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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第二十話 終わりと始まり

 
前書き
無印編の終わり

大輔「無印編終了だ」
フェイト「うん」
はやて「ほな、行くで?」
賢「せーの」
全員【リリカルアドベンチャー、始まります】 

 
大輔とプレシアとアリシアの入ったカプセルは虚数空間を落下していた。
大輔「くそ…どうすれば…!」
大輔が辺りを見回すが、あるのは落石のみ。
大輔は一瞬諦めかけた。
その時、虚数空間の一部に入っていた罅が大きくなり、大きな亀裂が入った。
大輔達はその亀裂に落ちた。
亀裂は大輔達が落ちた後ゆっくりと閉じた。






























アースラのブリッジでは大輔とブイモン以外のメンバーが集まっていた。
なのは「そ、そんな…大輔さんが…?」
大輔とブイモンが虚数空間に落ちたとクロノ達から聞いたなのはは激しいショックを受けた。
医務室に運ばれて、しばらくして目を覚ましたフェイトも暗い表情で頷いた。
クロノ「…いくら大輔でも虚数空間に落ちては助からないだろう……」
酷く沈んだ声音で言うクロノ。
クロノの言葉にアルフが食いかかる。
アルフ「…あいつらがそう簡単に死ぬもんか!!大輔もブイモンも凄く強いんだから!!だから…あいつらが死ぬなんてあるもんか!!」
クロノ「だが…虚数空間に落ちて助かった者など1人もいない…もう大輔達は…」
アルフ「あんたね!!」
ユーノ「止めるんだ!!」
クロノに詰め寄ろうとしたアルフをユーノが必死に抑える。
リンディ「少し…休みましょう…」
リンディが全員に休むように言う。
リンディ達がブリッジから離れ、クロノもブリッジから出ていく。
ユーノとアルフ、ツカイモンは心配そうにフェイトを見ていたがフェイトは何も言わない。
なのはは目で自分に任せてくれと合図する。
今この時点で大輔と賢達以外でフェイトが心を開いているのはなのはだけだろう。
アルフはなのはに頷くとブリッジから去った。
ユーノとツカイモンもアルフの後を追うようにブリッジを去った。
ブリッジにはなのはとフェイトが残された。
なのは「フェイトちゃん…大丈夫…?」
なのはがフェイトに近づきながら言う。
フェイト「……うん」
フェイトは沈んだ声で、何とか返事を返す。
なのは「きっと…きっと大丈夫だよ!!大輔さんなら絶対に生きてるよ!!」
フェイト「………」
なのはの言葉にフェイトは何も答えない。
しかし暫くして口を開いた。
フェイト「なのは…私、なのはに聞いて欲しいことがあるんだ…」
なのは「何…?」
フェイト「私ね…大輔のこと…好きだったんだ…」
なのは「うん…」
フェイト「いつも傍にいてくれて…いつも守ってくれて…」
なのは「うん…」
フェイト「お兄ちゃんがいたらこんな感じなのかなって思った…。」
なのは「…うん……」
フェイト「でも…それだけじゃなかった。大輔がいなくなった時、凄く辛くて寂しかった…」
なのは「……フェイトちゃん…」
フェイト「大輔が虚数空間に落ちて、いなくなった時に気づいたの…私は…大輔が好きだったんだって…」
なのは「……」
フェイト「馬鹿だよね。私……大輔がいなくなってから気づくなんて本当に馬鹿だよね…私…私…っ!!」
フェイトの目から大粒の涙がいくつも床に零れ落ちる。
なのはの目からも涙が零れ落ちた。
フェイト「大輔が傍にいてくれた時に…生きている時に気づきたかったよ…っ!!」
なのは「フェイトちゃん…っ!!」
なのはは少しでもフェイトの苦しみを和らげてあげようと強く抱き締めた。






























