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ルドガーinD×D (改)

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十一話:シスターを救出しに来ました

堕天使に攫われたアーシアさんを助けるために俺達は寂れた教会に来ていた。
相手の人数、強さは今の所分からないけどここまで来て引くという行為は取れない。
どんなことをしてでもアーシアさんを助け出すだけだ。

俺達は教会の正面の入り口で顔を向い合せて頷き合う。
正面突破なんて方法は普通は危なくて出来ないが今回は時間がないので
堂々と正面から行く。

「……行きます、えい」

塔城が扉を蹴破るのを合図に教会の中へと入る。
と言うか、扉を蹴破って入るとか男らし過ぎるよな?
何だろうか、思わず姉御って呼んでしまいそうだ。

「さてと、アーシアさんを探さないとな……と、その前にやることがあるな。
 なあ、フリード?」
「おんやあ?気づかれちった、オッド眉毛君」

物陰から何やら愉快そうに現れるフリード。
それにしても、こいつ……俺が地味に気にしていることを…!
何だって?両方染めるか、染めるのをやめればいいだって?
俺のこだわりのメッシュに文句をつけるなよな!
俺は意地でもこのメッシュをやめないからな!!

「お前!アーシアはどこにやったんだ!?」
「んー?アーシアたんなら今、祭壇の下にある隠し階段を通った先にある儀式場でキャッキャッとお楽しみ中ですよ。いやー羨ましいイイ!」
「ふざけんな!!」

イッセーの問いかけに相も変らぬふざけた口調で返すフリード。
本当にこいつは狂ってるな、正直なんで今まで生き残ってこれたのか不思議なくらいだ。
まあ、今はそんなことよりもアーシアさんだな。
フリードのことだから恐らく俺達をはめようなんてことは考えずに素直にアーシアさんの
居場所を言っただろうから、その場所に行けばいいだけだな。
フリードを倒してな!

「三人とも、ここは俺に任せてくれ」
「何言ってんだよ!?ルドガー!」
「時間は限られてるんだ。こんなところで時間を使う必要はないだろ?」

そう言って三人に笑いかける。

「ルドガー君……兵藤君、行くよ」
「…っ!分かった、さっさと追いついて来いよな!」
「……大口を叩いたんだから負けたら承知しません」
「ああ」

三人からの激励を背にフリードに向き直る。
さてと……さっさと来いって言われてるし本気で行くか。

「いやー、仲間を先に逝かせて自分が残るなんてカッコイイイイッ!」
「お前に言われても嬉しくないな」
「ありゃ?そんなつれないこと言わないでさあ、ねえオッド眉毛君」
「悪いけど、急いでるんだ―――本気でいかせてもらうぞ!」
「あひゃひゃ!どうぞご自由にイイイイイイッ!!」

次の瞬間一斉に間合いを詰め戦闘に入る俺達
さっきも言ったが俺は本気だ、無駄な時間なんて使うつもりはない。
それに実力では圧倒的に俺が上回ってるだからこそ一方的に決める!!




「一迅!一迅裂双!濡羽狩!重裂破!紅蓮翔舞!舞斑雪!斑雪返!舞斑雪!斑雪返!
レクイエムビート!トライスパロー!ゼロディバイド!舞斑雪!斑雪返!一迅!
鏡月閃!舞斑雪!斑雪返!紅蓮翔舞!舞斑雪!斑雪返!鏡月閃!朧鼬!双針乱舞!
轟臥衝!」



「はっ!?ちょッ!待っ!!ギャアアアアアッ!!」


斬りつけて、斬りつけて、斬り上げて、斬り上げて、また斬りつけて
空中に相手を浮かばせてそこから銃で撃ちこんで、撃ち込んで、撃ち込んで
さらにもう一回、斬りつけて、斬りつけて、斬り上げて、また斬りつけて
地面に叩き落としてさらに斬りつけて最後は吹っ飛ばすように斬りつける。

見たか!これが俺のコンボだ!!
何だか反則だとか、あれは流石に酷いとか聞こえてくる気がするけど気のせいだな。
世の中勝った方が正義なんだからな!!

