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一週間

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第三章


第三章

「元気よ」
「そうか。それで今日はどうだったんだ?」
「外に出てゲーム買ってね。DVDもレンタルして」
「それだけかよ」
「それだけよ」
 本当にそれだけなのだった。
「それでお昼に帰ってこうやって」
「ゲームか」
「恋愛育成ゲームね」
 それをしているというのである。
「ずっとやってるのよ」
「それで面白いか?」
「まあね」
 ぼんやりと画面に顔を戻して応える。とはいってもあまり面白くなさそうな顔と声だ。
「それはね」
「いいのか?本当に」
「いいけれど」
「あまりそうは見えねえけれどな」
 健人は応えながらその手に持っていたものを床に落とした。それは。
「何よ、それ」
「何よって見ればわかんだろ?」
 そう言うとであった。ビニールの中に赤と黄色の模様が見える。黄色がアーチになっている。優里亜もそれを見て何となくわかった。
「マクドね」
「そうだよ」
 まさにそれだというのだ。
「差し入れな」
「ビールは?」
「買って来たよ」
 それもあるというのだ。
「御前休みになるとビールだからな」
「気軽に飲めていいのよ」
「だからか」
「そうよ。あんたも飲むでしょ」
「俺はいい」
 健人はそれはいいとした。断るのだった。
「それはな」
「いいの」
「ああ、いい」
 また断る彼だった。
「別にな」
「何よ、つれないわね」
「だから明日また仕事なんだよ」
 部屋のテーブルの前に腰を下ろす。丁度優里亜がいるベッドと画面の間に座る形になった。ガラスのテーブルの上にはネットで調べた攻略について書いたノートやポテトチップスの空けられた袋がある。他にはファッション雑誌やそうしたものもテーブルの周りにある。
 そうした雑然とした中に座って。健人は彼女に言った。
「なあ、明日な」
「何?」
「部屋掃除しろよ」
 その雑然とした部屋を見回しながらの言葉だった。
「いい加減な」
「掃除?」
「こんなんじゃダニ涌くぞ」
 だからだというのである。
「ダニがな」
「ダニがなのね」
「そうなったら大変なことになるぞ。喘息とかなりたくないだろ」
「まあそれはね」
「だったら掃除しろ。バイクの手入れは欠かさないのにな」
「ちゃんと一ヶ月に一回掃除してるわよ」
 優里亜の口は減らない。
「一応ね」
「毎日しろよ、毎日」
「仕事で疲れてるから無理よ」
「今は休みだろ?」
「いいじゃない。とにかくね」
「ああ」
「明日することは決まったわ」
 それは決まったとはいう。しかしであった。
 
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