亀裂の中に落ちた大輔とプレシアは、まるで玩具箱をひっくり返したような世界にいた。
ブイモン[ここは…?そうだ。大輔!大輔!!]
ブイモンは気絶している大輔の名前を呼びながら身体を揺さ振る。
大輔「うぅ…っ」
頭を押さえて起き上がる大輔。
ブイモンと大輔は辺りを見回す。
大輔「ここは…?」
プレシア「う…っ」
大輔「プレシア!!」
大輔はプレシアの元に急いで駆け寄る。
プレシア「大輔…?」
大輔「大丈夫か?」
プレシア「ええ…ここは?」
大輔「分からない。プレシアも知らないのか?」
プレシア「ええ、私もこのような世界は見たことがないわ」
?「ここは人の想いを具現化する世界じゃよ。デジタルワールドの根底も、ここにある」
大輔達の背後から聞こえて来た声に大輔達は反射的に背後を見遣る。
大輔「誰だ!!」
かつて、太一達の冒険を助けた老人がいた。
ゲンナイ「わしの名はゲンナイ。かつてお前さんの仲間である太一達を助けた者じゃ」
大輔「太一さん達を?」
記憶を取り戻してから、少しずつ彼らに対する感情が変わってきている大輔は微妙そうな顔をする。
大輔「まあいいや、ゲンナイさん。俺達は今すぐにでもあの世界に帰らなきゃいけないんだ。一体どうすれば帰れるんですか?」
ゲンナイ「それはじゃな…」
プレシア「う…っ…ゴホッ!…ゴホッ!!」
ゲンナイが言おうとした時、プレシアが咳込んだ。
大輔は急いで駆け寄り、プレシアの背を摩る。
大輔「ゲンナイさん、どうにかならないんですか!?」
大輔が縋るように叫んだ。
ゲンナイ「…ここは人の想いを具現化する世界じゃ。お主がその者を救いたいと願うならこの世界はきっと応えるじゃろう」
大輔「………」
大輔はゲンナイの言葉を信じ、プレシアの病が治したいと心から願った。
するとプレシアの身体が暖かい光に包まれた。
プレシア「これは…身体が軽い…それに身体の苦しさが消えた…!?」
大輔「やった…!!」
ゲンナイ「成功したようじゃのう。」
ゲンナイが優しく見守りながら呟いた。
大輔は次にアリシアのカプセルに歩み寄る。
カプセルの中のアリシアはまるで眠っているかのようだ。
フェイトよりも幾分幼い顔立ちだ。
大輔「…なあ、プレシア。アリシアは何歳の時に……死んだんだ?」
プレシア「……まだ5歳の時よ」
大輔「…そうか」
自分がデジタルワールドを冒険した時の歳よりも下。
大輔は沈痛な思いで、カプセルを見つめた。
大輔「…生きたかったろうな…アリシアは…。生きて…同い年の子供と沢山遊んで、学校行って沢山学んで、世界の色々な物を見たかっただろうな…」
そして、叶いはしないだろうが、アリシアもフェイトと一緒に笑っていて欲しかった。
大輔「出来ることなら…アリシアには生きていてもらいたかったな…」
大輔がカプセルに触れた途端、アリシアがプレシアと同じように暖かい光に包まれ、アリシアの心臓が動き出し、生白かった肌に徐々に色みが戻ってきているのが分かった。
微かに瞼が動いて開く。
何度か瞬きを繰り返し、その瞳の奥で瞳孔が収縮するのが見える。
人形めいていた双眸に意志が宿る。
むくりと半身を起こして目を擦りながら、ずいぶんと間の抜けた声を出した。
アリシア「ふわあ……うぅ…おはよー、お母さん」
光が収まると、アリシアが寝ぼけ眼でプレシアを見ると挨拶した。
大輔「おはようっていうかおそよう…が正しいよな…?」
大輔が呆然となりながら呟いた。
プレシア「アリシア…」
プレシアは久しぶりに聞いた娘の声に涙を流した。
アリシア「お母さんどうしたの?何処か痛いの?」
アリシアがカプセルから出て、プレシアに駆け寄る。
プレシアは堪らずアリシアを抱き締めた。
プレシア「アリシア…ごめんなさい。私は最低な母親だったわ…」
アリシア「お母さん…?」
大輔「アリシア」
アリシア「お兄ちゃん誰?」
大輔「俺は大輔、君のお母さんの知り合いで、フェイトの…仲間だよ」
アリシア「フェイト?」
アリシアは首を傾げて大輔を見上げる。
大輔「君にとてもそっくりな子なんだ…君の妹だよ。」
アリシア「妹…お母さん。私が欲しかった物をプレゼントしてくれたんだね?」
プレシア「え…?」
アリシア「私、誕生日のプレゼントに妹が欲しいって言ったよね」
プレシア「あ…」
プレシアは記憶を辿ると、生前のアリシアが誕生日プレゼントに妹が欲しいと言っていた。
アリシア「ありがとう、お母さん」
アリシアが満面の笑顔をプレシアに向けた。
だがプレシアは暗い表情をしていた。
プレシア「違うのよアリシア…」
アリシア「え?」
プレシア「私にはそんなことを言われる資格なんて無いのよ…」
プレシアは暗い表情で俯きながら言う。
大輔「アリシア…プレシアはな…」






























