転生とらぶる
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マブラヴ
0818話
目の前で俺の影から伸びている影槍に身動きを封じられている男の言葉を聞き、内心で首を傾げる。
BETA? 組織の名前か? いや、最初に人型のとついているのを考えれば、恐らくは何らかの種族。しかも基本的には人の形をしていない者達なのだろう。
人型機動兵器があるのを見ると、恐らくそのBETAとやらと目の前にいる軍人達は敵対している訳だ。
「悪いが、そもそも俺はBETAという存在を知らない。具体的にどのような存在なのかを教えて貰えると助かる」
ここで、もし俺がBETAじゃないとか言っておきながら、実はBETAというのが異世界人を示す名前だったりしたら洒落にもならない。
だが、そんな俺の言葉に納得出来なかったのか……
「ふざけるなっ! この世界に生きていてBETAを知らないという者がいる訳が無いだろう!」
数秒前に俺へとBETAかと聞いてきた初老の男ではなく、その護衛と思われる20代、つまり今の俺の外見とほぼ同年代の軍人がそう叫んでくる。
そんな男の言葉に、思わず苦笑を浮かべてから口を開く。
「今のを見ていなかったのか? そもそも俺はこの世界の人間じゃ無い。この世界で通じるかどうかは分からないが、別の世界の住人だ」
「別の、世界……?」
「ああ。現に、今お前達の動きを封じているこの影。これは操影術という魔法の1つだ」
その言葉に、護衛の男ではなく先程口を開いた、この場で最も地位の高いと思われる50代程の男が口を開く。
「魔法だと? 馬鹿な……いや、だが、しかし……」
「一応聞いておくが、この世界に魔法は存在しないんだな?」
「勿論だ。そんなお伽噺のような……」
お伽噺のようなものがある訳が無い。そう言い切りたかったのだろうが、現実に自分達の身動きを俺の影によって作られた影槍により封じられていては、信じるしか無いのだろう。まさに論より証拠、百聞は一見にしかずといったところか。
「まぁ、俺の素性をすぐに信じろとは言わないさ。ともあれ、そっちの質問に答えたんだから、次はこっちの質問に幾つか答えて貰おう」
向こうの質問1つに対してこちらが幾つかと、こっちが圧倒的に有利な質問方法だが、人質に取られている現状では向こうにしてもこちらの意見を飲むしか無いだろう。
それに先程から俺と言葉のやり取りをしているこの初老の人物は、その態度や周囲の様子を見る限りではかなり高い地位にいる人物らしい。それ程の男の命運をこちらが握っている以上、向こうとしても迂闊な真似はまず出来ない。
それでなくても、こっちは魔法という向こうにとって未知の技術を行使しているのだから。
そして案の定、男は俺の言葉に頷く。
「よかろう。だが、まずは自己紹介くらいさせて貰えないか。私はオーストラリア国防軍のジョン・クルーガー少将だ」
「……オーストラリア? ここはオーストラリアなのか?」
「うむ。確かにここはオーストラリアで間違いない。それで、君の名前を聞かせて貰えるかな?」
まさかオーストラリアに転移するとはな。これまた、予想外の体験だ。地球に転移した時はギアス世界、ネギま世界ともに日本に転移していたんだが。
にしても、少将? なんだってそんな大物がこんな少人数で……いや、それは後で聞けばいいか。
「多次元国家シャドウミラー代表、アクセル・アルマーだ」
「……代表? その、つまりそれは一国家の代表と思ってもいいのかね?」
「そうだな。大統領とか国家主席とか総理大臣とか首相とか、好きな呼び方で呼んでくれ。……一部では大魔王とも呼ばれているが」
「大魔王?」
訝しげに尋ねてくるジョンに、小さく苦笑を浮かべる。
まぁ、確かに普通は大魔王なんて呼ばれるような真似はしないし、あるいはそんな風に呼ばれるとしても、民衆に対する弾圧とかを予想させるような感じだしな。
「大魔王って呼び名の理由については、運が良ければ……あるいは運が悪ければ見せる事が出来るだろうな」
「そうか。期待した方がいいのか悪いのか」
小さく笑みを浮かべるジョン。
生殺与奪権をこちらに握られている状況で、よく笑みを浮かべていられるな。随分と肝が据わっているように見える。
これは、いきなりの当たりだったか?
