出来ず、放心状態のままセイバーに担がれながら宿へと戻った。
アスナとアーチャーもそれに同行したのだが、その時のキリトの精神状態は酷いもので、とても声を掛けられる状態ではなかった。

その後数日間、誰とも会おうとはせず、外に出ることすらなかった。

やっと、彼が外へ出てきたとき、彼がアスナに対して無理して笑いかけていた時の表情はアスナの頭に焼き付いている。
今では、あの時程酷い状態ではないが、たまにどこか思いつめた表情で、物事にふけることがある。

「キリト君。一人で抱え込まなくていいんだよ。私たちももっと頼って……」
「ごめん」

キリトの口から出たのは謝罪の言葉だった。

「本当にごめん。でも、こればかりは俺の責任だから。俺が何とかしなくちゃ」
「……キリト君」
「それより、サーヴァントの仕業というのなら、監督役が何か知っているかもしれない。ちょうどセイバーのステータスを上げておきたかったし、第一層へ行こう!」

キリトはそう言うとアスナに背を向けて、足早に歩きだした。
まるで、もう関わらないでくれと言わんばかりに。

アスナは、彼のその姿を見ることしかできなかった。
声を掛けることもできない。

「行かないのですか?」

セイバーがアスナへと問いかける。

「ううん。行こう」

アスナは首を横に振りながらセイバーに答えた。
そして、先を歩くキリトの背中を追いかけ始める。

「(キリト君。私は貴方に何もできないかもしれない。でも……せめて君の隣を歩きたい)」

アスナはそう誓いながら、キリトを追い第一層、言峰綺礼のいる教会を目指した。
 
 

 
後書き
短いですが、このぐらいで。

仕事納めとコミケに行っていた作者ですが、何とか投稿できました。

さて、年内最後の投稿こんな時間になってしまいました。

感想をくださった皆さん。本当にありがとうございます。

皆さんよいお年をお迎えください。
 
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