バウンサーさんのお話
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第三章
「切らしていて」
「自分で買いに行ってくれ、ですよね」
「そして下手をすれば」
「今の私みたいに」
ピーターさんが自分から苦笑いして言うことは。
「こうしてですね」
「そうそう、買いに行かされるのですよね」
「お醤油なり何なりを」
「こうして」
「バウンサーさんもそうなんですね」
「仕事から帰りますよね」
具体的には食べものを持って帰るとです。
「そうしたら」
「ちょっとくつろいでいたら」
「もう何かと」
「その塩だの胡椒だのと」
「切らしているからと」
「買いに行かされるという」
「昔はそんなことなかったのですがね」
バウンサーさんは心からです、かつてのことを思い出しながらです。そのうえでピーターさんに言うのでした。
「今ではですよ」
「そうですよね」
「こんな有様で」
「亭主を顎でこき使って」
「容赦しないんですよ」
それが今の奥さん達だというのです。
「そうしたことは」
「ですよね、本当に亭主というものは」
「辛いものです」
「仕事だけじゃなくて」
「しかも子供達の面倒まで見させられて」
このこともあるのでした。
「何かとです」
「難しいですね」
「厄介なことに」
こうしたことをお話していくのでした、そしてです。
二匹で市場にまで歩いていきます、その中でまずはでした。
ピーターさんがお塩を買いました、そうしてからバウンサーさんにお話するのでした。
「後はお酢ですが」
「お酢ですか」
「はい、うちの女房はお酢にはこだわりがありまして」
「お酢ならありますよ」
このお店にもと言うバウンサーさんでした、実際にお店にはお酢もあります。けれどそれでもだと言うピーターさんでした。
「いや、それが」
「どういったお酢でないと駄目なんですか?」
「りんご酢でないと、というのですよ」
「りんご酢ですか」
「ドレッシングにはそれがいいとのことで」
「おやおや、それは確かにこだわりですね」
「ですから」
それでだとです、また言うピーターさんでした。
「このお店ではなく別のお店に行って」
「そしてですね」
「買いますので」
「お塩はこのお店のお塩でいいのですよね」
「逆にお塩はこのお店のものでなければ」
到底というのです。
「駄目と」
「そうですか」
「はい、ですから」
それでだというのです。
「私も困っているのです」
「中々難しい奥さんですね」
「そうなのですよ」
こうお話するのでした、ピーターさんは困ったお顔でいます。
そして次のお店に行ってでした、ピーターさんはりんご酢を買いました。そうしてからバウンサーさんに言いました。
「これで、です」
「ピーターさんの買いものは終わりましたね」
「そうです、後はバウンサーさんですね」
「わしの買いものはこれです」
笑ってです、ピーターさんにその煙草を見せるのでした。
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