美しき異形達
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第三十話 南海においてその二
「ブラもショーツもさ」
「着替えとかお風呂で脱いだり着たりする時以外は」
「あたしそういうのには気をつけてるんだよ」
「そういえばそうね」
言われてだ、そのことを思い出した裕香だった。
「薊ちゃんそうしたところはしっかりしてるわね」
「下着見せる趣味はないよ」
全く、というのだ。
「女の子が相手でも」
「寮でも」
「ああ、それはないよ」
こう言ってだ、そしてだった。
薊は裕香達にだ、こう言った。
「浴衣の下にスパッツ穿くよ」
「そこまでするのね」
「だからさ、下着見せるのは嫌いなんだよ」
向日葵にも言うのだった。
「誰に対してもさ」
「それでなのね」
「ああ、スパッツ穿くよ」
そうするというのだ。
「それで寝るよ」
「成程ね、それだと下着は見えないわね」
「上はまあいいか」
ブラの方はというのだ。
「特にさ」
「いいのね」
「ああ、すぐになおせるしさ」
はだけてもというのだ。
「だからいいんだよ」
「そうなのね」
「じゃあそういうことでさ、夜はそれでいくよ」
浴衣の下にスパッツを穿いてというのだ。
そしてだ、こうも言うのだった。
「それじゃあ行こうか、荷物も置いたし」
「海にね」
今度は菖蒲が応える。
「行くのね」
「そうしような、水着も着て」
「皆水着持ってきてるわよね」
菖蒲は薊の話を聞いてこう言った。
「忘れていないわね」
「ああ、忘れてないよ」
当然とだ、薊はその菖蒲に笑って答えた。
「何しろ海に行くのが目的だからさ」
「じゃあ今からね」
「ここで水着に着替えるか」
「そうしてね」
そのうえでと話してだ、そしてだった。
七人は一旦水着に着替えてだ、そのうえで。
服をその上に着て砂浜に出た、その海はというと。
マリンブルーの輝きをたたえその上にスカイブルーの世界を持っていた、波と雲は白だ。その青と白の世界を見て。
薊は満面の笑顔でだ、仲間達に言った。
「いや、いいな」
「薊ちゃん海大好きよね」
「好きなんてものじゃないよ」
菊にも明るい顔で返す。
「もうずっと見ていて暮らしていても苦にならないよ」
「やっぱり横須賀にいたから?」
「横須賀っていうと海だよな」
「港町だからね、神戸もだけれど」
「ちょっと歩いたら海岸でさ」
それで、というのだ。
「もう海を見ているだけで幸せな気分になれるんだよ」
「生粋の海好きの言葉ね」
「自分でもそう思うよ」
菊にだ、笑って話す薊だった。
「本当に根っからの海好きなんだよ、あたしは」
「それで今もなのね」
「楽しくて仕方ないよ」
満面の笑みでの言葉だった。
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