ソードアート・オンライン ~Hero of the sorrow~
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フェアリィ・ダンス編 哀しみを背負った男達
響く鬼
前書き
さぁて、始まりました。フェアリィダンス編。最初の奴は、キリト達がクリアする、三日前の話です。
文章力無くて済みません。
「お兄ちゃん・・・・」
目の前に眠る、自分の兄、桐ケ谷和人。その寝顔を見ながら、妹である直葉は語りかけた。
「もう、二年になるんだね・・・。あたし、今度高校生になるよ。早く帰ってこないと、どんどん追い越しちゃうよ」
「あのね、お兄ちゃん。今日わたし、不思議な人に会ったんだ・・・」
今日あった出来事を、直葉は語り始める。
「とっても優しくて、とっても強い人だったんだ。思わず名前を聞いたら・・・」
自分で自分を戒めるように、クズだって言ってたんだ。
「いい人だったのにな・・・」
「でね・・・」
直葉が病院から和人の目が覚めたという、急報を聞くのは、この話をしてから三日後のことだった。
僕は・・・。ユキだ。どこにでもいる、恋をしたクズだ。
もう、あの世界は終わったというのに・・・・。僕の好きな人は帰ってきていない。
「何で・・・」
思わず声が漏れる。
「なんで、戻って来てないんですか!アルゴさん!!」
僕は、目の前で横たわる、好きな人を見ながら叫んだ。ライダーズスピリットを使い、ウィザードリングを取り出す。
ルパッチマジック タッチ ゴー!
エンゲージウィザードリングをベルトにかざしたところで・・・僕の意識は途切れた。
「ふぃ~。やれやれ・・・」
男は思わずため息をついた。カナリアから聞いた少年が、病院を回っているらしくいないので、病院内を走り回っていた。
次の階、行きますか、と階段を上り始めたその時。
「うわっ・・・・」
と声を上げ、少女が足を滑らせ、落ちる。男は急いで手すりに手を掴み、あいた腕で少女を掬い上げる。
「す、すいません。あのお怪我は・・・」
と少女、リズベットこと、篠崎里香が男に尋ねると、男は穏やかに笑って言った。
「鍛えてますから」
と。男は少女に尋ねる。
「なぁ、娘さん。ここで、アルゴっていう子が入院してないか?」
「え?上の階のすぐそこの部屋ですけど・・・」
「悪いけど、そこまで案内してくれないかなぁ」
え、いいですよ、と言って、歩きながら里香は男の名前を尋ねた。
「あ、ごめんね。俺は、響鬼。響く鬼で響鬼」
「響鬼?」
「ん~まぁ、二つ名なんだけどね、実際の名前は日高仁志っていうんだ」
そんなところで、病室の前に付くと。
目の前には鮮血と怪人。少年が少女を守るように覆いかぶさっている。里香は沈黙する。
「娘さん!病院の人呼んできて!速く!!」
が、里香は目の前の状況が呑み込めず、立ち尽くしていた。
「娘さん、しっかり!!」
響鬼が駆け寄ると、カナリアが飛来する。
「ごめんなさい」
「いや、いい。魔化魍ごとあちらへ運べ!」
カナリアの光が、全員を包みこんだ。
ユキと同様の事態は、こちらでも起きていた。
再開する約束を立てた4人の一人である、アスナが帰ってきていないのだ。
自身の恋人である、アスナの寝顔を見ながら和人はぼそりと呟いた。
「なぜ、帰ってこない・・・?」
彼もまた、力があれば救えると思っていた。憂鬱な気分になり、アスナを取り戻す手段を考えていたところ、病室のドアが開いた。
「おお、来ていたのか桐ケ谷君。たびたびすまんね」
明日奈の父、結城彰三が話しかけてくる。俺は顔を上げ、口を開く。
「こんにちは、お邪魔しています」
彰三氏はアスナの髪をそっと撫でる。悲しんでいるのは、自分だけではないことがよくわかった。
そして、彰三氏の背後から、一人の男が出てくる。
「彼とは初めてだったな、彼はうちの研究所で主任をしている須郷君だ」
人がよさそう、というのが第一印象だった。長身をスーツに身を包み、顔にはフレームレスのめがね。
常に笑っているような顔が、こちらを見ていた。右手をこちらに差し出しながら、須郷と言う男は言った。
「よろしく、須郷伸之です。・・・君が英雄の一人、キリト君か」
「・・・・桐ケ谷和人です。よろしく」
ちらりと彰三氏の方を見ると、彼は顎を撫でながら軽く首を縮めた。
「いや、すまん。それは口外禁止だったな。あまりにもドラマティックな話なのでつい喋ってしまった」
「社長、あの件ですが・・・」
手を放した須郷が彰三氏に向き合う。
「来月に、話を決めさせていただきたいと思います」
「・・・そうか。しかし、君はいいのかね?まだ若いんだ、新しい人生だって」
