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転生とらぶる

作者:青竹
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マブラヴ
  0826話

 基地の外れにある会議室での会議が終わり、今日は取りあえずという事でゲスト用の部屋へと通された。
 あるのはベッドと机とコンピュータ、TVといった一般的なものが殆どだが、恐らくこの世界としてはかなりの品揃えなんだろう。
 つくづく俺の知っている世界とは文明レベルが離れているよな。
 今までの世界は、多かれ少なかれOGs世界出身の俺としても殆ど不便しない程度の文明はあった。だが、この世界は長年BETAと戦いを続けている影響もあって、軍事にリソースが割かれすぎている。
 ……まぁ、そうでもなければこの世界の技術力で戦術機のような機動兵器は作れないだろうが。
 そう言えば、ふと気になって部屋にあるコンピュータで調べてみたんだが、俺と何かと縁のある日本はこの世界でも色々と特殊な感じになっているようだ。
 まず、現在は中国大陸でBETAとの戦いが激しくなっており、日本としては既に殆ど最前線に近いらしい。その影響もあるのかどうか、あるいは単純に日本の底力と言うべきか、数年前に世界で初の実戦配備型第3世代戦術機を開発したとかなんとか。
 そんな風に考えていると、不意に扉がノックされた。

「失礼します、アクセル代表。今日の夕食はどうされますか」
「……お前も大変だな」

 顔を出した相手に、思わず苦笑を浮かべる。
 何しろその相手は、ジョンの護衛だったり運転手だったり俺のお付きだったりと、今日1日は色々な意味でこっちの都合に振り回された人物なのだから。
 向こうもそれは理解しているのだろう。小さく笑みを浮かべて首を横に振る。

「確かに色々と大変ですけど、アクセル代表はこの世界にとっての希望となるかもしれない人物です。それを思えば、寧ろ将来は息子に自慢してやれますよ」

 俺が救世主になるかもしれないと言っているのは、政治家だったソーラと同様だ。だが、あの女の時のように嫌悪感が無いのは何でだろうな。
 いや、考えるまでも無い。狂信的な感じがしないからだ。

「ま、俺がこの世界と……そしてオーストラリアという国と手を組むかどうかはまだ不明だけどな。クリメナとかいう外務省のお偉いさんに期待しておけ。……ほら、今日色々と連れ回した礼だ。これでも食って元気出せ」

 そう告げ、手渡したのはシュークリーム。それもネギま世界の麻帆良で美味いと評判の店のケーキ屋で、出来たてを買って空間倉庫に入れておいたものだ。
 外の生地はパイ生地のようにサクサクとしているのや、中のクリームがカスタードクリームじゃなくて、生クリームなのも俺としてはポイントが高い。

「これは……い、いいんですか? こんなに貴重なものを」
「ああ。色々と世話になったからな」
「ありがとうございます。後でゆっくりと食べさせて貰います」

 軍人らしい敬礼ではなく深々と頭を下げてくる相手に、この世界の食糧事情の危うさを改めて実感する。
 確かに俺が渡したシュークリームは麻帆良でもかなりの人気を誇る商品ではある。実際、それだけの味だしな。
 だが、それでもここまで……まるでどこぞの至高のメニューやら究極のメニューの如く大仰にされる程の物でもない。
 もしかして、この世界の住人は餌付けをすればあっさりとどうにかなったりするんじゃないだろうな?
 もしも条約を結ぶとすれば、機動兵器関係の技術以外に食料に関してもかなり売れそうだ。いや、売れすぎると考えれば俺達シャドウミラーだけでは需要過多になって供給を満たせないか。
 マクロス世界は……ミュートスに移住したばかりでフロンティア船団時代は天然物が高級品だったのを考えると、まず無理だろう。
 オーブは島国で食糧自給率がそう高い訳じゃない。麻帆良は所詮1都市でしかない。
 となると、ギアス世界か。陽光なら広大な国土を持っているしな。
 だが、その前に……今のシュークリームの件でちょっと気になる事があったので、目の前で年甲斐も無くシュークリームへとキラキラした視線を向けている軍人へと声を掛ける。

「悪いが、合成食ってのを持ってきてくれないか?」
「は? それは構いませんが……とても美味いとは言えない代物ですよ?」
「だが、その合成食ってのを現在この世界では多くの者が食ってるんだろ?」
「ええ、まぁ」
「なら頼む。一応この世界で食われている合成食ってのを食ってみたいんでな」

