| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

アクセル・ワールド 〜赤龍帝の拳〜 (更新凍結中)

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四話 現在の立ち位置

 
前書き
待ってましたという方も、待ってねえよ下手くそさっさとやめて自殺しろという方も、お待たせしました!
一カ月ほどでせうか?
何はともあれ、1巻目はやっと中盤です。どうぞ、ごゆっくり 

 
第四話 現在の立ち位置

火花が散るとは正にこのことだろうか?
学校の校門付近で一年の生徒と二年の生徒会副会長が睨み合っている。

「一誠をどうするつもりなんですか⁉︎」
「……どうするとは、なんのことかな?」

いやいやいや、なんのことかな?ではないだろう、お姫様!

「一誠をまるで晒し者みたいにして、一誠は目立つのとか好きじゃないんです!」

千百合のおかしな態度に少し驚きながらも、俺は彼女に話しかける。

「お、おい千百合?なんでそんなケンカ腰に……」
「一誠は黙ってて!」

ビクッとなり、俺は黙り込む。怖え。幼馴染み怖え…

「そう言う君は一誠くんのなんなんだ?なんだか随分と偉そうにしているが?」

姫が千百合を少しキツイ目で睨むが、どちらも一歩たりとも引かない。

「私は、一誠の幼馴染みです!」

はっきりと言い切った。自信満々の顔で。それに対して姫はというと……

「なら、私の方が優先順位は上だな。」

そう言いながら、俺の腕に絡み付く。
いや、なんでですかね?なんでそんなに自信満々なんですかね?

「私は、彼に告白して返事待ちという状態だからな。」

空気が凍る。千百合も、一瞬目を見張るが、すぐに俺へと鋭い視線を向ける。
待て、俺は悪くない!
この状況ならどこからどう見ても俺が悪いのだろうが、それでも俺は悪くない!

「本当なの?」
「え、いや、えっと……」

校門付近の視線が一点に集中する。その先は勿論俺たちだ。

「それでは、失礼させていただくよ。私たちはこれから放課後デートなのでね。」

そう言って姫は俺を引っ張る。千百合の目は未だ姫を睨みつけており、なにかを言おうとするが……

「構わないだろう?ただの“幼馴染み”の君には。」

そう冷たく言う。これには俺も唖然である。まさか姫がここまで冷たくするなんて。こんなの全盛期でも……あったな。
うん、あった。俺が単身白の王の領土に乗り込んだ時だ。アレから加速世界で一年近くこんな感じだった。
理由は分からなかったけど………

「では行こうか、一誠くん。」

そう言いながら、姫は俺を引っ張っていく。
その力は、まるで俺を拘束するかのように強かった。


「で、どーゆーつもりだよ姫。」
「どーゆーつもりとは?」

惚けるのでせうかこの姫様は……

「どうして千百合にあんな態度取ったのかって話だ。」

姫は素知らぬ顔でコーヒーを飲む。その顔は、美しいながらも、何処か冷たい。

「君は………」

かちゃりとカップを置き、俺を見る。

「彼女とは、それなりに親しいのか?」
「え、ああ。うん。千百合も言ってたけど、幼馴染みだし。」
「そうか……」
「…………て、おい。なに勝手に自己完結してんだよ。」

姫はもう一度コーヒーを飲む。

「説明をする前に、色々と話しておかなければならない事がある。」
「おおそうかそうか。だから俺の質問には意地でも答えないと。そーゆーアレですかね?」
「ふむ。まあ、取り方によってはね。」

あははははは〜、と、和やかな笑いが流れる。だがしかし!そんなんで俺の怒りを鎮められると思ったら……

「では、早速本題に入るとしよう。」

カチッ

直結されました。怒るに怒れねえじゃないですか…………

それから聞いたのは、これまでのこと。

俺がいなくなってから、姫がレッドライダーを殺したこと。

その後、皇居の四神に挑戦したことにより、俺たちの。もとい姫のレギオンは、全滅したこと。

その時、メンバーの一人は俺と同じく、レベルドレインを食らったこと。

そして、今の加速世界は、停滞状態にあるということ。

『馬鹿げてるな……』

ポツリと直結したまま、俺は言った。
その時、姫はいつものような余裕の笑みを浮かべた。

『君なら、そう言うと思ってたよ。』
『いや、そう言うしかないだろ……』

なにを言うと思ってたんだよ。それしか言うことないだろ。
こっちの気持ちを知ってか知らずか、姫はおもむろに口……なのか?それを開いた。

『私は、君に嫌われると思った……』

…………………なんで?
心底疑問だった。なぜ俺が姫を嫌うのだろう?