大輔が自分が知る限りのことをアリシアに伝えた。
アリシアは少し悲しそうな顔をしてプレシアを見上げる。
アリシア「…お母さんは、ずっとフェイトのことをいじめていたの?」
プレシア「そうよ…私は…最低な母親だわ」
ブイモン「でも、プレシアは自分が間違っていたことに気づいた。それをフェイトに謝ったじゃないか。大事なのは、自分の過ちから逃げるんじゃなくて受け止めることだからさ。」
アリシア「うぅ~、犬さんが言ってる事はよく分かんないけどお母さんは反省してるんだよね?」
ブイモン[犬…っ!?]
犬と呼ばれたことにショックを受けるブイモン。
プレシア「ええ…」
アリシア「じゃあ、謝らなきゃ。」
プレシア「え?」
アリシアの言葉にプレシアが呆然とする中、大輔が納得したように頷いた。
大輔「そういえば、プレシアは確かにフェイトに謝ったけどモニター越しだしな」
ブイモン[ちゃんと面と面を合わせて言わないとな]
アリシア「悪いことしたなら謝らなきゃ駄目だよお母さん!!」
プレシア「…そうね……その通りだわ…」
プレシアはアリシアの言葉に頷いた。
大輔「それじゃあ、そろそろ帰ろう。場所は…アースラのブリッジでいいか」
適当に思い付いた場所を思い浮かべ、ゲートを開けた。
大輔「それじゃあゲンナイさん。ありがとう」
アリシア「バイバイおじいちゃん」
アリシアがゲンナイに手を振る。
ゲンナイも微笑ましく大輔達を見守りながら手を振る。
大輔達はゲートに飛び込んだ。ゲンナイ「…記憶を取り戻したようじゃのう。あれなら大丈夫かもしれん…異世界へ飛ばされた紋章…見つけだすのじゃぞ大輔」

