「僕の心は昔から決まっています。明日奈さんが、今の美しい姿でいる間に・・・。ドレスを着させてあげたいのです」
「・・・そうだな。そろそろ覚悟を決める時期かもしれないな・・・・」
話の内容が見えず困惑していると、彰三氏がこちらを見た。
「では、私は失礼させてもらうよ」
そう言って彰三氏は体を翻し、病室から出て行った。残ったのは、須郷と俺だけだった。
須郷がアスナの髪に触れ、音を立ててすり合わせる。凄まじい嫌悪感が込み上げてくる。
「君はあのゲームの中で、明日奈と暮らしていたんだって?」
須郷の一言に、俺は答える。
「・・・ええ」
「それなら、僕と君はやや複雑な関係と言うことになるかなぁ」
須郷の顔が、ニタニタとした笑みへと変わる。
「さっきの話はねぇ・・・」
須郷は愉快でたまらないという、子供がプレゼントを貰ったようにニヤニヤしながら言った。
「僕と明日奈が結婚するという話だよ」
その言葉は、俺の体を芯から凍りつくした。何とか言葉を絞り出す。
「そんな事・・・できるわけが・・・」
法的な入籍はできないがね、と須郷は言った。
「養子に入る事になるだけさ。・・・実のところ、この娘は、昔から私を嫌っていてね」
須郷が明日奈の頬に自分の指を這わせる。
「親たちはそれを知らないが、結婚となると断れる可能性が高かったからねぇ。この状況は僕にとって非常に都合がいい。当分眠っていてほしいね」
須郷は這わせていた指をアスナの唇に近づける。
「やめろ!!」
思わずその手を掴み、アスナの顔からそれを引き離す。憤怒を込めて問いただす。
「あんた・・・アスナの昏睡状態を利用する気なのか」
「利用?いや、正当な権利だよ。あのデスゲームを開発した(アーガス)がどうなったか知ってるかい?」
「・・・解散したと聞いた」
「負債とかいろいろ抱えて会社は消滅。そしてサーバーの維持を委託されたのがレクトのフルダイブ技術研究部門さ。具体的に言えば、僕の部署だ」
勝ち誇った笑みになった須郷が、こちらを見る。
「つまり、明日奈の命は今やこの僕が維持してると言ってもいい。なら、僅かばかりの対価を要求したっていいじゃないか」
立ち尽くす俺に須郷は何か言ったが、その言葉は何も届いておらず、俺は逃げるように病室を出て家に帰った。
家のベットに寝込み、涙をこらえる。無力な自分が、みじめでたまらなかった。
「う、わぁ!!」
私は目の前にいるサラマンダーを相手していた。最近、このゲームで噂になっていることがあった。
その名もバッタ男。新種のモンスターとされていて、しゃべるとされているものだ。
事実、先日サラマンダーの部隊が挑みに行ったところ、たった一体のバッタ男に返り討ちに合ったそうだ。
その噂を聞いたとき、私は嘘だと思ったが気になったので、目撃されたココにレコンという奴と一緒に来たのだが・・・。
バッタ男を狙う集団だと思われる、サラマンダー部隊に遭遇して今に至る。
レコンはすでにリタイアし、残るは私だけだった。サラマンダー達の猛攻に、私のHPはみるみる減っていく。
その時――――――――――――――。
風が、吹いた。
「グワアアアアアアアアアウッ!!」
叫び声をあげて何かがサラマンダーの一人に飛びかかり、ズタズタに引き裂く。
凄まじい速さの何かは、腕にある刃でサラマンダー達を切り裂いていく。
その中で、一人のサラマンダーがこちらに向かって来る。咄嗟に戦おうとしたが、突然のことで対応ができなかった。
だが、サラマンダーが歩みを止めた。何かが頭を引っ掴み、地面に叩きつける。
「女相手に・・・」
「手を出すな・・・!!」
全身が私の目に飛びこんでくる。生物的な姿。緑色の体。四肢に生える刃。そして、額にある第三の目。
「バッタ・・・男?」
バッタ男が叩きつけたサラマンダーの目へと鋭利な爪を突き刺し、刃で首を断ち切る。
分離した体が崩れてポリゴンと化し、断ち切られた首から脊髄が見えた。それは後から消滅した。
バッタ男がこちらを向く。その眼は悲しみを湛えていた。後ろから炎が飛ぶ。
「あ、危な・・・」
思わず叫ぶと紫色の鬼のような者が現れ、炎を薙ぎ払った。
「あれ?真さん、なんでこんなところにいんの?」
鬼の声は思ったより優しさを持った声だった。
「・・・響鬼か」
バッタ男が喋る。鬼がこちらへと近づいて来て言った。
「いやぁ、ごめんね、嬢ちゃん。コレのことは他言無用で!」
じゃっ、と言ってバッタ男と鬼は去って行った。
「・・・・どうなってるの?これ?」
後書き
望まない改造人間と鍛える鬼登場。真・仮面ライダーと響鬼は少ししか見てないから見直さなきゃな・・・。
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