インフィニット・ストラトス大和の戦い
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21話
21
篠ノ之姉妹が専用機をちょうせいしている中俺は……
「うん?また、トラブルの香」
胸騒ぎが消えない……そう、クラス代表戦の時みたいな胸騒ぎが消えない
「織斑先生~」
山田先生が走ってくる?トラブルの幕開けだなこれ
「現時刻よりIS学園教員は特殊任務行動へと写る。今日のテスト稼動は中止。各班、ISを片付けて旅館に戻れ。連絡があるまで各自室内待機する事。以上だ!」
特殊任務行動? 胸騒ぎはこれかな
訳が分からない女子達が何故そんな事になったのかをそっと訊こうとするが、
『え……?』
『ちゅ、中止? なんで、特殊任務行動って……』
『状況が全然分かんないんだけど……』
どうやら他の女子達は同じく全く理解しておらずにざわざわしていたので止める事にした。
そんな女子達の行動に、千冬さんは一喝した。
「とっとと戻れ! 以後、許可無く室外に出たものは我々で身柄を拘束する! いいな!!」
『『『はっ、はいっ!』』』
千冬さんの一喝に女子達全員は慌てて動き始める。さっきまで接続していたテスト装備を解除し、ISを起動終了させてカートに乗っけた後に移動を開始する。同時に今までに見たことの無い千冬さんの怒号に女子一同は怯えていた。
あの千冬さんがあそこまで言うって事は相当な一大事が起きているみたいだな。本当なら何故脅してまで待機させなければならないのかを訊きたいところだが、一切答えないと言う雰囲気を出している今の千冬さんには無理だから、ここは大人しく従う事にするか。
そんな俺達の反応を余所に、千冬さんは一夏達の方を見て言い放つ。
「専用機持ちは全員集合しろ! 織斑、オルコット、デュノア、更識、ボーデヴィッヒ、凰、ヤマト! ――それと、篠ノ之も来い」
「は、はい!」
少し戸惑いがありつつも返事をしたのは、ついさっき調整を終え戻ってきた箒だった。
「では、現状を説明する」
旅館にある宴会用の大座敷・風花の間で、俺達達専用機持ち全員と教師陣が集められた。
証明を落とした薄暗い室内の中、大型の空中投影ディスプレイがぼうっと浮かんでいた。
「二時間前、ハワイ沖で試験稼動にあったアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代型の軍用ISである『銀の福音
(シルバリオ・ゴスペル)
』が制御下を離れて暴走。そして監視空域より離脱したとの連絡があった」
ISが暴走?そんなことできるの束さんと俺の考えが正しければサーシェスの裏の奴らのどちらかだろう
「その後、衛星による追跡の結果、福音はここから二キロ先の空域を通過する事が分かった。時間にして五十分後だ。学園上層部からの通達によって、我々がこの事態に対処する事になった」
我々が対処って……それはまさか、
「教員は学園の訓練機を使用して空域及び海域の封鎖を行う。よって、本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」
だろうね~
「それでは作戦会議をはじめる。意見があるものは挙手するように」
「では先ず俺から」
セシリアが手を挙げようとしていたが、俺は素早く挙げたので、千冬さんはすぐにコッチを見た。
「何点か確認したい事があるんですが、よろしいですか?」
「構わん。言ってみろ」
「一つ目……暴走させた犯人は見つかってるのですか?」
「まだだ、暴走した原因すらわかっていない」
そうでしょうね
「二つ目に別勢力が関わってる可能性は?」
「断定はできないが可能性は高い」
サーシェスあたりが関わってるねこれは……
「質問は以上か?」
「はい」
一応質問を言い終えた俺はそう答えると、次に質問するセシリアが恐る恐ると手を挙げた。
「え、えっと……目標ISの詳細なスペックデータを要求します」
「わかった。ただし、これらは二ヵ国の最重要軍事機密だ。けして口外はするな。情報が漏洩した場合――」
セシリアの要求に千冬さんが此処にいる俺達に強く釘を差した。もし言ったら、査問委員会での裁判と最低でも二年の監視、だとさ。正直言って関わりたくなかったが、今の状況でそんな事を言えるほど甘くは無いので俺は敢えて黙っていた。
そしてセシリアを始め代表候補生の面々と教師陣は開示されたデータを元に相談を始めた。
広域殲滅を目的とした特殊射撃型、攻撃と機動の両方を特化した機体、特殊武装が曲者、データだけでは格闘性能が未知数、等々の意見をセシリア、鈴さん、姉さん、簪さん、ラウラが真剣に交わしている。
「無理だな。この機体は現在も超音速飛行を続けている。最高速度は時速四五〇キロを超える。アプローチは一回が限界だな」
「一回きりのチャンス……ということはやはり、一撃必殺の攻撃力を持った機体で当たるしかないようですね」
山田先生の言葉に、全員が一夏を見る。
「え……? って事はまさか……」
「一夏、あんたの零落白夜で落とすのよ」
「それしかありませんわね。ですが問題は――」
「どうやって一夏をそこまで運ぶか、だね。エネルギーは全部攻撃に使わないといけないから、肝心の移動をどうするか」
「しかも目標に追いつける速度が出せるISでなければいけない。超高感度ハイパーセンサーも必要だな」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ俺かよ!」
「「「「「当然」」」」」
普通は、戦いの素人である一夏に任せることはしないよ?
「織斑、これは訓練ではない。実戦だ。もし覚悟がないなら、無理強いはしない。」
そういわれてもね~
「やります!俺がやります」
そういうよね~
その後そこまで行く方法を考えていると束さんが現れ『ここは紅椿の出番だよ』とか言ってきたのは驚いたよ。
続く
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