『その……ライダーとは、親友だったのだろう?』

ん?ああ。そういえばそうだったかも。

『確かに親友だったかもな。同じ赤系列だったし。』

でも、と人置き入れる。

『加速世界は……まあ、言いたかないけど、結局は弱肉強食の世界だろ?』

だから、ライダーが負けたのは当人の力不足。油断したかもしれないし、不意打ちだったかもしれない。
しかし、それは姫の所為ではない。

『俺だって、いつ消えるか分からない身なんだ。だから、その、うまく言えないけど、俺は君を責めることなんて出来ないし、するつもりもないよ。』

だって俺は……

と、先を言おうとしたがやめた。ここからはまだ言うべきではない。

『えっと、それで?なんか他にも話すことあるんだろ?』
『ん?ああ。そうだな。話を戻そう。』

姫はもう一度コーヒーを飲み、姿勢をただした。こうして見ると、やはり彼女は育ちのいいお嬢様というイメージが、強くなる。
重要そうな話なので、俺も一度オレンジジュースで、喉を潤す。

『端的に言えば、私はリアルアタックの恐れがある。』
『ブッフううううううううう‼︎』

思わず口に入っていたオレンジジュースを吐き出す。

リアルアタックとは、加速世界だけではなく、数多くのMMOゲームで起こり得る事件だ。VRの中ではなく、リアルでそのプレイヤーに襲撃されるということだ。

『ま、マジですか?』
『ああ。マジだ。』

いや、そこまで冷静に言われると、なんだか現実味が無いな……

『私は、あの日ライダーを殺してから二年間。グローバルネットには接続していない。』

これも驚きだった。グローバルネットには接続していない。イコール、ネット環境無しで生活しているということだ。
現代社会でそれは大変過ぎる。

『だが、私の身分上どうしても、グローバルネットに接続しなければならない場所がある。』
『……………学内ネットか?』
『ああ。迂闊だったよ。既に新入生の中から割り出していたとはいえ、油断するべきではなかった。』

いや、学内でくらい羽を休めてもいいだろう。と、言いかけたが、今や姫は加速世界のなかでも最悪の賞金首なのだ。
そんな事はおいそれと言えない。

『それで、対戦を挑まれたと…』
『ああ。』
『殺りあったのか?』
『いや、時間ギリギリまで逃げ切ったよ。』

流石は姫様。

『相手の名前は?』
『シアン・パイル。カラーは限りなく
青(ブルー)に近い蒼(シアン)』

それを聞き、俺は項垂れる。一番やりづらい相手だ。

『えっと…姫。その口ぶりだともうプレイヤーが誰か確かめたんだろ?』

そういうと、姫は少し驚いたような顔をした後、微笑む。

『相変わらずの勘の良さだな。時々予言かと思うよ。』

それ褒めてませんよね。ええわかってますよ。

『君が転校してくる前だ。全校集会の時に加速した。』

ふむふむ。

『そこでシアン・パイルの名を探したのだが…』

ふむふむ。

『シアン・パイルの名前はなかった。』

ふむふ…は?

『え、無かったの?』
『ああ。なかった。』

うーんと、考え込む。学内ネットに進入できるのならば梅郷中の生徒であることは確実。ならば対戦表に名前が出ないのはおかしい。
そこで、ふと他にもプレイヤーを見つける手段を思いだした。

『じゃあ、あれだ。ガイドカーソル。』

加速した時に、バーストリンカーを指し示すガイドカーソル。あれならば……

『ああ。私もそう思い試したさ。だがな一誠くん。その先に誰がいたと思う?』
「回りくどいのは嫌いだ。」

直結による念話ではなく、俺の声で言った。こういうのは嫌いだ。

『そうだな。そうしよう。その相手とは、君もよく知っている人だよ。』

姫は端末を操作し俺に一枚の生徒写真を見せてきた。

「は?」

茶髪のショートカット。

猫の髪飾り。

大きな目。

少し幼さのある童顔。

それは、俺の学校で同学年唯一の友達。

倉島千百合に他ならなかった。

 
 

 
後書き
驚愕の事実。千百合にバーストリンカー疑惑浮上。そして、起こる悲劇

「私は嫌なの!」

「なんで俺なんだよ!」

「私は君のことが……」

次回。心の声。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