 この世界で不味いと言われている合成食というのが、実際にどれ程の味なのか。少なくてもそれを確認しておく事は必要だろう。
 そんな俺の思いが伝わったのか、あるいは単純に物好きだと思われたのか。ともあれ目の前の軍人は素早く敬礼するとシュークリームを大事そうに手に持ちながら部屋を出て行く。
 さて、後は来るのを待つだけだな。その間にコンピュータでこの世界の事でも調べて時間を潰すか。
 そう判断して、コンピュータを起動させてから操作していく。
 恐らくこの部屋は監視されてはいる可能性が高いが、今は特に何か見られて困る真似は……ああ、もしかしてさっきの軍人が貰ったシュークリームを検査するとかで没収されたりするのか? まぁ、それならそれでいい。
 そんな風に考えつつ、この世界について調べていく。
 こうしてみると、つくづくこの世界はよくもまだ保っていられるよな。地図を見る限りだと、既にユーラシア大陸の殆どをBETAに占領されているってのに。ヨーロッパ方面はイギリスが何とか頑張って食い止めており、アフリカの方はアラビア半島でなんとかBETAを押さえ込んでいる、と。
 で、アジア各国が去年からオーストラリアに協力を求めて亡命政権と言うか、国家機能を移してきているのか。
 となると、今日の会議でリトラスが言っていた話は満更嘘でも無いのだろう。
 ……もっとも、俺達が求めているのはマクロス世界の時とは違って都市1つ分の領土ではない。純粋に基地1つ分程度で十分なんだがな。
 その基地にしても、シャドウミラーがこの世界に協力しないと決めれば即刻排除するんだし。
 全ては明日、か。オーストラリア政府はどういう判断を下すのやら。

「失礼します、合成食をお持ちしました」

 ドアがノックされ、そんな声が聞こえてくる。
 予想していたよりも早いな。

「ああ、入ってくれ」

 そう声を掛けると、扉が開いて部屋の中にさっきの軍人が入ってきたのだが、その手に持っているのはパンにスープ、牛肉と思われる肉のステーキにサラダといった内容だった。

「……俺は合成食を頼んだ筈だが?」
「はい、ですのでこうしてお持ちしました」

 至極当然といった様子で返事をする軍人だが……これが合成食なのか? てっきり合成食というからには、スティック状の栄養補助食品のようなものを想像していたんだが、見事に普通の料理にしか見えない。

「これが本当に合成食か? 見た感じは随分と普通の料理に見えるが」
「ええ、見た目と匂いに関しては」

 小さく眉を顰める様子を見る限り、やはり不味いのか?
 ともあれ、実際に食ってみれば分かるだろう。

「分かった。ならそれを置いていってくれ」
「了解しました。食器に関しては部屋の外に置いておけば係の者が回収しますので」

 それだけを告げると、敬礼して部屋を出て行く。
 ……そう言えばシュークリームはどうしたんだろうな。まぁ、食ったなら食ったでいいんだが。
 どうでもいい事を考えつつ、まずは野菜とベーコンが入っているように見えるスープを口へと運び……次の瞬間には動きを止める。

