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俺のストーリーテラー

作者:葛城 遼鳴
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はじめましてのその前に

地元から通学時間は、電車を乗り継いで1時間ほど。今日は入学式だ。校舎の前に貼り出されたクラスの名簿。一年二組に俺の名前はあった。
この学校には女子が少ない。女子が苦手なおれは男子校も嫌で、ここを選んだのだ。同じ中学からの友達はいない。全くだ。
指定された教室に入り、黒板に貼られた座席表をみて席に着く。まだ、教室にいる人は俺を含めて二人だ。奇しくも隣の席。友達作りは最初が肝心だ
「初めましてー…」
最初に気合を入れすぎたからなのか、しりすぼみになってしまい、なけなしの勇気も水の泡な気がした。終わった………。
「はじめまして」
落ち込みながら椅子に腰をおろしたところで返してくれた。その声に苦笑いが混ざっているようで気恥ずかしさを覚えた。
そんな気まずさを打ち破るように、一人女の子が入ってきた。
腰近くまで伸びた髪を頭の真ん中より少し上のあたりでくくったメガネで真面目そうな子が入ってきた。身長は低い。
「はよーございまーっす」
独り言のように挨拶の言葉をつぶやいた。
見覚えがあるような気がしたが、知らない子だ。俺と隣の席の奴がもそもそっとおはようと返したのにニィっと笑ってそのまま教室の隅の席に着いた。
 
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