ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~
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スリーピング・ナイツ
ユウキに案内されたのは、27層主街区<ロンバール>。
ユウキと俺とアスナは、紫と銀と水色の軌跡を闇に引きながら、街の中央の円形広場目指してゆっくりと降下する。
圏内に入った証であるBGMを聞きながら、俺達は着地した。
「……なぁ、どうして俺達をここに連れてきた?この街に何かあるのか?」
聞くと、ユウキが答える。
「その前に、まずボクの仲間を紹介するよ!こっち!」
と、俺達の手を掴んで駆け出す。
「うおっ!」
「あ、ちょ……」
色々な道を通り、<INN>と書かれた看板の戸口を跨ぎ(慌てて引っ張るから転けそうになったが)奥のレストランに入るとーーーーー
「お帰り、ユウキ」
女性の声が俺達を出迎えた。
酒場の中央の丸テーブルには、四人のプレイヤーが陣取っていた。勿論、他プレイヤーは居ない。
ユウキはスタスタと彼らに歩み寄ると、俺達の方を向く。
「紹介するよ。ボクのギルド<スリーピング・ナイツ>の仲間たち」
スリーピング・ナイツ……眠れる騎士団って所か……
と、考えてると、ユウキが半転して俺達の方を手をかざす。
「で、この人達が……」
「ダークだ」
「初めまして。私、アスナと言います」
自己紹介すると、ノームの巨漢が頭を下げる。
「あー、えーっと、テッチと言います。どうぞよろしく」
続いて、レプラコーンの青年。
「わ、ワタクシは、そ、その、タルケンって名前です。よ、よ、よろしくお願いし……イタッ!!」
最後の悲鳴は隣の女性プレイヤーが蹴ったからだ。
「いい加減その上がり性を直しなよタルは!」
威勢の良い口調で言うと、立ち上がる。
「アタシはノリ。会えて嬉しいよ、アスナさん、ダークさん」
そして、最後にアスナと同じウンディーネ。
「初めまして。私はシウネーです。ありがとう、来てくださって」
「んでーーーーー」
ユウキがジャンプして並ぶ。
「ボクが、一応ギルドリーダーのユウキです!本当は六人なんだけど、一人急遽入れなくなっちゃって、五人で活動中なんだ。と、言うわけで二人共……」
大股で歩み寄ってくると、片手ずつ握る。
「一緒に頑張ろう!」
「何をだ」
俺は真顔で言葉を斬った。ユウキはキョトンとした顔をしてから、再び小さく舌を出す。
「そっか、ボクまだなーんにも説明してなかった!」
「帰る」
速攻で回れ右して帰ろうとすると、
「うわー!待って待って!!今説明するから!!」
ユウキが俺の服を引っ張って止めた。
……おい、今日のこの服はフェイトのアーチャーの外套をそのままそっくり似せて作ったもんなんだぞ?引っ張るな、首しまる。
「なら、説明しろ」
と、言っても神だから原典は解るしな。……ぶっちゃけ、ジュン居ないけどな。と言うか取り合えず削減するか。
<キングクリムゾン>
「んじゃ、受けるか」
サラッと承諾した。
まぁ、ぶっちゃけ、受けなくても良いが、六人だとアレだし、万一に備えて俺が居りゃ神だから神力発動してフルボッコ出来るしな。
「で、攻略の具体的手順はどうする?ここのボスって黒二頭巨人だろ?あれは確か(滅殺剣奥義<消滅>で)簡単に倒せたけど」
「ライト君や君と一緒にしない!」
アスナに怒られた。ここにミヤビが居るなら更に毒舌来るかな……来ないな。最近、丸いし。
「ま、兎に角全滅覚悟でぶち当たるしか無いだろうな。最近じゃSAO移住組がギルド組んで攻略してるっう噂があるし。恐らく、ユウキ達の後に攻略されたのも、それだな」
「え、そうなの!?」
ユウキが立ち上がるのを見ると、俺を手を出す。
「あくまで可能性として、だ。しかし、そうなると念を入れて挑むしか無いか」
「そうね。念を入れて、全滅したらすぐに再挑戦出来る様に準備を整えておきましょう。皆の都合が良い日は何時かな?」
すると、ノリが髪を掻く。
「あ、ゴメン。アタシとタルケンは夜駄目なんだ。明日の午後一時からはどうかなぁ?」
「そうだな。俺もその時間帯はちょうど良い」
そして、俺は立ち上がると、宿屋を出る。
途端、大きな声がドア越しから聞こえた。
「……さて、俺は救うすべを探すか」
ライトや馬鹿黒は宛にならん。仕方ない、借りを作る形だが、アイツのところに行くか。
俺は転移してケットシーの首都フローリアに来ると、宿屋に入ってログアウトした。
「ああん!?だから!こうして俺が頭下げてるだろ!?……もう良い!!分からず屋の蛇遣いめ!!」
速攻で交渉オワタ。
俺は現実世界に帰ると、支給された神フォンで死者を蘇らせたと言う蛇遣い、アスクレピオスに電話したのだが……結局頭が固いだけで。
「ああっ!!もう!!だから堅物は嫌いなんだ!!!」
神フォンを叩きつけると、コンコンと窓を叩く音が。
「ああん!?」
窓を思いっきり開けると、
「ドモー♪」
何かオーディンのオッサンが居た。
「うぉおおおっ!?おっ、オッサン!?」
「邪魔するぞ、ダークネスウイング」
許可を出してもいないのに勝手に入るオッサン。
「何しに来たよ?」
「いや、何。お前さん、神の力を解放しとらんのかと思ってな」
「……ああ、ロリ神にそういや決めろって言われてたけど」
そういや、色々ゴタゴタが在って存在そのものを忘れてたわ。
「ほう!それは珍しい。今時力だけの神とは。いやはや、流石は破壊と捕喰の神<ダークネスウイング>と言ったところか」
髭をイジリながら言うと、ミヤビが部屋に入ってきた。
「翔夜、ご飯……って、誰?」
「あー、仕事がらみのお知り合い。ちょいとたて込んでるから済まん」
「……そう」
すると、ミヤビはドアを壊して帰った。……これで修繕費また掛かる。
「……あやつ、中々に壮絶な人生を歩んでおるのぉ……」
オッサンが言う。
「オッサン……いや、オーディン。解るか?」
「ああ。じゃがしかし……その根源は底知れん。ダークネスウイング、もしもの時は助けになってやれ」
「アイツに助けがいるのは本当に参ってる時だけだよ。それに、常に心配してるのはミヤビと、彼女だけさ」
俺はそう言うと、グングニルを取り出して言う。
「ホレ、さっさと帰れって」
「レプリカを作るまでに至るとはのぅ……まぁ、用はさっきの話だけじゃからな。あやつとは、よく考えて元となる能力を決めるが良い。では……去らば!!」
オッサンはそう言うと、愛馬スレイブニルを駆って天界に戻っていった。
「……力、か」
俺は一部を漆黒の闇として変化させると、すぐに四散した。
「……俺にとって、必要になる力」
俺はそう呟くと、階段を降りてリビングに入る。ミヤビは怒ってるだろうけど……まぁ、甘んじて受けるしかない。これが、黒鉄翔夜と言う存在だから。
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