美しき異形達
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第三十話 南海においてその四
「結構あるよな」
「私の胸もっていうのね」
「向日葵ちゃんの胸はどれ位だい?」
「八十よ」
にこりと笑ってだ、そのサイズを言う向日葵だった。
「この前測ったらね」
「そうか、裕香ちゃんと同じか」
「サイズは同じでもね」
それでもと言う裕香だった、眉を少し曇らせて。
「向日葵ちゃんと私は背が違うから」
「だからっていうのね」
「向日葵ちゃんは胸あるわよ」
「胸って背とも関係あるのよね」
「そう、だからね」
それでだというのだ。
「向日葵ちゃんはね」
「胸ある方になるのね」
「小柄で胸があると」
こうしたことも言う裕香だった。
「薊ちゃんもそうだけれど余計にいいのよ」
「余計にって何だよ」
「どういうことなの?」
薊と向日葵は裕香のその言葉に問い返した。
「小柄だと子供っぽく見えるでしょ」
「そこで胸が大きいとか」
「ギャップがあってっていうのね」
「ええ、それでなのよ」
小柄で胸が大きいと、というのだ。
「いいのよ」
「ううん、けれどな」
「裕香ちゃんだってね」
薊と向日葵はその裕香の胸を見てこうも言った。
「胸小さくないよな」
「どう見てもね」
「普通じゃね?」
「少なくとも小さくはないわよ」
「だといいけれど」
「ああ、その背でそのサイズだとさ」
「そんなに小さくないわよ」
そうだというのだ、そして薊は裕香にこうしたことも言った。
「寮のお風呂場でも見てるけれどさ」
「小さくないのね」
「大丈夫だよ、確かにさ」
薊は桜と菫の胸をここで見て述べた。
「桜ちゃん達は別格だけれどさ」
「比べたら?」
「人は人、自分は自分だろ」
「胸もなの」
「ああ、胸はさ」
それはというのだ。
「それぞれだろ」
「ううん、背と同じで」
「裕香ちゃん背は気にしてないよな」
「特にね」
裕香はそちらは気にしていない、それで言葉にも出して述べるのだ。
「そのことについてはね」
「だよな、だったら胸もな」
「気にしないことなのね」
「それに大きな胸が好きな人もいれば」
「小さい胸が好きな人もいるのね」
「そこはそれぞれじゃね?ほら、あの双子の馬鹿兄弟いるだろ」
薊はここで八条学園の、それもある同級生二人の名前を出した。
「スケベなことばかり言ってる」
「ああ、あの二人ね」
「あの連中だって胸はどっちでもって言ってるだろ」
「大きな胸も小さな胸も」
「まああの連中は極端だけれどさ」
その煩悩について、というのだ。
「それでもな」
「胸が小さくても」
「いいんじゃね?別に」
裕香に対して言うのだった。
「それで」
「じゃあ胸のことは」
「小さくでもいいんだよ」
満面の笑みでの言葉だった。
「と、あたしは思うけれどさ」
「小さくてもなの」
「しかももっと言えば裕香ちゃん小さくないから」
このこともまた言う薊だった。
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