旧エクリプス(ゼロの使い魔編)
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第43話 聖地
■ブリミル暦6242年、皇紀2800年 9月17日
エレオノールとバーガンディ伯爵が結婚する。
ブリミル暦6242年 ケンの月 フレイヤの週 虚無の曜日
皇紀2800年10月 1日 サハラ 聖地
Side マザリー二枢機卿
「光輝殿、これが聖地なのか?」
「はい、マザリー二枢機卿。正確に言うと、この世界と異界を繋ぐゲートの様な物です。但し、機能が不完全な為に厄災を招き入れる恐れがあります。今は魔法で封印していますが、封印を破られる恐れもあります。
そこでエルフの民の評議会と相談のうえで、完全消滅する事になりました。」
「ちょと待ってくれ。ロマリアに相談していないのか?」
「相談してどうなりますか?聖地だから残す、取り戻すと言うに決まってます。マザリー二枢機卿はどれ程、聖地を理解していましたか?せいぜいこの地周辺で出土する場違いな工芸品ぐらいな物でしょう。」
「うーむ・・・。」
「場違いな工芸品も大半が武器関連です。それも技術が無い為、運用も出来なかった。へたに魔法が伝わって、貴族の増長を許したり始祖ブリミルを偉人化し過ぎて、宗教関係者が威張りきっています。
今ここで聖地を消滅させる事で、ブリミル教に改革の楔を打ちます。」
「・・・。」
「マザリー二枢機卿、貴方を御連れしたのはこれから行う事の立ち合いをお願いします。しっかりその目で確認して、ありのままをロマリアに伝えて下さい。」
「相、分かった。」
光輝達は次元間航行船ウルスラ(魔法少女リリカルなのはのアースラと同形艦)に乗っている。
「魔導砲アルカンシェルチャージ開始。」
「了解。目標座標から半径200km以内からは既にエルフは退避しています。」
アルカンシェルの弾体自体に攻撃力はほとんどなく、着弾後一定時間の経過によって発生する空間歪曲と反応消滅で対象を殲滅する。その効果範囲は発動地点を中心に百数十キロに及ぶ。
「アルカンシェルチャージ終了。何時でも撃てます。」
光輝がアルカンシェルの始動キーを差し込み、キーを回した。
「発射!」
まるで小型のブラックホールの様であった。聖地を中心に球状の物体が広がって行く。光も通さないそれは、半径50kmを超えた。
「聖地の反応消失!成功です。」
クルーが光輝に報告する。
「マザリー二枢機卿、御覧通りです。聖地は跡形もなく消滅しました。我々は聖地に刻まれた魔方陣を記録しています。解析の結果、仮想空間で転移ポータルで一瞬で場所移動出来る様な、転移ゲートを各国にこれから設置していきます。また国内に限りますが、各街や村に転移ポータルも施設する予定です。」
「そ・・・そうか。」
Sideout
ブリミル暦6242年 ケンの月 ヘイムダルの週 マンの曜日
皇紀2800年10月12日 ロマリア連合皇国 ウァティカヌス(首都) 大聖堂
Side 聖エイジス三十二世(ヴィットーリオ・セレヴァレ)
「聖下、聖地の消滅を確かに目撃しました。」
マザリー二枢機卿は報告する。
「そうか・・・。」
「後はこのロマリアを改革して地下の風石をなんとかしなければなりません。光輝殿が仰っておりました。他の枢機卿に相談しても反対されるだけです。誰もが今の体制を変える事を恐れています。それは衰退する事が分かっていても変わらないだろうと。」
「それは分かっている・・・。」
「聖下自ら改革の決断をしなければ、ブリミル教の威光は地に落ちます。」
「問題があるとすれば政教分離だな。其の方に頼めるか?」
「分かっております。枢機卿を辞任してロマリアの国家元首をお引き受けいたしましょう。」
Sideout
二人の決断が、後のロマリア共和国の出発点となる。
後書き
聖地の話でした。
アルカンシェルは質量兵器で無い為、効果範囲外には直接的には影響を及ぼしません。
ページ上へ戻る