「それで、アクセル代表。次元国家シャドウミラーというのは、どのような国家なのかを聞いてもいいかな?」
「そうだな。……だが、この状況で喋ってもいいのか? この件に関しては、一般の兵士達に聞かせてもいいようなものじゃないと思うが?」
チラリ、と周囲にいる兵士達、あるいは青色の装甲をした機体へと視線を向けながら尋ねるが、ジョンは問題無いとばかりに頷く。
「ここにいるのは、全て私の子飼いの部隊だ。異世界人の君に言っても分からないと思うが、近年開発されたばかりの新型機……より正確には改修機の性能実証試験をやっていたのだよ」
新型機の性能実証試験? 確かにそれは色々と興味深い。ただ……動いているところをまだ見た事が無いから何とも言えないが、こうして見ている限りではそれ程性能が高そうには見えないんだがな。
ともあれ……
「新型機の性能実証試験とか、かなり機密の高い情報だろうに。それをこうして俺に教えてもいいのか?」
「別に構わん……とは言わんが、正直な話、君に関しての方が余程重要度は高そうなのでな。それにこの状況で脅されてそちらの指示を聞くよりは、自分から話した方が良いとは思わないかね?」
なるほど、正真正銘度胸に関しては少将と言うべきだけあって、相当なものだな。
「ともあれ、こちらの情報に関してこうして述べたのだ。次はシャドウミラーという国家について教えてくれないかな?」
何だか向こうのペースに乗せられている気がしないでもないが、どのみちシャドウミラーがどういう存在なのかについては話さなといけない以上はしょうがない、か。
「そうだな。俺が率いているシャドウミラーという国家は、次元の狭間にある。そこで転移装置を使って幾つもの異世界と繋がっていて、いわゆるハブ的な役目を果たしていると言ってもいいだろう」
「待ってくれ!」
俺の言葉に、ジョンが殆ど反射的とすら言ってもいい速度で言葉を遮ってくる。
「君は正気かね? 君の世界がこことは違う異世界だというのは……それはまぁ、実際に君が光の繭と共に現れたのをこの目で見たし、魔法? とやらもこの目で見た。だが、それでも……君の国が次元の狭間にあって、尚且つ他に幾つもの異世界と繋がっているというのは、幾ら何でも信じがたい」
「まぁ、そうだろうな」
何の証拠も無しにシャドウミラーの規模やら成り立ちやらを理解しろという方が無理だろう。
だが……
「証拠を見せろと言われれば、すぐにでも見せられるが?」
そう、今の俺にはマクロス世界の時とは違って空間倉庫の中にニーズヘッグが入っているし、なによりもここは地球のオーストラリアなのだ。それなら、ゲートを設置するのは全く難しい話ではない。
「証拠……? 証拠だと? それはそんな簡単に見せられるものなのかね?」
「ああ。ゲートという転移装置を設置すれば、すぐにでも俺の国に繋げる事が出来る。ただし、一度ゲートを設置したらそこから動かすのは色々と手間が掛かるけどな」
ギアス世界でやったように、他の場所にゲートを設置してから元のゲートを停止させて、瞬時に新しいゲートとリュケイオスを同期させる必要がある。
「それは……だが……いや、しかし……済まない。さすがに私の一存でここに他の国に対する出入り口の設置を許可する訳にはいかない。その辺は政府の方と相談させて欲しい。だが、1つ聞きたい。ゲートとやらを設置するにしてにも、そう簡単に設置出来るものなのかね? 見たところ、君は特に何を持っている訳でも無いようだが」
「ん? ああ、そうか。確かにそう見えるな。安心しろ。ほら」
ジョンの言葉に、脳裏のリストから選択して空間倉庫からペットボトルに入った紅茶を取り出す。
それを見たジョン、そして他の軍人達も一斉に驚きの表情を浮かべる。
まぁ、何も無い場所からいきなりペットボトルが出てきたんだから無理も無いか。
「見ての通り、空間倉庫という特殊能力を持っている。これもこの世界には存在しない能力だろう?」
もっとも、空間倉庫は純粋に俺個人の転生特典で、魔法の本場のネギま世界にも存在していないのだが。
「あ、ああ」
頷くジョンに、再び指を鳴らして影槍を解除する。
「む? これは……」
突然身体の自由が取り戻され、戸惑ったように呟くジョン。
「ここまで俺が異世界からやってきた存在だと目の前で見せて、それを納得した上で敵対するのならしょうがない。好意には好意を、敵意には敵意をってな。俺がどう行動するかは、そっちの対応次第だ。ほら、取りあえずこれを飲んでみろ」
呟き、次々に空間倉庫からペットボトルに入っている紅茶を取り出してはその場にいる軍人全員に放り投げていく。
「小将、まずは私が。彼がこちらに敵対的な行動を取っていないというのは分かりますが、それでも何があるか分かりませんので」
ジョンが何か口を開きかけたのを遮るようにして、護衛の1人がそう告げる。
視線で構わないか尋ねてくるジョンに頷くと、その護衛はペットボトルのキャップを外して口を付ける。
にしても、本気でここにいるのはジョンに対して忠誠心の高い部下達だけみたいだな。
今の護衛が口にした一瞬、他の者達も自分が代わりにと言葉を発しようとしていた。
こうして考えると、最初に出会ったのがジョンだったのは当たりだったか?
