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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第四十五話






 崩壊した反董卓・袁術連合の争いから二十日が経っていた。

「ほらあんた起きなさいよ」

「え、詠ちゃん。もうちょっと優しく………」

 ……何か聞こえるな。

「ぁ~もぅ~さっさと起きなさいッ!!」

パチィンッ!!

「あてッ!?」

 デ、デコを叩かれた……。

「………壮大な起こし方だな賈駆……」

「あんたが中々起きないからでしょッ!!」

「え、詠ちゃん………」

 月が冷や汗をかいている。(真名を預けてくれた)

「分かった分かった。起きるからな。着替えるから少し部屋から出てくれ」

 二人を部屋の外に出してから俺は着替える。

 腹減ったなぁ~今日は何だろうな。

「悪い、待たせたな」

 服に着替えて部屋を出ると二人がいた。

「ふん、次は星を起こさなきゃいけないんだから」

「そりゃぁ悪かった。あぁそれと賈駆」

 星の部屋に向かおうとしていた賈駆を呼び止める。

「……何よ?」

「その服可愛いな(キリ」

「ッ!!?」

 月と賈駆が着ているのはメイド服だった。

 何でこの時代にあるのかも分からんけどな。

 ただ、徐州から来た行商人によれば天の御遣いが作ったとか。

 ……原因は北郷かよ………。

「~~~変な事を言うなッ!!」

バキィッ!!

「あべしッ!!」

 し……下からアッパーとか中々やるな賈駆め………。

 二人はそのまま星の部屋へ向かった。






「ハアァッ!!」

「フッ!!」

「オオォッ!!」

「………精が出るなぁ」

 食堂で朝飯を食べて訓練所に行くと、クロエと桜花、焔耶、凪、恋の五人が訓練をしていた。

「二刻くらいずっとしとるわ」

「霞……いたんやな」

「いたんやなとはどういう事やねんッ!!」

 霞が突っ込んできた。

「まぁ……気にするなや」

「気にするわッ!!」

 ………久しぶりのボケとツッコミや……。

「何で泣いとるねん長門?」

「気にするな霞」

 気にするな。

「んじゃぁ此処は任したで霞。俺はちょっと真桜のところに行かなあかんからな」

「はいよ。任しとき」

 霞に一言言ってから、真桜の工房に向かった。




―――工房―――

「真桜おるか?」

「お、隊長やん」

 工房室に顔を出すと、真桜が何やら丸い物を作っていた。

「何をしているんや?」

「前に作った急造手榴弾を改造中やで。前のは円柱にしてたけど、今回のは球にしてるからな」

 いやそれが本来の手榴弾やけどな。

「それならええけどな。ところで砲弾の製造はどうなってるんや?」

「ぁ~今のところ二五発しか出来てへんわ。十日後には四十発程になるけどな」

「まぁそれは仕方ないな。気をつけて製造してくれ」

「分かってるで隊長」

 俺はそう言って工房室を出た。





「王双様、饅頭はどうですか?」

「いや、今は仕事中だからまだ後でもらうよ」

 只今、街を警備中。

「………ん?」

 ……疲れているんだろうか。

 何でか知らんが、俺の前方約五十メートル付近に美羽らしき少女が歩いているんだが……取り敢えず声をかける。

「そこのお嬢さん」

 美羽らしき少女にまで走っていき、声をかける。

「ぴゃッ!? な、何じゃ?」

 少女が振り向いたら美羽でした。

「……何をしているんだ美羽?」

「な、長門ッ!?」

 美羽が驚いた表情をする。

「全く……七乃が今頃心配してるぞ?」

「なに、息抜きに来ているのじゃから心配はないのじゃ。それに今日は長門が警備をしておるから何処かで会えると思っておったのじゃ」

 ………確信犯かこいつは?

「……まぁいいや。そろそろ昼飯だから何か食べるか?」

「食べるのじゃ♪」

 ……まさか始めから狙ってたな?

「気にしないのじゃ」

 ……はぁ。




―――飯屋―――

「ムフフフ~美味しいのじゃぁ~♪」

 美羽は美味そうに麻婆豆腐丼を食べている。

 ちなみに金は俺が出す予定だ。

「あら? 長門と美羽じゃないの」

「ん? ロッタか」

 飯屋にロッタが入ってきた。

「昼飯か?」

「まぁね。働いた後の食事は美味しいのよねぇ」

 ロッタはそう言って麻婆豆腐定食を頼んだ。

「長門の奢りよね?」

「いや待たんかいや。何で俺が奢らないとあかんのだ?」

「何よ? 女の子に全部払わす気なの?」

 いや、お前の昼飯代なんだが………。

「………分かった。今日は奢ってやる」

「流石長門よね」

「………長門とロッタは仲が良いのう」

「「ッ!?」」

 ……い、いきなり何を言うんだよ美羽は……。

「べ、別に私と長門は仲が良いとかじゃないんだからねッ!! し、仕方なしに話をしてるだけなんだからッ!!」

 ………まぁツンデレ乙だな。

『カチ……カチ……』

「ん?」

「どうかしたのかや?」

「………いや、何でもない」

 今、何か聞こえたと思ったんだけどな………。

『カチ……カチ……カチャン』

 まただ。

ガシャンッ!!

「ロッタッ!?」

「………え?」

 いきなりの茶碗が割れる音と美羽の叫び声が飯屋に鳴り響いた。

「………ロッタッ!?」

 ロッタを見ると、ロッタは胸を押さえて口をパクパクと開けて酸素を求めるように動いていた。

「………カハッ……」

 ロッタはそのままテーブルにうつ伏せで倒れた。

「「ロッタッ!!」」

 俺と美羽は叫んだ。

 同時刻、訓練所にいたクロエも倒れていた。





 
 

 
後書き
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