なのはとフェイトが抱き合う中、ブリッジの天井に穴が空いた。
なのはとフェイトは驚いて、離れてしまう。
ブイモン[よっと!!]
ブイモンがヒラリと軽々と着地した。
なのは、フェイト「「ブイモン!?」」
そして。
大輔「うわああああ!!?」
プレシア「キャアアアア!!?」
アリシア「うわわわっ!!?」
大輔、プレシア、アリシアの順に降ってきた。
当然真下にいたブイモンは…。
ブイモン[ギャアッ!!?]
下敷きになり潰れた。
フェイト「大輔!?母さん!?それに…」
なのは「フェイト…ちゃん…?」
なのははアリシアの姿を見ると目を見開いた。
すると騒ぎを聞き付けたクロノ達がブリッジに戻って来た。
クロノ「何があった!?」
アルフ「大輔にブイモン!!それにプレシアまで…って…フェイトが2人!?」
アリシア「違うよお!!私はアリシア!!」
エイミィ「嘘おっ!?も、もももももももしかして幽霊!?」
なのは「ふええええっ!!!?幽霊ーーーーっ!!!!?」
ユーノ「な、なのは…」
エイミィの言葉に驚いてユーノに抱きつく。
ユーノは顔を赤くしたが、抵抗はしなかった。
遼「いやいや、よく見ろ。足があるだろ足が」
アリシア「幽霊じゃないよお!!」
エイミィ「南無阿弥陀仏!南無阿弥陀仏!!南無阿弥陀仏!!!南無阿弥陀仏!!!!南無阿弥陀仏!!!!!」
取り乱したエイミィがアリシアの抗議を聞かずに日本の念仏を唱えた。
大輔「(何で異世界出身のエイミィが日本の念仏知ってんだ…?)」
何故エイミィが日本の念仏を知っているのか大輔は首を傾げた。
クロノ「静かに!!」
エイミィ「あうっ!!」
これでは話が進まない為、クロノはエイミィの頭にチョップを叩き落として強引に黙らせた。
クロノ「大輔…聞かせて貰おうか?」
大輔「ああ…だけど」
クロノ「分かっている。話にもよるが、このメンバーだけの秘密だ」
大輔はクロノの言葉を信じて口を開いた。
全員が大輔の話に耳を傾けた。
暫くして。
クロノ「想いを具現化する世界…か…」
賢「そんな世界が…」
エイミィ「死人さえも生き返らせることが出来るなんて…」
リンディ「俄かには信じられないけど、アリシアさんを見たら納得せざるを得ないわ」
フェイト「………」
フェイトは黙ってアリシアを見つめていた。
アリシアが生き返った今、自分にはもう居場所は…。
そう思っていたフェイトにアリシアが駆け寄り、手を握り締めた。
アリシア「フェイト!!お姉ちゃんだよ!!」
フェイト「え?」
アリシア「お母さん!!」
プレシア「ええ…」
プレシアはアリシアに促され、フェイトの前まで来ると目線を合わせる。
プレシア「フェイト…今まであなたにやって来たことを考えればこんな事を言う資格なんて無いかもしれないけど…。本当にごめんなさい…。」
フェイト「母さん…」
プレシア「もし…もし、あなたさえ良かったら、私の娘でいてくれる…?」
フェイト「え…?でも…アリシアがいるなら私は…」
フェイトがアリシアを見遣りながら言う。
プレシア「…フェイト、確かにアリシアは私の大切な娘よ…。」
フェイト「……」
プレシア「でもあなたもアリシアと同じくらい大切な娘よ」
フェイト「っ…!母さん…」
プレシアの言葉にフェイトは涙を流した。
プレシア「フェイト…もう1度聞くわ。私の娘でいてくれる…?」
フェイト「ゔん…っ!母さん…っ母さあん…っ!!」
フェイトはプレシアに抱き着いて泣きじゃくる。
アルフ、エイミィ「「ぐすっ…」」
アルフとエイミィが感動のあまりに泣き出した。
なのは「良かった…フェイトちゃん…」
なのはも涙を浮かべながら安心したように言う。
アリシア「今日から私がお姉ちゃんだからね!!」
フェイト「うん…っ!!」
大輔「どっちかって言えばアリシアが妹に見えるけどな?」
遼「確かに」
アリシア「むう~」
リンディ「話の途中に申し訳ありませんがいいでしょうか?」
リンディがプレシアに歩み寄る。
プレシア「ええ…」
プレシアは覚悟を決めた顔で立ち上がる。
フェイト「母さん…」
アリシア「お母さん?」
フェイトが不安そうにプレシアを見上げ、アリシアが不思議そうにプレシアを見上げていた。
リンディ「フェイトさんとアリシアさんはアースラで保護し、プレシアさんはジュエルシードの保管ミスということで厳重注意の後、アースラで保護します」
全員【え?】
リンディを除いた全員が目を見開いた。
リンディ「だって証拠が無いもの」
ブイモン[…映像は?]
リンディ「映像だけではハッキリとした証拠にはならないから消してしまったわ。」
大輔「ああ、成る程ね…まあ証拠が無いんじゃあ仕方ない。フェイト、アリシア。良かったな?」
ブイモン[家族全員で暮らせるんだからさ!!]
クロノ「ふう…、艦長がそう決めたなら仕方ない。だけど次はありませんよ?」
クロノがプレシアに釘を刺すように言う。
フェイト「皆…ありがとう…!!」
フェイトが全員を見渡して礼を言う。
フェイトが全員を見渡して礼を言う。
大輔「せっかく病気が治ったんだ。長生きしろよプレシア?」
プレシア「…そうね。孫の顔を見るまで死ねなくなったもの」
フェイト「え?」
プレシア「大輔、フェイトのことをお願いね。」
大輔「な、何の話だ?」
プレシア「あなた達の将来の話よ。今から…最低でも10年は待たなければならないわね。フェイト。大輔と頑張って可愛い赤ちゃんを産むのよ?」
大輔「はあ!?」
フェイト「か、母さん!?」
あまりに飛躍した話に大輔とフェイトの顔が真っ赤になる。
リンディ「まあ、素敵!!2人の子供なら可愛いでしょうねえ…」
エイミィ「私は大輔君とフェイトちゃんが子供を沢山作る方に賭けるね!!」
リンディ「あら?なら私も大輔さんとフェイトさんが子沢山になる方に賭けるわ」
ユーノ「僕も2人が子沢山になる方に賭けます。」
なのは「私も子沢山になる方に賭けるね!!きっと可愛いんだろうなあ…」
アルフ「うん。それじゃあ、あたしも子沢山の方に賭けるね!!大輔とフェイトにそっくりな子!!さぞかし可愛いだろうね!!」
賢「えっと…じゃあ僕も」
遼「精々励めよお前ら。応援してるから」
クロノ「おいおい君達。全員が“大輔とフェイトが子沢山になる”に賭けてしまったら、賭け事は成立しないよ。」
大輔「止めろよお前!!」
リンディ達を諌めるどころか逆に煽る発言をするクロノに大輔が突っ込む。
エイミィ「おっと!!そうだった。こりゃうっかりしてた!!」
大輔「……お前らああああああっ!!!!!!」
フェイト「だ、大輔の赤ちゃん…はう…」
ブイモン[おおっ!?フェイトが顔を真っ赤にして気絶した!!]
顔を真っ赤にして気絶したフェイトをブイモンが介抱し、大輔の叫びが木霊した。






























