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美しき異形達

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第三十二話 伊勢神宮その六

「お詳しいですね」
「お寺、宗教は違うけれど同じ宗教関係だしね」
 それに、とだ。向日葵は桜にも話した。
「事前にネットでも調べたし」
「お伊勢さんがどういうところか」
「そうなの、それでね」
 詳しいというのだ、伊勢に。
「食べもののことも調べたのよ」
「伊勢うどんと赤福餅の他にも」
「麦とろろに漁師汁、そして穴子よ」
 挙げたのはこの三つだった。
「他にも美味しいものある場所だけれど」
「伊勢うどん、赤福も入れて五つですね」
「それ食べようね」
「ではまずは」 
 菖蒲はクールに言った。
「伊勢うどんかしら」
「最初はそれなの」
「それでどうかしら」
「そうね、最初はおうどんでね」
 菫は菖蒲の言葉を聞いて述べた。
「ウォーミングアップみたいに食べて」
「それから他のものを食べて」
「最後はデザートで」
「赤福でどうかしら」
「それでいいんじゃないの?」
 薊はここまで聞いて菖蒲達に応えた。
「その伊勢うどんが一番興味があるしな」
「そうね、まずはそれね」
 裕香も薊のその言葉に小さく頷く。
「伊勢うどん食べましょう」
「さて、一体どんなうどんが」
「この目で見てね」
「舌でも確かめようぜ」
 こう話してだった、そのうえで。
 七人はまずは伊勢うどんの店に入った、そしてだった。
 そこで伊勢うどんを注文した、すると出て来たのは。
 丼の中にうどんがある、そのつゆは墨汁よりも黒くしかもそのうえかなり少ない。そのうどんを見て裕香は唸る様にして言った。
「向日葵ちゃんの言う通りね」
「そうでしょ」
 向日葵は裕香ににこりとして応えた。
「おつゆ凄いでしょ」
「真っ黒でしかも」
「量も少ないわね」
「こんなおうどんはじめて見たわ」
「うん、けれどね」
「それでもなのね」
「美味しいから」
 このことは間違いないというのだ。
「実際に食べて確かめてね」
「そうね、食べてみないとわからないからね」
 裕香は向日葵の言葉に応えてだ。
「これからね」
「食べようね」
 向日葵はもう箸を手にしている、そして他の面々もまた。
 いただきますをしてそうしてだった、その伊勢うどんを食べた。その独特のつゆで黒く染まっている麺を食べてだ。
 そのうえでだ、裕香がまず言った。
「これは」
「どう?」
「意外と辛くないし」
「おつゆが黒くてもね」
「うん、あまり辛くなくて」
 それに、というのだ。 
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