戦国異伝
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第百八十七話 舞い乱れる鳥その十
「しかし大敵に正面から堂々と戦を挑んだからには」
「その名はですか」
「むしろ上がると」
「備前等の国人達もな」
彼等も、というのだ。
「見ておるからにはな」
「毛利についていましたか」
「そうなっていた、しかし夜襲で敗れた」
その毛利家は、というのだ。
「こうなってはな」
「毛利家は」
「名声が落ちた、それ故にな」
「備前も美作も因幡も失いますか」
「そこまでわかっておるのはわしと」
そしてだった。
「毛利家ではあの老公だけじゃな」
「元就公ですな」
池田輝政が言って来た。
「あの御仁だけですか」
「次は出て来る」
その元就が、というのだ。
「正念場じゃ、毛利の」
「それでは」
「このまま西に進む」
備前の中を、というのだ。
「しかし国人達にはな」
「はい、人を送り」
「そのうえで」
家臣達も信長に応えて言う。
「彼等をですな」
「取り込んでいきますな」
「もう備前や美作では戦はない」
無事に兵を進められるというのだ。
「後はな」
「彼等に人を送り」
「そうして」
「うむ、取り込んで行くぞ」
その国人達をというのだ、こう話してだった。
信長は家臣達にだ、あらためて言った。その言うことはというと。
「では朝じゃ」
「それではですか」
「これより」
「飯じゃ」
それにしろというのだ。
「朝飯の用意をせよ。よいな」
「わかりました、それでは」
「これより」
「戦の後じゃ、たらふく食え」
その朝飯をというのだ。
「よいな」
「はい、わかりました」
「さすれば」
「それから少し休んでな」
それから、というのだ。
「また進むぞ」
「今日もですな」
「西に」
「うむ、そうする」
こう話してだ、まずはだった。
信長は戦の後で兵達に飯を食わせて休ませてだ、そのうえでだった。
備前の国人達に使者を送りながら西に進んでいった、その使者の中には松永もいた。彼はその中で馬を進めながら彼の家臣達に言った。
「我等が着く前にな」
「これから行く国人はですか」
「織田家に」
「うむ、なびく」
そうなるというのだ。
「自分達からな」
「そうなりますか」
「これから」
「他の国人達もじゃ」
彼等もだというのだ。
「次から次にじゃ」
「織田家にですか」
「なびきますか」
「殿の下にな」
信長の、というのだ。
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