静寂に包まれた公園には大輔達が静かに佇んでいた。
賢はあれから何とか意識を取り戻し、病み上がりの身体を押して、公園に来ていた。
なのは「フェイトちゃ~ん!!」
フェイトの姿を見付けたなのはは思わず叫んで駆け寄る。
クロノ「暫く話すといい。僕達は向こうにいるから。行くぞ、大輔、賢。」
大輔「ああ」
賢「分かった」
そう言って大輔達はなのは達のいる所から離れる。
なのは「ありがとう」
フェイト「ありがとう…」
なのはとフェイトは大輔達に礼を言うと向き直った。
なのは「何だか話したい事一杯あったのに…変だね、フェイトちゃんの顔見たら、忘れちゃった」
フェイト「私は…そうだね。私も上手く言葉に出来ない…だけど嬉しかった」
なのは「えっ?」
フェイト「真っ直ぐ向き合ってくれて…」
なのは「うん…友達になれたら良いなって思ったの」
なのはは笑顔でフェイトに言う。
なのは「でも…今日は、これから出掛けちゃうんだよね」
暗い顔になりながらそう呟く。
フェイト「そうだね…少し長い旅になる」
なのは「また会えるんだよね?」
フェイト「…少し悲しいけど、やっとホントの自分を始められるから…来てもらったのは、返事をするため」
なのは「えっ?」
フェイト「なのはが言ってくれた言葉…友達になりたいって…」
なのは「うん!うん!!」
フェイト「私に出来るなら…私で良いならって…だけど私…どうして良いか分からない…だから教えて欲しいんだ。どうしたら友達になれるのか」
フェイトは言い終わると俯く。
なのは「…簡単だよ」
なのはの言葉に、フェイトは驚いた表情をして顔を上げる。
なのは「友達になるの、凄く簡単」
そして、なのはは一呼吸置いて、口を開いた。
なのは「名前を呼んで。初めはそれだけでいいの。ちゃんと相手の目をみてはっきりと相手の名前を呼ぶの。たったそれだけ!!」
フェイト「…そう、なの…?」
なのは「うん!!」
小さく呟かれたフェイトの言葉に、なのはは嬉しそうに答える。
フェイト「なのは…」
なのは「うん!」
フェイトのなのはの名前を言う。
フェイト「なのは!!」
今度は、はっきりと笑顔を浮かべてなのはの名前を言う。
なのは「うん!!」
なのはは、フェイトの手を取る。
フェイト「ありがとう…なのは」
なのは「うん…!!」
なのはは感極まって瞳に涙を滲ませている。
フェイト「なのは…」
なのは「…うん!!」
フェイト「君の手は暖かいね、なのは」
なのはは思わず泣き出してしまう。
フェイト「少し分かったことがある。友達が泣いていると、同じように自分も悲しいんだ」
なのは「フェイトちゃん!!」
なのははフェイトに抱きつく。
フェイト「ありがとう…なのは。今は別れてしまうけど、きっとまた会える。そうしたら、また、君の名前を呼んでもいい?」
なのは「うん!…うん!!」
フェイト「会いたくなったら、きっと名前を呼ぶ。だから…なのはも私を呼んで…なのはが困った事があったら、今度は私が助けに行くから…」
なのはは声を漏らして泣いた。






