「さてと……イッセー達を追うか」

早く行かないと間に合わないかもしれないからな。
俺はボロ雑巾のように転がっているフリードを置き去りにして走り去るのだった。





地下の儀式場に近づくごとに大きくなる争いの音、既に戦闘は始まってるんだな。
それにしても結構な数の気配がするな、三人とも大丈夫か?
勢いよく最後の扉を蹴破って入るとそこにははぐれ悪魔祓い(エクソシスト)の大群をなぎ倒していっている
木場と塔城の姿があった。

「二人共大丈夫か?」

ちょうど塔城の後ろにいた悪魔祓いを銃で撃ち抜きながら声をかける。

「……ルドガー先輩!……私達は大丈夫です、それよりも兵藤先輩の方に」

塔城の目線の先を見てみると、そこには十字架に磔にされているアーシアさん
その横に立つレイナーレ、そしてアーシアさんを助けるためにはぐれ悪魔祓い(エクソシスト)
殴り倒しながら突き進むイッセーがいた。

「アーシア!今助ける!!」
「イッセーさん…!」
「あともう少し何だから、邪魔しないでもらうわ!」

あともう少しだと言ってイッセーに光の槍を投げつけてくるレイナーレ
不味いな、早く助けに行かないとイッセーがやられる!

「ブラッディブレイズ!」
「くっ!あの時の人間!?」

レイナーレに攻撃して何とかイッセーへの攻撃を止めさせる、
そのせいで俺が標的になったみたいだけど結果オーライだと思っておこう。

「ルドガー!無事だったのか!?」
「俺の事は後でいいから早くアーシアさんを!!」
「分かった!!」

銃でレイナーレを牽制しながらそう叫び返す。
早く、あの十字架からアーシアさんを解放してやれよな。
あの十字架からは何だか嫌な予感がするからな……。

「どうして、下等な人間が崇高な堕天使である私の邪魔をするのよ!?」
「崇高とか何だか分からないけどお前こそ俺の邪魔をするな!」

そんなことを言い合いながら銃弾と光の槍の応酬を続ける。
くそ、中々アーシアさんの傍から離れてくれないな、ああまでして離れないということは
間違いなく何かがあるんだろうな……イッセー早くあの十字架をぶっ壊せ!

「アーシア、もう少しだ!もう少しで行ける!」
「イッセーさん…お願いしま―――いやあああああああっ!!」
「アーシア!?」

どうなってるんだ!?どうしてアーシアさんが苦しそうな悲鳴を上げているんだ?
それにあの光は一体―――

「ふふふ、ようやく準備が整ったわ。アーシアから神器(セイクリッドギア)を抜くための準備がね」
「なん…だと!?」
「あら、手を休めてていいのかしら?」
「しまった!?」

突然の出来事に攻めの手を止めてしまったことで
自由になったレイナーレがイッセーを狙う。

「イッセー!!」
「ぐああああっ!?」
「どうかしら、光の槍のお味は?痛いでしょ」

アーシアさんまで後、少しのところで足に槍を刺されて崩れ落ちるイッセー
くそっ!俺が気を抜いたせいで……

「イッセーさん!」
「くそが…動けよ…アーシアを助けられないだろ…!動けよ!!」

動かない足を無理やり引きずって前に進むイッセー。
その様子をあざ笑うかのように見つめるレイナーレ。

「諦めの悪い子ね。でも、もうその足じゃあ間に合わないわよ?」
「うるせえ!!俺はアーシアの友達だ!どんなことがあっても守り抜いて見せる!!
 だから力を寄越せよ!!俺の神器(セイクリッドギア)!!!」

イッセーの心からの雄叫びが辺りに響き渡る。
強い…強い覚悟だな。


『Dragon booster!!』


突如イッセーの籠手からそんな音が発せられイッセーの体からオーラが発せられる
そして、籠手の宝玉の部分には『Ⅰ』の文字が浮かび上がっていた。

そして、足に刺さったままだった槍を引き抜き、歯を食いしばって立ち上がり
再びアーシアさんの元に進み始めた。

「待ちなさい!」
「よそ見をしている暇があるのか?」
「しまっ!きゃあああああ!?」

レイナーレがイッセーに気を取られている間に近づきハンマーで吹き飛ばす。
いやー、爽快爽快!!
さてと……後はアーシアさんを助けるだけだな。

「どおおりゃああああっ!!」

怒声を上げながらアーシアさんを縛り付けていた十字架を祭壇ごと殴り壊すイッセー。
そして、祭壇から落ちてくるアーシアを優しく抱きとめる。

「い、イッセーさん?」
「良かった…無事で本当によかった…!」

助けられたことに感動して男泣きし始めるイッセーを
抱きかかえられた状態でオロオロと見つめるアーシアさん。
何と言うか……ごちそうさまだな。

「まだよ…まだ私は諦めないわ!」

うわ、まだ、いたのかレイナーレの奴。
折角の良い空気をぶち壊して何が楽しいんだ?
はあ……仕方ない。面倒くさいけど捕まえるか。

「イッセー、お前はアーシアさんを安全なとこに連れてけ」
「ルドガーはどうするんだよ?」
「俺はあいつを捕まえる。心配するなって、すぐ終わるからさ」
「……ルドガー先輩手伝います」
「よし、じゃあさっさと終わらせるぞ」
「……はい」