「な、何だこれは!? 甘い! 美味い! こんなに美味い飲み物、久しぶりに飲むぞ!」
そんな風に考えていると、護衛の軍人の叫び声が聞こえてくる。
表情に浮かんでいるのはただひたすらに驚きのみ。目には薄らと涙すら浮かんでいた。
「……何?」
思わず口を開いたのはジョンやその他の護衛では無く、あるいは青色の装甲を持つ機動兵器に乗っている者達でもなく、俺だ。
渡したのはごく普通のペットボトルの紅茶だ。それこそ、どの世界でもコンビニや自販機で買える程度の。なのに、何故涙を流すまで喜ぶ?
「……なるほど」
ただ唖然としながら涙を流している軍人と、それを見て急いで自分達もとペットボトルへと口を付けている軍人達へと視線を向けていると、ふとそんな言葉が耳に入ってくる。
そちらへと視線を向けると、何故か酷く納得した表情を浮かべているジョンの姿。
「どうしたんだ?」
「いや、君が正真正銘別の世界から来たというのを、心底理解出来たのだ。ああ、勿論今までの君の話を疑っていた訳では無い。だが、今の君の発言で心の底から納得出来たというだけの話だ」
ペットボトル入りの紅茶でか?
キョトンとした表情を浮かべているのが自分でも分かる。だからこそ、ジョンにしても心底納得したという感じで頷いていたのだろう。
「この世界の情勢については後で詳しく話すが、簡単に言えば現在地球は宇宙生物の脅威に晒されている。その影響で天然の食料を食べられる事が出来る者はかなり少なくなっており、その宇宙生物からの襲撃の無いこのオーストラリアでも、天然物はそれなりの高級品になっている。特に紅茶のような嗜好品は言うに及ばずだ」
いや、紅茶と言ってもペットボトルの紅茶なんだから、正確には紅茶風飲料って言うのが正しいと思うんだがな。あるいは甘味そのものが貴重品になっているのか?
「なら、一般的には何を食べているんだ?」
「……合成食だ」
「合成食?」
また、名前を聞いただけでも不味そうに感じる食い物だな。
「ああ。海水のプランクトンを利用した食品だよ」
「ふむ、なるほど」
もしもその合成食ってのが不味いんだったら、この世界との交渉を纏める事が出来れば食料品の輸出は大きな事業になりそうだな。
「ちなみに、その宇宙生物ってのがさっき言ってたBETAって奴なのか?」
「うむ。Beings of the Extra Terrestrial origin which is Adversary of human raceでBETAだ」
人類に敵対的な地球外起源種、か。宇宙生物に襲撃されていると考えると、どうしてもバジュラと被るが……まさかバジュラみたいに味方を助ける為に攻めてきてたりはしないだろうな?
だが、話を聞く限りでは普通の食料でさえも作れなくなっているとなると……その辺はどうか。
「ともあれ随分と話が横に逸れたが、今見て貰ったように俺には空間倉庫という能力がある。で、この空間倉庫の中には次元の狭間に存在している俺達の国に転移出来るようにする為の装置が入っている訳だ。そっちが良ければ、すぐにでも設置してみせるが?」
「済まないが、それは止めて欲しい。先程も言ったように、これ程の案件を少将でしかない私の一存で判断する訳にはいかない。……申し訳ないが、出来れば我々と共に来て貰えないだろうか? 私では無く、もっと上の者に対して直接今の話をして欲しい」
まぁ、そうだよな。こうしてみる限りではかなりの人望を備えている軍人に見えるが、それでも少将。……普通に考えれば少将というのは随分と高い階級だが、それでも外交問題を独断で判断する訳にはいかないだろう。
転移する前にレモン達に告げたように、時差の関係もあるからすぐに向こうとの連絡を取りたかったんだが……ここはしょうがない、か。
「分かった。なら早速案内してくれ。……ちなみに今は何年だ?」
そこで頷き、ふと気になった事を尋ねてみる。
ここが地球だというのは理解した。BETAとかい存在と戦っているのもまた同様に。なら、今はいつなのか。
チラリと、青い装甲の機体に視線を向けて考える。
俺の知っている機体に比べるとかなり性能は低そうにも見えるが、それでも人型の機体を作っているのだ。それなりに未来なのだろうと。
だからこそ、何気なく口にしたその疑問に戻ってきた答えに驚かされる事になる。
「1997年の1月だ」
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
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撃墜数:1114
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