魔法少女リリカルなのは 世界を渡りあるく者
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第五章 過去との決別 〜ミッドチルダ J・S事件〜
第一話 交差する丘と海
前書き
やっとここまでこれた...!
ここからはアニメ第三期の二クール目に突入します
そして新年あけましておめでとうございます。ことしもよろしくお願いいたします
第五章
レリック事件の黒幕であるジェイル・スカリエッティとナンバーズ
ミッドを守るため、救うために機動六課は立ち向かう
その中で一人、最後の一歩を踏み出せない少年がいた
あの日から止まったままの彼は、何を見て、何を思うのか
そして最後には何を掴むのか
これは、自分に決着をつける物語
「俺はあいつを救う。だからもう振り返らない。これからは前を向く。だからーーお別れだ」
「はい...はい。分かりました、では聖王教会で。はい、了解です」
俺は通信を切り、座っていた椅子の背もたれに体重を預ける
遂にこの日が訪れた。待ち望んでいた、海と丘の公式な会談が行われる
場所は聖王協会、時間はこの後1500からだ
それまでに、ちゃんとみんなに説明して資料を揃えなきゃ
海と丘が歩み寄れる機会がやっときたんだ。活かさないとな
そもそも、なぜこんなことが実現できたのか
それにはこの間の襲撃が絡んでいる
襲撃者は二人を覗いて全員が戦闘機人、ということは少なくとも丘が封印していた技術が出て居るということ
もう一つは俺のクローンの存在、こっちはプレシア・テスタロッサの技術が用いられていることは明らかだ
そのため、今まで互いに隠匿していたものを今回に限っては交換しようということになったためだ
うまくいくといいんだけどなぁ...
なんて普段なら考えるんだが、今回ばかり絶対無理だと思ってる
なんせ、海と丘の溝を考えたら無理無理...
どうするか考えなければ...
とか思ってる時が僕にもありました
「では、これで決まりだな。そちらもよろしく頼む」
「はい。それでは後日送りますのでよろしくお願いします」
俺は口が開いたまま唖然としていた
会議開始から二時間、特に何もなくスムーズに話が進み今後の指針が決定した
あれ?海と丘の関係ってこんなにいいものだっけ??
「元々お互いの勘違いだったからね。ちゃんと話し合いさえすればこんなものさ」
「そ、そうか...」
「そこで呆然と立っているのはいいが、お前にも仕事があるんだから早めに戻れよ?」
クロノがこちらに気がついて話しかけるが、右から左に受け流していた
それだけ、今回俺が受けた衝撃は大きかったのだ。いやまあいい事ですけど
こんなことってあるんだな...
こうして、あっけなく会議は終わった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁ.....疲れた」
俺は会議が終わってからというもののクロノに無理難題を押し付けられていた
それは、過去のPT事件より前にまで遡ったプロジェクトFの資料のまとめだ。其のせいで全然寝てない
今日が締め切りでなんとか間に合ったという状態だ
それを送って仕事は終わり。俺は身体を伸ばして背もたれに体重を預けた
疲れが溜まっていたのかそのまま目が自然に閉じて眠りにつこうとしたが
ビーー
「は!!....どうぞー」
「失礼します」
部屋のブザーの音で微睡みから叩き起こされた俺は急いで身だしなみを整えた
整え終わると同時に訪問者が入ってきた。その人物はなんと意外、シグナムだった
「シグナム?どうかしたのか?」
「いえ、少し稽古をつけていただけないかと思いまして...」
シグナムの誘いに俺は少し迷った
眠いけど...。でも剣握ったら気分転換にはなるか...
「分かった。じゃあ訓練場に行くか」
俺はシグナムを連れて訓練場に向かった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「さて、じゃあいつもの通りで」
「はい」
俺とシグナムは互いにバリアジャケットを展開し木刀を構えて向かい合っている
稽古は単純で試合形式。相手を殺さない限り好きなことをしていい。怪我ならすぐに治せるからな
構えたまま時間が過ぎ去ってゆく...緊張でまるで世界が止まったかのようだ
そして、同時に踏み込む!
双方ともに桜花を使い一瞬で間合いを詰める。木刀と木刀がぶつかり合いガン!という音が響く
「一心!」
俺は後ろに下がりつつ一心を放つがシグナムは的確にガードした
そしてそのまま霞の構えーー顔の横に剣を付け相手を狙うーーで突っ込んでくる
俺はシグナムの重心移動を見て、次の動きを予測した。恐らくは勢いそのままで突いてくる
なので体を横に捻りつつ背中を叩こうと考えた。だが
「烈火!」
俺の体は後ろに吹っ飛ばされた。今のは...
俺の木刀は折れ、シグナムの木刀は刀身が砕けている
「シグナム。体感だと今のは15連撃なんだが、何回斬った?」
「手応えでは20はいっていたとおもいます」
「そうか...」
シグナムが使ったのは目に見えない速さでめった斬り、だろう
最初の4回までは合わせられたが、そこからは無理だった。なにせ木刀が折れたからな
俺も見えない速さで振るっていうのはできるけど連続は無理だ。それをシグナムはたったの10年でマスターしたのか...
「少し、鼻が高いな。っと!」
流石にダメージがでかいのですこし気合を入れて立ちあがる
「シグナム」
「はい」
「もう俺がお前に伝えられることは無いとさっきの技でわかった。ここから先はお前自身でなければ見つけられない領域だ。本当は俺が教えるんじゃなくて、見て感じたことだけでここまで来て欲しかったんだが。でもたったの10年でここまで来れたのは凄いと思う。だから、おめでとう。まだ道は続くけど、ここが一先ずのゴールだ。そしてようこそ、俺たちの世界へ」
「は....はい。今まで...ありがとうございました!」
「まあ、模擬戦や稽古の様子位は見れるから、完全に独りってわけじゃ無いけどな」
俺は頭を下げてるシグナムを撫でる
「だけど、ここからが大変だ。でもまあ、お前なら俺の場所まで来れるって信じてるよ。だから待ってる、いつか辿り着くのをな」
「はい!」
「じゃあ、飯食いにいこうか。お祝いに何かを奢るよ」
食堂に行っていつもより少し豪華な物を頼む。こんなものでもよかったのかなと思ったがシグナムは喜んでくれていたので安心だ
それにしても俺がいくらがんばっても出来ないことを10年でやれるようになるなんて...
少し才能が羨ましくなるな...ってもそれを俺が言ったらいろんな人から反論されそうだけど
俺は自分の考えていることに心の中で笑ってしまった
「さてと、俺はまだやることあるから部屋に戻るわ。シグナムは?」
「当直ですね」
「そうか。ん、お疲れ。後でなにか持っていくよ」
「いえ...そうですね。ではお言葉に甘えさせていただきます」
「了解。じゃあとで」
俺はそのまま自室に戻ってパソコンを開いた
「俺のクローン。遺伝子情報が取られたとしたらあの時位か...。勝つ方法はある。でもそれでいいのか...」
殺すのは簡単だけど、それで本当にいいのだろうか
その答えをここずっと考えていた。でも見つからない
やっぱり
「ここでぶつかるしかない、って考える俺はなのはの思考に寄って来てるのかね」
もう少し考えてみよう。多分まだ時間はある。そんな気がする
どうせシグナムになにか持っていくって決めてるんだ。それをやりながら考えようじゃないか
後書き
ついに始まる公開意見陳述会、それに召集された機動六課
張り詰めた空気の中、嫌な予感は的中する
次回 第二話 奪われた鍵
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