その後、俺と塔城が何をしたかは別に語らなくてもいいよな?





「こんにちわ、堕天使さん。単独で動くなんて随分と自信があったのね」

ボロボロになって俺と塔城を怯えたように見るレイナーレに部長がそう声をかける。
どうして怯えられているのか俺達には皆目見当もつかないな。

「あ、あなたは……」
「あなたが随分と可愛がってくれた眷属の主……リアス・グレモリーよ」

そう言って笑顔で挨拶する部長だったが
正直言って怒っているようにしか見えない。
笑顔で怒りを表現するって凄いな、部長は。

「グレモリー家の娘か!?」
「どうぞお身知りおきを……もっとも、貴方はもうすぐ、死ぬのだけれどもね」

そう言ってレイナーレの前に黒い羽を投げ捨てる部長。
部長の言葉とその羽を見たことで顔が真っ青になるレイナーレ。
あれってもしかして仲間の堕天使の羽か?
何だか少しレイナーレが可哀想になってきたな……。

「部長、命までは奪わなくてもいいんじゃないですか?」

俺がそう提案すると無茶苦茶、意外そうな目でみんなから見つめられた。
アーシアさんだけはいつもと変わらない優しい目で見ていてくれるのが救いだ。

「ルドガー……あなた本気?」
「えっと…もう抵抗できないんだから別に殺す必要はないんじゃないですか?勿論、それ相応の罰は受けてもらいますけど」
「…………アーシア、イッセー、あなた達はどう思うの?」

部長が話をアーシアさんとイッセーに振る。
まあ、今回の件の張本人だしな。
二人がダメだって言うなら俺も引き下がるよ。

「私は…私は許してあげたいです」
「アーシア!?……アーシアがそう言うなら俺もそうします、部長」

アーシアさんは許してくれるらしい。
やっぱりあの子は天使だと思う。
天使じゃないならどっかの聖人の生まれ変わりだよな絶対。

「そう……あなた達がそう言うなら私は何も言わないわ。それじゃあなたは魔王様を通じてグリゴリへと返還するわ。何か異論でもあるかしら?」
「そんなものないわよ、生きていられるならそれに従うわ……」
「そう、それじゃあ早速――「待って」――何かしら?堕天使さん」

部長の言葉を遮って俺の方を向くレイナーレ。
何だ、俺何に何か用なのか?

「どうして助けてくれたの?」

ああ、なんだそんなことか。
そんなこと別に大したことでもないのにな。
それに本当に助けたのはアーシアさんとイッセーだろ?

「別に、大した理由はない。ただ単に殺す必要がなかったからってだけだ。もう、守りたいものは守れたからな」
「……私はまた危害を加えるかもしれないのよ?」
「ああ、だからこれだけは言っておかないとな」

レイナーレの額に銃を突き付けて低い声で脅しをかける。

「もし、今度、俺の大切な物に手を出そうって言うなら俺が地の果てまでお前を追って行って必ず殺すからな」
「……ほ、本気?」
「俺は大切な物の為なら何だってする―――この世界だって壊してみせる」

そう言った俺の目はどす黒いもので溢れていたと思う。
レイナーレが怯えたようにコクコクと頷いたので銃を離して笑いかける。

「とにかく大人しくしていれば何もしないからさ。よく反省してくれよな」
「わ、分かったわ」
「さてと…それじゃあ、部長お願いします」
「え、ええ、分かったわ」

何だかみんなの視線が気になるけど仕方ないよな。
どんなに綺麗な言葉で飾ったって俺は自分の大切な物の為に
他人の大切な物を壊してきた酷い人間なんだからさ。
だから―――この生き方はきっと変わらない。

 
 

 
後書き
次回こそ……次回こそは黒歌を書くぞ! 
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