「なるほど」

 そう呟いた俺の表情は、恐らく眉が顰められていただう。
 実際、それ程の不味さだったのだから。
 匂いに関してはそれ程悪くない。勿論食欲を刺激する程に美味そうな匂いという訳では無いが、それでも耐えきれない程の悪臭という訳でも無いのだ。
 だが、口の中に入れた時に感じる味。これは俺の予想を超えて不味かった。
 何と表現すればいいんだろうか。スープのようでいて、スープではない? あるいは豆腐をウナギのように料理する精進料理か? いや、少なくても精進料理は美味いと表現出来る以上、この合成食と一緒にするのは失礼だろう。
 言葉に出来ない程に不味い訳ではないが、少なくても自分から進んでこれを食いたいかと問われれば、間違いなく否と応えるだろう。
 そんな不味さを感じさせるスープを無理矢理飲み干し、次にステーキを切り分けて口に運ぶが、こちらもまたスープ同様に不味い。しかもただ不味いだけではなく、何と言うか違和感がある。……そう、違和感があると表現するのが正しいだろう。
 最後にパンへと手を伸ばすが、こちらも同様に違和感のある不味さだ。
 ……食事というのは、軍人の士気を高める上で限りなく重要な意味を持つ。その食事全てがこの程度の味だとすると、前線の兵士の士気がどうなのかは大体の予想が付く。
 料理の味を100点満点だと考えると、この合成食は15点くらいか。
 さすがにこの料理をこれ以上は食いたくないので、空間倉庫の中に入っている容器へと分類してそのまま保管する。
 何かに使えるかどうかは分からないが、一応ホワイトスターに戻る時の土産とでも考えておくか。
 俺自身の食事は、空間倉庫の中から取り出した買い置きのサンドイッチで済ませる。
 有名なパン屋で作りたてを購入して空間倉庫に保管しておいたものなので、全く味は落ちていない。
 ハムと卵といった一般的な具から、ツナマヨ、BLT、照り焼きチキンといったものが揃っている。
 それらを味わい終わった後は紅茶――相変わらず缶紅茶だが――で口の中をさっぱりとさせて夕食は完了した。
 にしても、合成食がここまで不味いとはな。
 トレイを部屋の前に出した後、何故ここまで不味いのかが気になってコンピュータから情報を引き出すと、ある意味では当然のことが理解出来た。
 合成食というのは海洋プランクトンを利用して作られているのだが、あんなに不味い食料でもBETAから逃げてきた避難民全員に対して十分に行き渡るかと言われれば、答えは否らしい。
 もっと手間暇を掛ければ味の改善を図るのも可能らしいが、それをすれば生産量が更に減るとか。後は、避難民と言ってもその国によって感じる味は千差万別。特定の国で美味いとされている味付けが他の国出身の避難民が美味いと感じるかと言われれば、こちらも答えは否な訳だ。
 BETAに滅ぼされた国の数を考えると、その辺は更に複雑怪奇になる。 
 味と生産量。その2つを天秤に掛けた結果、生産量に傾いたのだろう。
 ……まぁ、味を重視した合成食を作っていたので食料が足りなくなって餓死しました、なんて事になったら洒落にならないしな。
 他にも色々とこのコンピュータで調べられる限りの世界の情報を調べているうちに、やがて夜になりその日は大人しく眠りにつくのだった。





 翌日、俺の姿は再び基地の外れにある、防諜対策がされた会議室の中にあった。
 尚、今朝の朝食は合成食ではなく普通の食事、いわゆる天然物を出して貰ったが、こちらも正直な話、味はいまいちだった。
 勿論合成食に比べて不味い訳では無いが、それでも口に合わない。
 この世界の天然物の食事が、BETAとの戦いの影響もあって栽培技術が落ちているのか、単純に俺がオーストラリアの料理の味付けが好みでは無いのか。
 ファーストフード店で売っているようなハンバーガーを普通に食べる事が出来る程度の舌なので、別にグルメって訳じゃないんだよな。それを考えると、やはりこの世界特有の問題なのだろう。

「おはよう、昨日はよく眠れたかな?」
「それはそっちでも確認しているんじゃないのか?」

 暗に部屋の様子を覗いていたのだろうと告げるが、それに戻ってきたのは何を言っているのか分からないといった様子の表情。
 さすがに外務省のお偉いさんだけあって、この辺の腹芸はさすがと言うべきか。
 ちなみに、この会議室にいるのは俺と目の前に座っているクリメナ、そして軍の代表としてリトラスの3人のみだ。
 正直な話、この国にとっては非常に大きい出来事だろうに、こんな少人数で話を進めていいのか?
 あるいは、シャドウミラーとの関係を無かったことにしたいか。
 いやまぁ、それならそれでもいいんだけどな。
 そんな俺の思いとは裏腹に、クリメナは至極あっさりと口を開く。

「君達シャドウミラーが私達にとってみればずっと先を行っている存在だというのは、昨日の演習で理解した。それ故に、私達に協力してくれる事を頼みたい。勿論アクセル代表の要望通り、ある程度の広さの土地は用意する。それに関しては首相に直接掛け合ったので問題は無い。……お願いできるかな?」
「……昨日も言ったが、確実にこの世界を助けるとは約束できないぞ? いや、寧ろこの世界との交流をしないようになるという可能性もある。それでもか?」

 俺の言葉に聞き、クリメナは重々しく頷く。

「それは、この世界に君達にとって魅力的な技術や資源が無いから。そういう話で間違いはないかな?」
「ああ。残念ながら戦術機は魅力的とは……」

 その言葉を遮るようにして、首を横に振ったクリメナが口を開く。

「BETAの巣はハイヴと呼ばれている。これは知ってるかな?」
「……ああ」
「そのハイヴだが、中にはG元素と呼ばれる稀少物質が眠っている。それを取引材料にしたいと思うが、どうだろうか?」 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114 
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