そしてその様子を大輔達は暖かく見守っていた。
アルフに至っては感動のあまりに号泣している。
大輔「フェイト…なのはと友達になれたか…今まで頑張ったもんな…」
アリシア「フェイト、嬉しそう。」
プレシア「フェイトのあんな笑顔を見たのは初めてね…」
アリシアは嬉しそうに、プレシアは初めて見るフェイトの笑顔に涙ぐみながら見守る。
大輔「大丈夫…これからずっと見れるさ」
大輔が微笑みを浮かべながら言う。
そして大輔は次に賢の方を向いた。
大輔「結果として俺達の世界に帰る方法は見つからなかったけど。これはこれで良かったかもな」
賢「そうだね、今回の僕達の戦いは無駄じゃなかった。あんな暖かい光景が見れたんだ…充分だよ」
大輔「そうだな」
賢「本宮君はミッドチルダに行くんだろ?」
大輔「ああ、アリシアに懐かれちまってさ」
賢「そう…じゃあ、しばらくはお別れだね」
大輔「たまには、お前とはやての顔を見に、海鳴市に帰るさ…今までありがとうな。一乗寺。」
賢「こちらこそ」
二人は握手をして、笑い合う。
大輔「遼さんは?」
遼「俺もしばらくは海鳴市にいるさ。」
大輔「そうですか、今までありがとうございました」
そうしてクロノに呼ばれ、大輔達はプレシア達と共にミッドチルダに。
クロノ「…ではそろそろ転移するぞ。」
フェイト「…うん」
なのは「またね、大輔さん、ブイモン、フェイトちゃん、アリシアちゃん、アルフさん、プレシアさん!!」
大輔「8月1日にまた会おうぜ」
ブイモン[元気でなー!!]
フェイト「またね!!」
アリシア「またねお姉ちゃん達!!私も行くからねーっ!!」
アルフ「元気でねーっ!!」
プレシア「今回は本当にありがとう」
8月1日にまた会うことを約束して、大輔達は別れを告げた。
大輔達はアースラに転移された。
 
 

 
後書き
大輔、ミッドチルダ行き。
けど時たま海鳴市に帰ります。 
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